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2sdファイル:『祓』う女 神園 輝

【前回のあらすじ】

夏休みの宿題を持って帰り忘れた主人公、松原 文乃。

彼は快適な夏休みを謳歌するため、霊が跋扈する夜中の学校に侵入する。

何とか夏休みの宿題を獲得することが出来たが、その帰り道で猟奇霊に見つかってしまい、襲われてしまう。

そんな彼を救ったのは…謎の青髪の人物だった。

「………ぇ?」


俺はその光景から目が離せなかった。

先生や親からは、霊には()()()()()()()()()()()()()()と…そう教えられていたからだ。

霊は超常的存在だから、人の手ではどうしようもないと……俺はそう教えられてきた。

だからこそ、俺たち人々は夜を隠れ凌ぐしかなかったんだ。

しかし…


「●●●▼◆▲◆◎◎▼!!!!????」

「………」


銃声が鳴り響く度に、霊はつんざくような悲鳴を上げ、その身体には風穴が空いていく。

6発目の音が鳴り響いた時…

霊は逃げるようにその姿を消していた。

「ぁ…え?」

困惑する俺を尻目に、目の前にいる人は慣れた手つきで弾を装填して…

今度は俺に構えてくる。


「ち…っっっ、ちょっと、待ってくれって!俺が何をしたって言うんだよ!!!」

「…落ち着いてるか、霊は…もう居ないのか?」

「はい!?俺の目の前にいた霊はあんたが撃ち殺したじゃないですか!クソッ…なんでこんなことに…!」


立ち上がり逃げようとするが…先程の恐怖のせいか、腰が抜けてしまっていて上手く立てない。


「うん、そうか…なら良かった。」

青髪の人物は、そういうと銃を自分のホルダーに入れる。

「大丈夫かい?少年。」

「もう…何が何だかわかんねぇよ…!」

「落ち着いてくれ、僕は君の敵じゃない。」

「………女?」


その青髪の人物は片目が前髪で隠れていて…俺よりか1つか2つ程上…だいたい20前後かと思えるような細い男性…のように見えるが、声は思いっきり女性の声だ…何だこの人は…


「……とりあえずそこは聞かなかったことにしておくから…ほら、立てるかい。」

「まぁ…はい…」

差し伸べられた手を取り、起き上がる。


「…あんた、誰だ?」

「僕かい?僕は…ほら。」

青髪の人物は、俺に名刺を渡してくる。

俺は、警戒しながらその名刺を見る。


「えーと…なになに…神園(かみぞの)霊能探偵事務所代表…

神園 (かみぞの)(ひかる)ぅ…?

………探偵、さん…?」

「あぁそうだとも…全く、なんともツイてるしツイてなかったねぇ、君は。」

……それでも、なんでこんなところに探偵が…?


「…なんでここに探偵がいるのか、みたいな顔をしているね。」

「っ…!?」

この人、俺の心を…!?

「顔に出てるよ…全く、面白い少年だ。」


探偵さんはからかうように俺の事を笑う。

「っ…もうっ、なんなんですかっ…俺はもうとっとと帰って宿題やりたいんですよ!失礼します!!!」

「待った。」

「っ…えっ力つよ…!?」


探偵さんが俺の肩を掴む…離れようとするが、以外に力が強い。

「…君は、霊が『視えている』ね。」

「それがなんですか…!俺以外にも霊は見えるもんでしょう…!」

「いいや、君はしっかりと霊を捉える事が出来ている。

それも、はっきりとね。」

「………本当に、貴方なんなんですか…」

「…まずは要件だけはっきりと伝えようか。

この学校には、多分まだ悪霊が潜んでいる。

その除霊の手伝いをして欲しいんだ。」

「なんで俺がそんなこと…変なことに巻き込まないでください、俺はとっとと帰りたいんですよ…」

「そりゃまぁ…それを倒さないと…出れなくなっちゃったからね…」


───は?

出れない…?


「どういう…!」

「簡単なことだよ。

強力な霊は、獲物を逃さない為に檻に閉じ込める。

周りの景色と被せる形でね。僕らはこれを、『霊的存在による封鎖結界』…長いから、『鳥籠(とりかご)』って呼ばれてる。」

「ぁ…」


…あの時、教室に入った時、不自然に空いていた窓があった…もしかしてアレは先生の閉め忘れじゃなくって…あの霊に既に囚われていた…ということか…!?


「で、でもさっきアンタがその霊を倒して…!」

「んー、そうなのかい?」

「っ…さっきっから話が噛み合わねぇ!アンタが目の前で倒したのになんで肝心のアンタが分かってないんだよ!」

「そりゃだって…」


「僕は、『視えない』から。」

「…はい?」

「言ってるだろう?『視』えないんだよ、『祓』えはするけどね。」

「で、でもさっきは…!」

「あぁ、あれは君が怯えてたからそこにいるかな〜って思って…適当に弾切れまでパなしただけだよ。」


探偵さんが苦笑いする。


「そもそも!なんで俺が見れてアンタが見れないんだよ!」

「それは…恐らく『魔臓(まぞう)』によるものだと思うね。」

「ま、魔臓…?」

「魔臓っていうのは、稀に人の身体にできる目にも機械にも見えない不思議な臓器のことさ。

基本的には、体のどこかしらの部位に、ひっそり生えているね。

魔臓はその箇所によって、人に強い力を与える。

ま、大体の場合は意味の無いところに生えて、そのまま霊に喰われてるね。」

「喰われ……!?」

「思い出してご覧?君にも思い当たる節があるはずだよ。」

「………!」


…朝やっていた、霊に襲われたと思われる目無しや腕無し死体…そこにもしかして、『魔臓(まぞう)』が出来ていたから…?


「君の場合は…恐らく『瞳』に魔臓が宿っているんだろうね。」

「瞳……」


…目無し死体のニュースを、思い返してしまう。


…くそっ…急なことで意味がわからない…

鳥籠(とりかご)』?『魔臓(まぞう)』?

絶対に倒せないと思った霊を、見えないのに倒した探偵…

…この人、本当に人間か…?


「銃までもってて…本当に貴方人間ですか…?」

「そこは本当に間違いないよ…ただ、『霊専門の探偵』…だけどね。

これも上から支給された銃だし、人に対して殺傷性は0の安心仕様だよ。」

「霊、専門……上って…?」

「そこは後でゆっくり話すとしよう。

…で、協力してくれるかい?…というか、協力してくれないと僕少し困っちゃうな。」

本当に困ったような表情で、探偵さんが苦笑いする。


「……あぁもう、分かりました!分かりましたよ!協力すればいいんでしょう協力すれば!」


半ばヤケクソにそう答えてしまった。

色々考えたいことはあるけど…俺は目の前で困った人を見過ごせない。

…でもまぁ、本当に倒さなきゃ出れないなら…先生のためにも、友達の為にも、ここであの霊を何とかしなければ。


「うんうん、理解が早い少年は好きだよ。

それじゃあ追撃を始めよう。君に襲いかかった奴が何処に逃げたか分かるかい?」

「…それは、わかんないです。」

「じゃあまぁ…襲ってくるまでゆっくり探すことにしようか。」

「そんな悠長な…!」

「いいんだよ、この空間の中ではどうせ霊の胃袋の中なんだから…霊は僕たちを虎視眈々と狙ってるだろうし。

僕のことを話しながら捜索するとしようか。」

「………」


のほほんとそんな風に言ってくる…

今わかった。

俺は…この人が苦手だ。

…でも、今はこの人と何とかするしかないなら…


「……だぁぁぁもう!やってやりますよ!やってやりゃあいいんでしょ!!!」

「おお、やる気いっぱいなのはいい事だ。

…さて、行こうか。」


こうして俺たちは、霊を倒すために歩を進め始めた。

次回

『3rdファイル:VS『猟奇霊』』

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