2.夢の都市を目指した少年
作者:ロータス様
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【夢の都市を目指した少年】
【夢の都市】を目指して旅を続けた少年。
ユニコーンという珍しい一角獣の魔物、そしてやはり珍しい妖精もテイムしている、テイマーとして優秀だった少年は、ある日突然魔物たちとともに姿を消した。
夢の都市に旅立ったのだとも、夢破れてどこかに隠れ住んだとも言われているが、別の説もある。
すなわち、少年は【夢の都市】出身であり、何らかの理由があり帰れなくなっていた、というものだ。
それというのも、テイムしているもう一体が「スライム」だと言われているが、その姿は普通のスライムとは違うことから、【夢の都市】でテイムしたのではないかと思われているのだ。
研究者による議論が交わされているが、未だに結論は出ていない。
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「ユニコーンだ! カッコイイ!」
目を輝かせるゲンに、ラーちゃんが体当たりをした。不満そうだ。
「大丈夫だよ。ラーちゃんはカワイイから!」
一切の悪気なくゲンは言ったが、ラーちゃんは体を横にフルフルさせる。否定の意思表示、ということは「そうじゃない」と言いたいのだろう。
ゲンはラーちゃんをジッと見て頷く。
「うん。やっぱりラーちゃんはカワイイが似合うと思う!」
またラーちゃんは体当たりをする。それを笑って受け止めたゲンは、改めてラーちゃんの姿をマジマジと見る。不思議そうにしながら、ラーちゃんもジッと見つめかえす。
「そうだよねー」
再び視線は絵へ向かう。ラーちゃんの体の上部から出ている突起が、くるんと下に垂れている。目も二つ。けれど、描かれている目は一つだ。
「不思議だけど……でもラーちゃんみたいに色が違うスライムがいるんだから、少しくらい形が違う子がいてもおかしくないのかなぁ?」
ラーちゃんが上下にプルプルしたあと、左右にもプルプルする。
「そうだよね。分かんないよね」
そのうち何かが分かる日が来るのかもしれないが、別に分からなくても、今こうしてラーちゃんといられれば十分だ。そう思い、次の絵画へと足を進めたのだった。




