プロローグ
「こんにちはー!」
ある街にたどり着いたゲンとラーちゃんは、いつものように冒険者ギルドへと向かった。元気に挨拶した十二歳の少年と勢いよくカウンターに飛び乗ってきた白いスライムに、受付のお姉さんは笑顔を見せる。
「こんにちは。ようこそいらっしゃいました」
「うん! あ、これ鑑定お願いします!」
いつものように出したのは、旅の途中で見つけた枯れたオコメだ。ゲンが出した冒険者カードを見つつ、それを受け取ったお姉さんは若干表情に驚きを見せたものの、すぐまた笑顔に戻る。
「はい、お預かりしますね」
受け取ったお姉さんは近くにいた人に「鑑定お願い」と言ってオコメを渡して、またゲンの方を向く。
「今日はこの街でゆっくりしていくの?」
「ううん。すぐ出かけようかなぁって思ってる」
「そう……。あ、でも良かったら。ゲンくんテイマーでしょ? 今ね、テイマーたちの色々な姿を描いた絵画展をやっているの。良かったら見ていかない?」
「かいがてん?」
初めて聞く言葉に、ゲンは首を傾げた。スライムのラーちゃんの体が横に傾いて……そのまま横に倒れる。
「たくさんの絵画を、一箇所にまとめて飾っている場所があるの。テーマもあってね、今回は『テイマーと魔物たちの食事風景』というの。良かったらどう?」
「ふーん」
興味はあるけれど、絶対に見たいという気もしない。決めかねて、ゲンはラーちゃんへと話しかけた。
「どうする? 行ってみる?」
起き上がったラーちゃんは、そのままピョンと跳ねる。それを見て、ゲンは頷いた。
「行ってみます!」
「ええ、是非! ……良かったわ」
小声でつぶやかれた後半は、ゲンの耳には届かなかった。
***
「あ、ここだ!」
教えてもらった場所を目指して行くと、そこにあったのは「美術館」の文字と『テイマーと魔物たち ~食事風景から~』と書かれた看板が見えた。
扉を開けて中に入ると、それだけで大きな絵がたくさん見えて、ゲンは目を輝かせた。さっそく近場の絵から順番に見にいった。




