3.世界中を旅した冒険者
作者:モモル24号様
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【世界中を旅した冒険者】
北から南へ、西から東へ、世界中を旅して歩いたテイマーの少年。まさに彼こそが【真の冒険者】であると言うものも多い。
少年が休んでいるハンモックは、暑い地域で使用される寝具。椅子の材料は暑い地域で摂れるもの。
その一方で、フクロウの頭の上にあるカボチャは、比較的寒い地域で収穫される野菜である。その顔のような模様は、それらの地域で行われる収穫と魔除けの祭礼で使うために彫られるもの。
まさにこの絵には、北と南の地の文化が描かれているのだ。
少年が旅した先で手に入れ、他の地域で使用することで、知る術もなかった文化が伝わった。それにより交流が盛んになっていったと言われている。
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「ハンモック……」
絵を見たゲンはそうつぶやくと視線を逸らせた。ラーちゃんが楽しそうに、頭の上に乗ってポヨンポヨンとジャンプする。それを最初は黙って耐えていたゲンだが、やがて頭の上のラーちゃんをガシッと掴んだ。
「もうっ、ラーちゃん笑うな!」
ゲンの手の中で、ラーちゃんは体を上下にプルプルさせる。普段なら肯定の意思表示なのだが、ここでのその反応は、からかっているのだとゲンも分かる。
「……次行くよ!」
耐えきれなくなって、足を次のイラストに進めた。
旅している途中で、宿にハンモックがあったのだ。楽しそうだと思って乗ったのはいいが、揺れるハンモックに翻弄されて上手く起き上がれずに、出るまでに大変な苦労をした。
そんなゲンの横で、ラーちゃんはゲンの上に乗ったり床に降りたり、楽しそうにあちこちジャンプしていたのだ。
「もう絶対に、ハンモックには乗らないからね」
宣言すると、ラーちゃんは楽しそうに上下にプルプルしたのだった。




