表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/111

1565年 家操32歳 北畠討伐 志摩国征伐

 北畠との関係は北伊勢攻めにより悪化していたが、一番の理由は成り上がりの信長様が南伊勢の北畠家よりも多くの領地や金持ちであり、朝廷とも仲が良いのが気に入らないらしい。


 まぁ面子の問題である。


「成り上がりの信長など南伊勢の地の利と多気城と支城を連携すれば10万の大軍でも南伊勢は落ちん」


 前当主で今だ実権を握っている北畠具教はそう吐き捨てるが、そんな最中弟の木造具政が戦う前から滝川一益の調略を受けて寝返っていた。


「なんで戦う前から降伏してるんだ! アヤツは!」


 北畠具教が怒りの書状を送ると木造具政は


「兄上、現実をみてください。前回の北伊勢侵攻で堅城とされた城が次々に陥落し、南伊勢全軍を集めても北畠は5千しか兵が集まらないのですよ……対する織田信長殿は5万の大軍……宗家を支えるのが分家の役割と言いますが一族を残すのも役割です……それに今の当主である甥っ子を支えようとは俺は思えません」


 そう言われた北畠具教の息子で現当主の北畠具房は超肥満体であり、馬に乗ることもできなければ馬鹿で勉学も怪しい。


 そんな宗家の惨状に木造具政は織田家に早期降伏することで家を残すことを優先した。


 有力一門衆の早期降伏により北畠具教の防衛構想は瓦解してしまったが、それでも信長に対して抵抗の構えを崩さなかった。


 多気城での防衛戦は難しいと更に防衛力の高い木造城に移動し、支城に詰めて新しい防衛線を構築した。


 先鋒を務める滝川一益は木造城の周囲に土塁を設けて城を囲み、織田本隊が来るのを待った。


 その間に信長様は部隊を多数に分けて支城攻めを開始し、秀吉が城攻めの際に城兵に足を矢で射抜かれる事件が発生したが、手塩をかけて育ててきた親衛隊員を将として抜擢し、河尻や浅井新八、金森長近、佐々成政等が部隊長として活躍。


 他にも美濃三人衆や丹羽長秀、柴田勝家、徳川家康などの織田家オールスターも大活躍。


 特に池田恒興は負傷した秀吉の代わりに砲兵部隊を一時的に指揮権を預かり、支城陥落に力を入れるのであった。


 一方俺は海軍を率いて志摩国へと侵攻を開始した。







「クソうざかった志摩水軍をぶち殺せる!!」


 志摩国の水軍は伊勢湾から畿内に抜ける船に税を徴収していたり、抵抗すれば船を沈められていたので交易上邪魔でしか無かった。


 志摩国から追い出されて織田家に拾われていた志摩の土豪の九鬼一族は復権したら志摩統治を任せてもらう約束や織田水軍の創設、織田家から資金提供を受ける形で商船から税を取らない事を約束させて、北伊勢から船を出していた。


「佐治! 佐治為孝!」


「は!」


「津田海軍の全力投入だ。必ず志摩の水軍を滅ぼすぞ」


「は! お任せください!」


 水上作戦は専門家の佐治為孝に任せる。


 10隻の五千石船、30隻の千石船を投入し、大砲や鉄砲も大量に搭載していた。


 志摩国に近づくと志摩水軍の船が出てきて、それを鉄砲や大砲で蜂の巣にして撃沈し、どんどん近づいていく。


 志摩水軍も海岸に巨大船が無数に現れたと知ると船を出して迎撃に出るが、小型の木造船、大きくても関船程度であり、近づいてくれば手投げの爆弾てつはうや火吹矢を放って船を次々に爆発させていく。


 海上では敵わないと悟った志摩水軍は城に籠るが、乗せてきた兵2500名と積んできた大砲を降ろして50門で砲撃を開始する。


 ピストン輸送で追加で更に2500名のあと詰めが到着し、火砲が更に増えると小さな城を更地に地ならししていき、九鬼の居城だった城以外は全て潰して志摩水軍は全滅。


 一緒に戦った九鬼一族が志摩国に入り、統治を開始するのであった。









 一方北畠は木造城以外の支城は落とされ、砲撃により木造城もボロボロになっていたが、それでも抵抗を続けていた。


 圧倒的寡兵ながら闇夜に紛れて城を出て織田軍に奇襲を仕掛けて、滝川隊や丹羽隊が大打撃を受けたりもしたが、多勢に無勢……北畠家を伊勢から追放する代わりに旅費を用意することや家臣には責任を求めない事を約束して3ヶ月抵抗した木造城も陥落し、名門北畠氏は大名としては滅亡することになる。


 信長様は伊勢神宮に参拝及び献金と戦乱で手入れが行き届いていなかった箇所の修繕を指示。


 俺も伊勢神宮で合流し、戦勝のお祝いの席に参列する。


「猿、前に付いた傷は武士として誇りの傷だ。膿まなかったのも日頃の行いが良かったからだろう!」


「いやはや、今も誰かに支えてもらわねば歩けぬくらい痛いですな」


 秀吉の見舞いに行ったら秀吉と柴田勝家様が喋っていた。


「勝家様、お久しぶりです! 秀吉は大丈夫か」


「おお鶴、久しいな! 志摩攻めの活躍は聞いているぞ」


「家操アニキ、久しぶりです!」


 とりあえず秀吉を椅子に座らせて話をする。


「伊勢もこれで織田家は制圧しましたので伊勢、尾張、美濃、三河、遠江、飛騨、甲斐に信濃半国ですので7国半……表石高も200万石になりましたね」


「より大きな大名は三好と北条くらいしか無いが、北条とは婚姻同盟かつ関東以外に興味が無いので問題無し。三好は将軍殺しという悪行をしたから袋叩きが確定。うむ、織田家の次の敵は三好か! 腕が鳴る」


「今回の論功はどうなりますかな……ワシ的には5千石加増で1万石になりたいですが」


 秀吉の言葉に勝家様が


「いや、猿は武田攻めでも軍功を挙げていたから美濃の所領を更に加増で2万石くらい行くんじゃないか?」


「それだと嬉しいですが……家臣も増えてきたので家臣に加増をしたいですし」


「うむ、儂からも信長様に口添えしてやろう」


「ありがとうございます!」


「南伊勢は誰が入りますかね」


 うーむと3人全員が悩む。


 順当にいけば河尻か今回の戦で多大な功績を挙げた池田恒興辺りであろうが……。


「河尻殿と池田殿、金森殿で分割か森殿に与えるかですかね」


「そうだな……ただ儂の予想だと河尻、池田、金森の美濃や尾張の所領を集めれば3万石にはなるから今2万石の森殿に加増するのではないか?」


「森様は信長様のお気に入りですから離れさせることはない感じですかね。三人には加増で更に力を付けられる土地ですし……」


「そう言えば鶴、お前の息子達を連れてきているのだろう? 初陣に出す頃合いだし」


「ええ、5人ほど連れてきてましたが……信長様が連れて行ってしまいました」


「美男子なのか?」


「親ながら息子達は顔は良いと思いますが……」


「最近小姓頭になった信摩とその家臣になっていた北家と大家だったか? そ奴らも連れて行っていたぞ」


「流石に陣中でおっぱじめませんよね?」


「うつけだった頃の信長様ならまだしも今の信長様だったら大丈夫だろ……多分」


 俺達3人は一抹の不安が過る。


 そこに丹羽長秀殿が喋っている所に入ってくる。


「丹羽殿どうされました?」


「伊勢神宮への参拝と料理の用意ができたから本陣に戻るようにとのことだ。家操殿の息子達に囲まれて信長様は凄い上機嫌になっているぞ」


「ああ、侍らせているだけな感じかな……わかりました。秀吉。背負ってやるから」


「かたじけない家操アニキ」


 本陣に入ると饅頭を食べながら俺の息子に囲まれてニヤニヤしている信長様が居た。


「おお! 鶴! お前の息子達は美男子揃いだな! 愛くるしくてたまらん!」


 疑似美男子ハーレム状態の信長様は今頼めば息子達に所領をそれぞれ与えそうな勢いで上機嫌であり、それをやれば俺の織田家の立場が奸臣的なのになりそうなのでやらないが。


「戦勝おめでとうございます」


「うむ、鶴もよく頑張ったな」


「今後はどうしますか?」


「一旦様子見だな。畿内情勢がどう動くか分からん」


「わかりました。備えておきます」


「それとせっかくだ。お前の息子で嫁が居ないのは余が与えることにする」


「わかりました」


 こうして信長様が選んだ嫁を何人かが娶ることになるのだった。


 ……だいたいが京の貴族の娘だったが……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ