表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サバイバルしてたらステータスに目覚めた  作者: 角谷 樹
第一章 目覚めと現代ファンタジーの始まり
5/18

薬中少女に遭遇したら、助けたくなった

ついにヒロイン登場!

 俺は今、俺の人生で一番、絶体絶命の危機に立たされている。


 何にかって?

 鬼にだよ、鬼。


 2メートル半以上はある身長に、筋骨隆々とした身体。そこまでなら人間にもいそうだが、頭に生えた二本の角と、牙が飛び出ている恐ろしい顔に、血を浴びた様な真っ赤な肌。


 何処からどう見ても鬼である。


 それに加えて、片手には血らしきモノがついたトゲトゲした金棒に、もう片方の手には下半身をなくした、サラリーマンぽい格好の男性と思われる上半身だけの肉塊。


 そして、ソイツが俺を見た瞬間、二ヤーと笑ったのだ。


 もうね、これ、アカンヤツやん。名付けるなら殺人鬼(本物)だよ!

 完全に俺、標的にされてるよ。どうすれば良いの?


 いや、殺るよ?来るなら躊躇なく殺れちゃいますよ。だって、彼?彼女?はその大きくて硬い棒(卑猥な意味ではなく)で片手にいる人に殺っちゃてるんだから俺は当然このビリビリ(雷電)するヤツで逝かせてやるぜ?(全く卑猥な意味はありません)。


 まぁ、現実逃避は此処らでおしまいにしよう。


 鬼がサラリーマン?の上半身を捨て、こちらに向かって歩いて来る。


 危機感を感じ、俺はその場から逃げた。鬼から少しでも遠くに逃げた。


 鬼は慌てた様子はなく、ただニヤニヤとこちらを見ながら歩いていた。





 なんとか鬼から逃げ切る事ができたが、まだこの無人の世界から奪取するができてない。


 それに今俺が持っている荷物は多過ぎる。鍋や色々の金属製の物などを入れているので、逃げている間とても騒がしい。これじゃ自分の位置を教えている様な物だ。


 一旦、荷物の中から必要な物に分けて荷物を置いて逃げるしかない。幸い今トイレの近くにいるのでトイレに荷物を置こう。


 トイレに入り、個室の扉を開けた。


「へっ?」


 中には人がいた。それも俺と同じ歳か、少し上くらいの女の子がいた。


 此処は男子トイレだ。だから本来なら女性である彼女がいるのはおかしい。


 だが今、それより問題がある。それは今彼女が粉状の物を持っていて、それを吸おうとしていた所だった事だ。


 俺はすぐに彼女が持っている粉を叩き落とし、手洗い場に行き手を念入りに洗う。


 先程、彼女が持っていたのは薬物、麻薬や覚醒剤などの類だ。その証拠にあの粉を叩き落とした時、〈薬物耐性Lv.5〉を獲得した。薬物の耐性って、響きが悪いな(実際には、効果は薬物の効果を受けにくくなる良いモノだが)。


 あの薬はどうやらかなり危険なものの様だ。一回、触った程度でスキルレベルが一気に5まで行くとは相当だぞ。


『スキル〈洗浄Lv.1〉を獲得しました!スキル〈洗浄Lv.1〉のレベルがMaxに上昇しました!』


『異能スキル〈浄化Lv.1〉を獲得しました!』


 いきなりスキル獲得からのレベルMax。上がりすぎじゃね?

 まさかこの粉そんなに?いや、それなら耐性の方がレベルMaxになるはず。て、ことはこの無人の世界ではスキルの熟練度(スキルレベルの上がり)が上がるのか?

 試しに〈発火〉で試してみよう。


 〈発火〉で指先から膝までので火を出す。それを何回か形を変えたり、熱量を上げてみたりした。


『異能スキル〈発火Lv.3〉のレベルが7に上昇しました!』


 すると火の火力が上がり、火のサイズが男子トイレだけでなく、女子トイレまでも包み込めるほどまで出せる様になった。実際にはやってないよ?やったら俺だけでなく、この男子トイレにいた彼女まで巻き込んでしまう。


 そうそう忘れていた、彼女は薬物を叩き落とされたことに怒り、怒鳴っていたが、俺がいきなり炎を出すことに絶句し、茫然としていた。


 俺は彼女を見てとても哀れに思った。


 俺とそんなに変わらない歳で顔も悪くない、というより、美少女だ。なのに、とても強い絶望と後悔の感情を俺は感じていた。


『異能スキル〈精神感応〉が覚醒しました!』


『ステータスに異能力が表示されます!』


 そして〈精神感応〉が覚醒することによって、俺は彼女が何に絶望しているのかがわかった。


 彼女は元々学校では人気者であった。顔もよく、性格も良かったことで、友達も多く、多くの人から好まれていた。

 ある時事件が起こった。彼女はある男子生徒に告白された。しかしその男子生徒は彼女にとって親友の彼氏だった。これまでにも彼女は、彼女がいるのに告白してくる男子はいた。だから彼女は男子生徒の告白を断った。

 その男子生徒はあっさりと引き下がった。


 しかし、その男子生徒をフった翌日、彼女の親友からこんなことを言われた。


「彼に振られた。理由を聞いたら、アンタに告白して、アンタが断ったから、私のせいだって言われた。アンタのせいで、アンタのせいで!なんで彼はアンタの事が好きになったの!?アンタ、彼に色目つかったの!?絶対にユルサナイ!」


 彼女は親友からの言葉に衝撃を受けた。


 それから、彼女の日常が変わった。

 彼女は周囲から寝取り魔、尻軽と罵られ、陰湿ないじめを受けた。学校指定の上履きは画鋲が入れられていたり、ゴミに入れられていたり、泥で汚されていたり、ズタズタに引き裂かれていたりなど、上履きにできる嫌がらせは殆ど受け、教科書が無くなり、見つかっても落書き、泥まみれ、引き裂かれ。机にも虫や蜥蜴、落書きという典型的ないじめを受けてきた。


 しかしこれらは、まだ彼女が薬物を始めた理由でも、絶望した理由の一部にすぎない。


 ある日親友が仲直りしようと彼女の家にやって来た。


 彼女は日々のいじめで精神的に疲れていた。


 そんな彼女に親友は「疲れを和らげる薬」と言い、粉末状の薬を渡し飲ませた。


 そして、彼女の意識の遠くなっていた。そして彼女意識が無くなる前に最後に見たのは、親友の醜く嫌らしくニヤつく顔だった。


 彼女が意識を取り戻した時、彼女の周りには知らない男達に囲まれ、ベッドで寝ていた。周囲に満ちたイカクサい臭いと裸の自分と男を見て、彼女は全てを悟った。

 親友に裏切られ、女としての尊厳を踏み躙られたことに。


 そこからは親友だった女と男たちに麻薬漬けにされ、心も体も弱って行き、今に至る。


 彼女は何も悪くなかった。周りの醜い人間達によって彼女の人生は狂わされたのだ。


 そして今、彼女は俺と同じでこの無人の世界に囚われている。鬼は俺を殺した後、彼女も殺すだろう。


 そんなことはさせない!こんな哀れな彼女は絶対に殺させない!あの鬼から彼女を助け、人間と薬物によって侵された彼女の身体も心も助ける!ステータスにスキルもあるんだ!絶対に助ける!


「だから、まずは、ヤツからだな」


 もう鬼は近くまで来ている。トイレを出た通りを更に出た、大通りに立っている。


 何故わかるって?


 それは先程覚醒した〈精神感応〉で奴の感情が位置と一緒に俺のところに届くからだ。


 ヤツは今、俺の位置がわかっており、俺がヤツに気づいていることもわかってる。そして、とても純粋な殺意を出している。というよりヤツにはヤツには殺意しか無い。本当に殺人鬼としか言いようのない化け物だ。


 俺は彼女を残してトイレから出る。すると彼女も出てくるがこれは別に俺を慕っているから、ではない。彼女は薬物中毒で正常な精神状態ではないのだ。とても不安定で、薬物を求めている。そして薬物を摂取しようとしていたところを俺が邪魔したから俺から薬物、もしくは金を、奪おうとついて来ただけだ。


 では、何故俺は彼女を助けようとしているのか?


 理由はいくつかある。一つ目は彼女を哀れに思ったから。彼女は理不尽に人生を狂わされたからだ。二つ目に女性だから。俺の家ではいつも女性を守る、助ける様に言われて来た。そうすることによって、いずれ良い人と結ばれると言われて来た。親父はそうやって母と結ばれたと言っていた。だから、俺もそこに期待していないと言えば嘘になる。


 そして最後に、一目惚れだ。彼女は今では薬物中毒者だが、元々は清い精神の持ち主だ。俺は小さい頃から相手の感情に敏感だった。それ〈精神感応〉に彼女の中にある過去の彼女の精神を見る事ができた。


 彼女の精神はまるで光輝く透明なダイヤモンドの様であった。汚れを跳ね除け、力強く光輝いていた。今では汚され、濁った光を放っていたが、その汚れの奥にはまだダイヤモンドの様だった。


 彼女は、まるでうちの母のような宝石の精神を持っていた。うちの母も彼女の宝石のような精神を持っていた。だから俺は母を尊敬しているし、好きだ。


 母のような宝石のような精神を持つ女性は彼女を含め、二人しか見た事がない。


 だから、そんな彼女の心を磨き上げ、助けたい、救いたいと思った。


 その為に、


「テメェ、ぶっ飛ばす!」


「グオオオオオォォォォォォォオオオオ!!!!」


「ヒッ、何、あれ?」


 彼女は小さく悲鳴を上げ、尻餅をついた。


「下がってて。〈発火〉!」


 ボゴッ、ゴオォォ!


 通路のすべてを包み、炎が鬼に向かって突っ込んでいく。


「シッシッシッ!」


 鬼は不気味な笑い声をあげながら突っ込んでくる炎を正面から受けた。


 そして炎が消えて俺の目の先には、殆ど無傷で余裕の笑み浮かべる鬼をであった。


『異能スキル〈発火Lv.7〉のレベルが9に上昇しました!』


「流石に初級じゃ効かないってか。なら今の俺の全力の中級ならどうかな?〈雷電〉」


 俺は指を銃のように構え、指先を鬼に向ける。


 ピカッ、ドギャアアアアァァァァァン!!!


「グギッ!」


 最初の攻撃が全力だと思っていたのか、油断し切った鬼は光が見えた瞬間に電光に当たり、その身を痺れさせ、焦がした。


「グッ、ガガッ」


 ドォォン


 鬼はその身を床に落とした。


「まだ生きてるかもな、人間でも雷に当たっても生きてる事があるって聞くし、追加の〈雷電〉、〈雷電〉、〈雷電〉、〈雷電〉……………」


『異能スキル〈雷電Lv.1〉のレベルがMaxに上昇しました!異能スキル〈雷轟Lv.1〉を開花させました!』


 倒れた鬼に容赦なく打ちまくる、鬼に対する鬼畜の所業、だが、あの鬼が本当に死んでいるのかわからない。〈雷電〉を打つごとに威力が上がっているので、どんどん打っていき、更に上位の〈雷轟〉も開花したので、今度はこれを打っていく。


 そして、〈雷轟〉を何発も打ち、スキルレベルが5になったあたりで鬼の身体が散り散りなったので打つのをやめた。

(*´∀`*)主人公鬼畜アンド慎重!敵がチリになるまで攻撃しないと落ち着かないのです。よくあるでしょ?倒したと思ったら倒されたフリとか。あれされると怖いので主人公は相手が完全に死んだと確信しないと落ち着かないから打ちまくるんだよ。


「面白い」「続きが早く読みたい」という方は評価、感想をいただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ