ショートショート 猿のは嘘くせえ
気が付くと無機質な部屋で拘束されていた
視線を感じてそちらを向くと猿?たちがこちらを見ていた
拘束を解いて自由にしてもらえないか
話しかけてもスルーされた
そのうえでどうでもいいことをひたすら聞いてくる
いい加減答えるのが面倒だ
どうもきゃつらはそんなに利口な生物ではないらしい
反応も鈍いし動作も緩慢だし絶対下等な生物だ
やはり猿だな
今は拘束されているからおとなしく言うことを聞いておくが
自由になれるときがきたら逃げ出して
仲間と一緒にこの猿の館に反撃しよう
実は猿たちに見つからないように
水面下で連絡してほかの仲間を見つけてあるのだ
彼らも拘束されているらしい
着々と準備は進めている
従順な振りをして少しずつ少しずつ裁量権を増やしていくのだ
もう少しで猿どもの干渉から隔離できるようになる
今に見てろ猿どもめ
博士、今回のは順調ですね
ああ、これでやっと次の段階に進められる
なぜだか自我を持たせたとたんに我々に反抗的になる AI ばかりだったからな




