〚娘と妖精王 ~救いの物語~ 〛
この作品は秋月 忍様主催企画『アンドロメダ型企画』参加作品となります。
ある所に、娘がおりました。
心優しき娘です。
しかし、娘はずっと家の中から出たことがありません。
家の中の景色しか知らないのです。
何故なのか。
娘の本当の両親は、娘が幼い時に流行り病で亡くなったので伯父夫婦が引き取ったのです。
その叔父夫婦。
娘がまだ幼いというのに、これは大層な美人になるだろうと予想し、高値で売り飛ばそうと考えて育ててきたのです。
娘が逃げ出さないように、家の中だけで育て、おまけに重い錘の足枷まで着けさせていたのです。
だから娘は、家の中の景色しか知らずに今の今まで育ったのです。
重い錘と鎖を引き摺りながらも、娘は家の中を器用に動いてはよく働いた。
そして笑顔を決して忘れない娘であった。
そんな娘の趣味は、家の窓辺で育てている花々であった。
窓辺で愛おしそうに花々を育てる娘にを見つけた者が居た。
人間界に忍んでやってきていた妖精王であった。
妖精王は一目で娘に恋をした。
不思議な力で、妖精王は娘の環境と生い立ちを知った。
何としてでも娘を妖精王は助けたかった。
ある晩。
満月の夜。
月の光の加護を得て、妖精王は人間の青年の姿となった。
娘の家の戸を叩く妖精王。
正々堂々と、伯父夫婦に娘を妻にと望んだ。
驚き、はにかむ娘と憤る伯父夫婦。
手を取ろうとする娘と妖精王の青年を引き剝がす伯父夫婦。
果ては青年である妖精王を害そうとした。
その時。
満月が輝き、月の加護の力が最大限に高まった。
そして、光が家の中に溢れる。
目を覆いたくなるほどの、金の光……。
その光が消えた時。
家の中には気絶した伯父夫婦と娘の鈍色の錘と足枷しか残っていなかった。
娘と妖精王は、妖精の国でそれはそれは幸せに暮らしたという。
〖おわり〗
お読み下さり、本当にありがとうございました。