言葉が僕を狂わせる
僕には好きなものがたくさんある。
それらは、心を優しく包み込んでくれるような、あたたかく、幸せいっぱいの笑顔が
こぼれ落ちるくらいに、幸せで満たしてくれる。
ある日を境に、それは
起きた。
まず、僕は熱しやすく冷めやすい。
だから、好きなものは一定の期間で注ぐ愛も冷めるもの。
好きなことに変わりはないが、
冷める前の僕は、周りが引くくらいの愛を注ぎ、夢中になっている期間は顔を赤らめ、好きなものを見るたびにテンションがあがる。そして冷めた頃にはときめきもせず、
普通の人として見ている。
決して差別でもない。
だって、
仲のいい夫婦でさえも、
愛に冷める瞬間があるはず。
つまり、「落ち着いた」という事。
燃えていた火が弱くなった、または消火したと捉えてもらってもかまいません。
何年かして、僕の姉が帰省してきた時のことだった。
部屋は元々、姉が使っていたが、
上京してからは僕の部屋になった。押し入れにはもちろん姉の所有物が入っている。
そして、片付けをしながら物の整理をしていると
昔好きだった人の雑誌を切り抜いたものが、
押し入れの中から見つかり、
姉は「何、これ?」と聞いてくる。僕は素直に「昔好きだった時期があって…」と恥ずかしそうに言う。
すると姉は一言「きもっw」
と言葉をもらす。
姉にとっては悪気のない一言だったのだろう
確かに、昔好きだった人だ。
それにしても言葉の表現というものがある。
その時心が傷ついた事がわかる。
胸の奥にトゲが刺さったかのように痛く、否定されたのだと受け取った。
もちろん姉に悟られぬよう
作り笑いでその場を交わしながら、今日まで何年も何年も思い出すたびに、胸が痛くなった。
それからと言うもの、
自分が好きなものを人に話す時には、この人には話してもいいという人を選び、
人の顔色を念入りに伺うことを覚えた。
うっかりこぼしてしまいそうになるが、必死にブレーキを踏み、それ以上前に行かないよう自分を押し殺す日々が
今も続いている。
これは、実話であり真実の出来事。
登場人物はフィクションとでもいいましょうか
個人情報を知られるのはご勘弁申し上げたいもの。
私が日頃どんな心情で生きているかは、
黙読された方のみ、繊細な心の持ち主にしかわかりえないことかもしれませんね。