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1567年 家操34歳 明との交渉

 薩摩で島津家の歓迎を受けた俺はすぐに琉球王国へと向かった。


 琉球王国は現在の日ノ本でも少ない明との正式な交渉ルートを持つ場所である。


 そのために琉球王国の交渉ルートに組み込ませてもらうことでまず明との繋がりを持とうとした。


 島津家の紹介があったことで琉球の王にも話を聞いてもらう場を設けてもらうことが許された。


 硝子細工や工芸品、絹の織物等を贈ると、琉球王は喜ばれ島津家と同じように船の補給の為に立ち寄ることやある程度の交易は許された。


 まぁ大黒屋とか配下の商人が既に琉球には繋がりがあったことも話をスムーズに進行させた。


 一番の成果は琉球王に日ノ本の新王が織田信長様が就任したことを認めさせたことである。


 つまり外国から見ても室町が終わり、王位が織田家に移ったと認識したことを意味する。


 これは大きい外交的成果である。


 そして俺はそのまま船に乗って北上し、上海近くの港町へと向かった。


 いきなり首都近くの北京に向かうのは失礼だと思ったので第二都市である南京へと向かうルートを通った。


 港町では見慣れない船が来たことで騒ぎになり、船の形状からヨーロッパ商人だと思われたが、来たのは日ノ本の外交官ということで揉めそうになったが、琉球王が着けてくれた外交官のお陰で話し合いに応じてもらうことになった。


 現代で言うと県の議員クラスの方が来て色々取り調べを行われたが、まず明の皇帝への書状、日ノ本の朝廷と信長様の連書での日ノ本の王が変わり、織田信長が日本国王になったために認めて欲しいということ、貿易再開の許しが欲しいこと、貢物の目録などの書類を渡した。


 賄賂も少し渡すと真面目に対応してくれて、次々にお偉いさんがやってくる。


 最終的に南京の知府と呼ばれる都知事クラスと面会をして今回は、1隻で来たので贈り物の数は限られているが、勘合貿易が復活すればもっと大規模な船団で貢物の数も増えること、日本国王を認めてもらえれば更に量が増えるだろうこと(織田家による日本統治の正統性が大国明からも担保されるため)等を熱弁し、実際に贈り物の数々を見せると知府は大いに喜んだ。


 硝子細工の数々、刀剣や真珠を使った装飾品、漆細工に干し椎茸、瓶詰めにされた蜂蜜、絹織物等が贈られると熱烈な歓迎を受け、数カ月南京に滞在することになったが、毎日豪勢な食事でもてなされた。


 そして知府から俺が先ほど求めた条件の他に倭寇対策として台湾に拠点を築き、貿易の中継地点としたいことを追加で要望したが、これも許可された。


 新しく勘合符が贈られ、貿易港を寧波市(上海の南の貿易都市 旧来の日明貿易の拠点)にするように言われ、先ほどの贈り物の返礼品として中国の茶器や宝石、茶葉、薬類、香辛料等が贈られた。


 数カ月もてなしてくれた知府に勉強して覚えた中国語で感謝を伝え、俺は外交的成果と返礼品を積んだ船で日ノ本に帰国するのだった。






「鶴太ったか?」


「毎日豪勢なもてなしをうけまして……少々運動不足で丸くなりました」


「まぁ元気に帰ってきて何よりだ。目的は果たせたか?」


「はい、こちらが明皇帝から信長様を日本国王に認める書類と貿易に関する書類になります」


 帰国した俺は堺を経由して中国地方の前線で戦う信長様の所に行き、今回の成果を報告した。


 信長様は書類を一通り通訳に読んでもらいながら確認するとよくやったと言われた。


「これで西国同盟の財源の一部を断つことができたか」


「いえ、南蛮商人と石見銀山があるかぎり西国同盟の資金源を断つことは難しいでしょうが、織田政権の正統性の担保にはなるでしょう。私はこのまま水軍を率いて台湾の基地化を進めてまいります」


「うむ、そう言えばお前の息子達は十分に能力を発揮できている。鶴のように鬼神の如くとまではいかないが、よく連携できて最良の結果になるように模索する姿は織田家が膨張する前に行っていた戦術に近い……歳を取ったな」


「まだ人生50年には16年もありますぞ。播磨と但馬も抑えましたし、来年には滝川軍を四国攻めに使えますし、更にその翌年には順調にいけば柴田殿の北陸軍を中国戦線に投入することもできます」


「そうなるとやはり石山が邪魔であるな」


「巨大な石山には砲撃も効果が薄いですからね……上手いこと交渉の席に持ち込むしか無いかと」


「であるか……毛利が倒れれば九州諸国はキリスト教に毒され、異端者である石山を助けようとする勢力も無くなるか」


「それもありますが、あとは淡路を取れば石山の完全包囲は完成します。現状でも海上封鎖と5万の兵を養っているので兵糧は日に日に減っていっていると思われます……持って来年までかと」 


「しかし津田海軍が抜けると毛利水軍が再び襲ってくるのでは?」


「九鬼殿に頑張ってもらうしか……津田海軍主力で当たらなければ台湾領有も倭寇退治もできないので……」


「うむむ、とりあえず家操はよくやった。浜松にて英気を養え」


「は!」









 台湾を開発できれば500万石の米の収穫量はかたい。


 現代式農法を行なえば750万石は行けるかもしれない。


 しかも台湾には広大な金鉱山もあり、気候的にも米だけでなくサトウキビの栽培や漁場としても使える。


 しかも土着の民族も少なく、文明も発展していない……まさに植民地にしてくださいという土地だな。


 それでも首狩族といった危険な民族が居るので大規模な殲滅戦は必要だろうが……


「ちゃんと機能させるのには10年はかかるか……俺でないと明との交渉も上手く調整できるかも分からないし、頑張るしか無いな」


 浜松に帰った俺は約2年ぶりに領地に帰還できたために風呂で疲れを癒した後、側室達を抱きまくり、日本の料理を楽しむのであった。

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