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3:エルフ、初めてブラジャーを買う

バストサイズを測るシーンがありますが、運営のガイドラインに従って書いておりますので初投稿です。

 アパートから歩いて5分に、誰もが知っている大手ファッションセンターがある。


 広さもそこそこあり、大量仕入れを行うことで衣料品が安い事でも知られている。


 普段あまり服を買う機会が無い上に、女性の下着を購入することになるのだから緊張している。


 エルフになってしまった頭の部分よりも、先ずは胸をどうにかしないといけない。


 店に入ると、若い店員さんが笑顔で迎えてくれた。


「いらっしゃいませー!」

「すみません……お尋ねしたいことがあるのですが……」

「はい、なんでしょうか?」

「実はおr……いえ、私に見合う下着を探しておりまして……こちらで取り扱っていますかね?」

「下着というと……もしかしてブラジャーですか?」

「ええ、そうですね……可能であればサイズを測って欲しいのですが……」

「分かりました。試着室が空いておりますので、こちらにどうぞ!」


 思わず「俺」と言いそうになったがすぐに言い換えて私と発することが出来た。


 店員さんの対応が優しい。


 お陰ですんなりと試着室に入ってブラジャーの試着をする事が出来る。


 あと、自分の体感的にはかなりのバストサイズとなっていると思うが、胸囲の測り方は分からないので慣れている店員さんに聞くのが一番だ。


 メジャーを持ってきた店員さんは、せっせと計測を始める。


「それでは計測をするので服を脱いでもらってもいいですか?」

「えっと……Tシャツだけでいいんですか?」

「ええ、大丈夫ですよ。今、Tシャツの下は何か身に着けていますか?」

「そうですね……ちょっとブラジャーが無くてさらしを巻いているんですよ」

「あー……それだとちょっと胸がきつく締めてしまっている場合もあるので、しっかりバストサイズを計測する場合はさらしも外した状態で図るのがオススメです。さらしを外してもらってもいいですか?」

「わ、分かりました……」


 店員さんにアドバイスを貰い、Tシャツだけではなくさらしも外してありのままの姿を見せる。


 さらしを外した瞬間に、胸がたゆんたゆんと揺れている。


 すると店員さんは「うおっ……」と声を漏らした。


 やはり胸が大きいと、それなりにビックリするようだ。


 いや、正直言って俺も思っていた以上に胸が弾んでデカさを実感する。


「そ、それでは計測しますねー」


 気を取り直した店員さんは、メジャーを使ってバストの周りをぐるぐると巻いて計測し始めた。


 最初に胸の先端から背中をぐるっとメジャーを周ってトップバストサイズを測り、その次に胸の付根の胸囲の部分……アンダーバストを測るそうだ。


 このトップバストからアンダーバストを差し引いた数値で、身に着けるバストを決めるらしい。


「トップバストが100センチで……アンダーバストが75センチなので、差が25センチ……じ、Gカップに相当しますね……」


 どうやら、俺のバストサイズはGカップに相当するらしい。


 あまりバストサイズに関して知識は疎いが、確かGカップって日本だと100人に1人か2人ぐらいしかいないサイズだったはず……。


 なので、相当大きいのは間違いない。


 思わず店員さんに尋ねてしまった。


「やはりGカップってかなり大きいですか?」

「勿論ですよ!丁度当店で取り扱っているのが最大でもGカップまでなので、それ以上だとお取り寄せになってしまうんですよ!」


 店員さん曰く、Gカップの女性はごくごく稀に来る程度らしい。


「Gカップサイズを買いに来るお客様もいるにはいますが、あまり機会がないですね……」

「そんなに少ない感じですかね?」

「そうですね……買いに来たとしても多くが外国人の方だったりするので、本当に片隅に展示されているだけって感じですね」

「あー……それだと在庫とかって無い感じですかね?」

「いえいえ、在庫はありますよ!まだ何着かあるはずなので持ってきますね!少々お待ちください!」


 そう言って、店員さんは駆け足で持って来てくれるようだ。


 本当に有り難い。


 絶対買わせて頂きます(決意)


 さて、CカップやDカップのバストサイズのブラジャーは種類も品揃えも豊富らしいが、Gカップとなると種類も品揃えも限られてしまうとのこと。


 ただ、今の状況ではあれが良い、これが良いと言っている場合ではないので、ブラジャーは店員さんにチョイスをお願いしてもらうことにした。


 戻ってきた店員さんは、カゴにブラジャーを入れた状態で持って来てくれた。


「お待たせいたしました。こちらが店にあるGカップ用のブラジャーになります」

「ひぃ、ふぅ、みぃ……今ある在庫が三つなんですか?」

「そうなんですよ。Gカップサイズとなるとこれだけになりますね。試着してみますか?」

「はい、是非一度お願いします」


 俺はカゴの中から黒色のブラジャーを取り出すと、早速ブラジャーを身に着けることにした。


 ブラジャーの表面にはいばらの模様が描かれており、ブランド品らしく肌ざわりもよかった。


「Made in American……ああ、これ日本製のやつじゃないのか」


 ブラジャーのラベルを見てみると国産ではなく、米国製のブラジャーだった。


 やはり胸が大きいサイズは国産よりも海外製のブラジャーが多数を占めるようだ。


 まぁ、日本よりもアメリカのほうが胸のサイズが大きい人も相対的に多いはずだからね。


 こうして俺は、人生初のブラジャーを身に着けることになった。


(えっと……確かストラップ部分を肩に掛けてから後ろにあるホックを留めるんだっけ?)


 前かがみの姿勢になって、後ろのホックを留める。


 2分ほど時間を掛けてホックを留めることが出来たが、その後が中々難しい。


 ブラジャーからはみ出さないように形を整えているのだが、真ん中に寄せようと胸を包むような感じでやらないと、ずれてしまうのだ。


(思っていたよりもブラジャーを身に着けるのって大変なんだなぁ……想像していたよりも数倍大変だわ……)


 なんとか胸を寄せてから、最後に肩に掛かっているストラップ部分で長さを調整する。


 微調整と合わせると、ブラジャーの着用に5分近く掛かってしまった。


 こうしている間にも試着室の外では店員さんが待っている。


 なんとかブラジャーの着用が完了したので、店員さんに見てもらって大丈夫か尋ねる。


「すみません、お待たせしてしまって……」

「いえいえ、仕事ですから」

「あの……これで着用の仕方は問題ないでしょうか?」

「そうですねぇ~……着用してみてブラジャーがきつすぎたり、ストラップやカップ上部がずれていなければ問題ないですね、これで大丈夫ですよ」


 どうやら大丈夫のようだ。


 サイズといい、感覚といい……。


 やはりブラジャーがあるだけでもかなり違う。


 胸が支えられているだけでも、負担が少しばかり楽になる。


 やはりあって損はない。


 俺は店員さんにブラジャーを買う事を伝えた。


「すごくいいですね……このブラジャーを下さい」

「成程……それじゃあ、残りも全部下さい」

「えっ、全部ですか?」

「今あるのがさらししかなくて……ブラジャーがあるとそれだけ助かるんですよ」

「分かりました」

「あと……出来れば今身に着けているブラジャーもこのまま会計したいのですが……」

「あ、全然大丈夫ですよ!何でしたらここでバーコード読み取っておきますね」

「ありがとうございます。助かります」


 こうして、エルフになってしまった俺はブラジャーを買う事に成功した。


 一先ず目下の悩みの一つが解決されることとなる。


 ちなみにブラジャーはサイズが大きかったことと、それなりのブランド品だったことも相まって3つで税込み2万円であった。

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