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6.リリィちゃんは意外と策士

扉がノックされてスタッフさんが入室し、ケーキや紅茶を配膳していく。スタッフの配膳が終わり、退室してもなお、彼女の視線はずっとケーキに注がれていた。


「おいしそう…!食べていい?!」


「ええ。是非、食べて感想を聞かせて欲しいわ」


「お嬢様口調に戻ってるよー。とりあえず、いっただきまーす!」


「召し上がれ!」


リリィちゃんはショートケーキをフォークで一口大に切り分け、大きく口を開けて食べる。口に入れた瞬間、瞳を輝かし、口角を上げて味わっているので、本当の味を知っている彼女も気に入ってくれたようだ。


それを見届けて私も一口。


うんま!ふわっふわロールケーキ生地に、重くない生クリームと甘酸っぱいフルーツがさいっこう!



食べ終わるまでお互いに一言も発することなく、目の前にあるケーキに集中して味わった。


彼女にとっては久しぶりに食べた懐かしい味だろうから、喜んでくれて良かった。



紅茶で口を潤してソーサーに戻し、問いかける。


「それで、具体的にどうするの?」


計画もなしにうまくいくとは思えないから、ある程度の方針くらいは欲しい所よね。


「まず、知り合いになるところから始めないといけないのよね」


「あ、そっか。でも、チュートリアル終わってるんだよね?」


「終わっちゃってるねぇ」


「…今からでも間に合う?」


「どうにかするしかないでしょ!」


「策はあるの?」


「ない!」


「ないの?!」


そんなにいい笑顔で即答しないでぇ!


これは前途多難な気がする……。



「それよりもまず、ポルクス様に好きになってもらわないと!」


「それはそうなんだけど」


「で、恋人になって味方を増やして挑むっていうのはどお?」


「それ、いいかも!」


「でしょ~!」


意外とちゃんと考えてくれてた!良かったー!


そしたら私もふたりが付き合えるように協力しないとね!」


「良かったらなんだけど、悪役令嬢が出てきてない代わりに邪魔が多すぎるから私を虫よけとして使う気ない?」


「え、良いの?すっごくありがたいよ!」


笑顔で即答してくるヒロインであるはずのリリィちゃん。


ゲームの主人公はもっと天真爛漫で優しく、でも芯がしっかりとした女性って設定だったが、この世界の

リリィちゃんは明るいけど、ちょっと俗っぽい感じがする。



こっちの方が好感が持てるけどね。


「ていうか、あの悪役令嬢達が出て来ないの、本当に助かるんだけど!」


「そうでしょ?私に感謝してね?」


「ありがとう!本当にリアルであんなの相手することにならなくて良かったー!」


リリィちゃんは机に顔を突っ伏して両手を伸ばしてくつろぎ、清々しい表情を浮かべている。


本当にそう思う。私も絶対に関わりたくないもん。




でも懸念事項が一つ。


「そうなんだけど。でもあのキャラって、ポルクス様達と同じ二年生だから変な難癖付けて絡んできそうじゃない?」


「シャルー!そういうのをフラグって言うのよ!」


「あ、ごめん!」


「その時は助けてよね!」


「りょーかい」


彼女に軽く返答をした。


今の私は資産家だからね!しかも支援もしているから味方になる貴族家も多いし!



それでも一つ、彼女には納得して欲しい事があるんだよね。


「私からも一つお願いしたい事があるんだけど」


「何ぃ?」


「私が初めて助けた時のこと覚えてる?」


「う~んとね、覚えてるよ?」


「今ね、その時に絡んできたご令嬢達と親しくしているの。だから、リリィちゃんにもある程度仲良くして欲しいの」



そう、クレア様達のことだ。


今の彼女達は普通に学園生活を楽しんでいる学生だからそんなに難しくないと思うし、リリィちゃんと彼女達は同じクラスだから味方になってもらって悪い事はないと思う。


それに私自身、彼女達を気に入ってしまっているのだ。だから両方に仲良くして欲しいと願ってしまう。


「う~ん、あっちがどう思ってるかじゃない?仲良くする気があるなら仲良くするけどさ」


「それでいいわ!ありがとう」


「善処はするよ」


どうにか聞き入れてもらえてよかった!きっとリリィちゃんも、本当の彼女達と接したら分かるはずだもん!


そしてこの後は、クレア様達に引き合わせる約束とポルクス様についての簡単な擦り合わせだけしてこの日は解散することになった。






次の日。


「という訳でこちら、リリアーナ様ですわ。すぐに仲良くなるのは難しいとは思いますが、邪険にしないで下さるとありがたいですわ」


今はお昼休憩中で、テーブルにはクレア様とレイラ様、スーリズ様に私とリリィちゃんの計五人。


リリィちゃんを嫌がらせから守るためにも昼食を一緒に摂ることになり、そこへ三人が合流したのだが、注文を終えてから誰も何もしゃべらない。元加害者と被害者だから仕方ないんだけど、本当に気まずい。


「皆様、レバン男爵家長女リリアーナ・レバンと申します。出来る限りお邪魔は致しませんので、同席させて下さいませ」


彼女は真剣な眼差しで見渡した後、しっかりとお辞儀をした。


これには三人もびっくりして慌てて顔を上げるように言っている。


「リリアーナ様?!顔を上げて下さい!元はといえば、私達が悪いのですから」


「そうでしてよ!わたくしも、反省しているのですわ!」


「あの時はごめんなさい…」


ようやく顔を上げた彼女は瞳を潤ませながらも微笑んでいた。


でもそれが嘘っぽい気がするのは私だけなのかな…。


「ありがとうございます…!ずっと、ひとりで心細くって…!」


「そうでしたの。これからは私達と仲良く致しましょう?同じクラスメイトなのですから」


「な、仲良くして差し上げても、良くってよ!」


「これからよろしく、お願い致します」


「こちらこそ、お願いいたしますわ…!」


すぐに三人と馴染んで和気あいあいと会話をしている。


流石ヒロインという事なのかな?



そう思っていたのだが、テーブルの下で親指を立てて私に合図してきました。顔に視線を向けると、ニヤリという表現が正しいと思うような口角の上げ方をしていました。


リリィちゃん、恐ろしい子ッ!!!


でも、爆速で仲直り出来たからいっか!




リリアーナ・レバン男爵令嬢。


私と同じ転生者でこの世界のヒロインな友達が出来ました!

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!!!

ストックが全然ないので、評価といいねをして応援して下さいぃ〜m(_ _;)m


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何卒、なにとぞお願いします〜!!!

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