先生してたら定住してた
タイムスリップして、二ヶ月程。
俺達はまだ、現代に帰れていなかった。
えっ、紗織の〈時空操作〉で帰ればいいじゃん、だっって?
残念ながらできません。
自分たちで試す前に、花を使って、〈時空操作〉で未来に送り出すことはできるのか、という実験をやってみた。
始めに花の時間を加速させた。結果は、花が枯れた。次に花の時間を送らせてみた。結果、風が吹いたら吹き飛んだ。どうやら対象の時間を遅らせると周りの影響を何十倍にもして受けるようだこれでは使えない。もし俺達がそれを使えば、周りが加速して見え、500年の間に身体がバラバラになるかもしれない。
次に時間を停止した場合だが、これは紗織本人にかけることはできない。それをしてしまうと紗織は時間が止まってしまうので、停止を解除できなくなってしまう。他の時間停止能力を持つものに解除してもらうしかない。
俺だけ時間停止で現代に戻ることもできるがそれは論外だ。この時代に紗織一人を置いて帰ることはできない。
だから俺達は現代に帰る方法が今のところ何一つない。
唯一の可能性は時間旅行系の能力を持つ人に助けてもらうしかない。そのためには、歴史に名を残すしかないのだが、そうしてしまうと未来にどんな影響が残るかわからない。
この戦国時代で名を残す一番の方法は戦に参加し、立身出世することだ。だが、それをやると未来に本来生きていた人がいなかったことになるかもしれない。
そのいなかったことになるかもしれないのは俺や紗織かもしれない。
なので人を殺すのは極力しないようにしようと思う。
そして今俺がしていることは金稼ぎだ。
尾張に来た当初、前回の戦で稼いだ銭を使い、俺達は長屋を借りた。現代に比べればボロいし、汚いが今の銭では仕方ない。
そして俺はどうやって稼ぐかだが、もちろんスキルを使う。
異能スキルが使えないのにどうやってスキルを使うのかって?忘れてもらっちゃあ困る。スキルは異能だけではないのだよ。使うのは技術スキル、〈工作〉〈鍛治〉〈料理〉〈医療〉〈製薬〉などを使おうと思う。
結果、〈工作〉と〈鍛治〉と〈料理〉は失敗した。
〈工作〉は誰が作ったかわからないものを誰が買うのか?って事で売れない。〈鍛治〉と〈料理〉は修行期間が長く、何年も見て学べ、実践は学んでからだ、という事ですぐにはできない。
どれも現代で高評価を受ける物が作れるのに作らしてくれないから、やるとしたら別のが成功した後からだ。けっ。
〈医療〉と〈製薬〉は先日戦をしたばかりなので、今の需要はある。それにこの時代の医者は素人でもなれる。だけど効き目、腕がなければ袋叩きになる。
〈医療〉〈製薬〉のスキルレベルはカンスト済み、〈医療〉では切断されてなければ傷の大体は治せる。
〈製薬〉は何と雑草から万能薬が作れる。これが技術スキルの中で一番ぶっ壊れてると思う。
今だけでもなく、この時代の人達はよく怪我をし、病気になる。冬になれば流行病も流行する。医者の需要は尽きない。
ただ平民は銭をあまり持っていないのが多いので、物々交換での支払いが多いが、それを使った炊き出しをすれば俺の料理の評価を得られるので〈料理〉を使う日も近いだろう。
そしてタイムスリップして二ヶ月程が経ち、異能スキルが使えるようになった。そろそろ家が欲しくなってきた。
紗織にも綺麗な部屋で寝させてやりたいので、そろそろ土地を買おうかなと思っている。
それも家がボロが建っていない空き地がいい。
何故か?それは自分で建てるからだ。材料もしくは異能の力で簡単に家を建てれるし、清潔ない家を建てたい。
〈創造〉のスキルレベルがカンストし、新しく派生したスキルを使ういい機会だ。
異能を人前で見せてもいいのかって?
いいんだよ。どうせ未来では嘘っぱちか御伽話と思われるさ。
そうして良い土地がないか探したらボロっちい神社だった廃墟を見つけた。
もう誰も住んでいないみたいなので此処に住むことにした。
中に入る。
まずは、
「〈ダンジョン創造・コア生成〉」
バスケットボール程の紫色をした玉が空中に現れたので落ちる前にキャッチ。
『ダンジョンコア、ナンバー001。創造主、佐藤初様、ワタシクシをお造りくださり感謝に尽きません。ワタクシに使命を所望します』
レベルアップなどの通知に似た声がダンジョンコアから聴こえてくる。
戦国時代なのにダンジョンという異世界ファンタジーを持ち込むな!って?
堅いこと言わさんな。
「よろしくナンバー001。俺が求めるのは清潔感のある住居と生活していくための食料だ。食料に関しては自分たちでなんとかなる。住居を作って欲しい。出来るだけこの時代にあったものにしてくれ。それとお前に名を与える。お前の名は一葉だ」
001だから一葉ね。
『ありがとうございます。とても造物されたものとして嬉しい限りです。それと申し上げにくいのですが、DPが足りません。DPが足りないので、創造主様のお望みを叶えることができません。もうわけありません』
ダンジョンはエネルギーがないとその真価を発揮できない。作ってから最初からエネルギーがあるわけではないのか。
「〈ダンジョン創造・設定〉、〈鑑定〉」
ーーーー
鑑定結果
名称:一葉
種族:ダンジョンコア
DP:0/∞
スキル
〈エネルギー変換〉
ーーーー
ーーーー
名称:エネルギー変換
説明:熱や電力、物質などをDPに変換する。
ーーーー
「お前には〈エネルギー変換〉というスキルを付け足した。これで、俺からエネルギー供給ができるはず」
『誠に申し訳ありません。お願いします』
「それじゃ、いくぞ。〈火神〉!」
手に持つコアに炎を送り込む。
『っ!来てます、熱いのが!流れ込んでます!』
そのセリフはまずいって、卑猥じゃありませんか?俺の頭が変態なんでしょうか?紗織さん、そんな変態を見るような蔑む目で見ないでください。これはただのエネルギー注入です。
ーーーー
DP:18,530/∞
ーーーー
『それでは住居を作らせていただきます。屋敷型ダンジョン、生成!』
今いる、神社が揺れたし、その姿を変えていく。
そして神社があった土地にはボロの神社はなくなり真新しい日本屋敷が建っていた。
「うん、いい感じだ。紗織を呼びに行ってくるか。一葉、俺が留守にしてる間に誰が侵入してきたら出られないようにしてくれ」
『わかりました。お気をつけていってらっしゃいませ』
俺は俺は住まいを移動するために紗織を呼びに行った。
「わぁ、すごいです、初君!いきなりこんな屋敷に住めるなんて」
早速連れてきた紗織はとても驚き、屋敷へ走り出した。
「ああ、今まで長屋暮らしで、紗織にも無理をさせていたからな。これはいつも支えてくれている紗織へのお礼だ」
「初君……ありがとう」
「よしっ、これからは活動をドンドン広げていくぞ。この時代では戦が一番歴史に名を残すことが一番簡単だがそれだと未来にどんな影響が出るかわからない。だから俺達は別のことで歴史に名を残すぞ!」
「はい!」
未来に大きな影響を出さない為に、俺で出来ることをするぞ。
「魚一匹五十文を七匹買った場合、値段いくらになるでしょう?」
「ん〜?」
「わかんないよ〜」
「そうだ、三百だ!」
「惜しい!ハズレだ。みんな、わからなかったら算盤使っていいからね」
「先生、わかったよ!答えは、三百五十でしょ!」
「正解!飴だよ」
「やったー!せんせー、ありがとう」
「今は昔、竹取の翁という者ありけり。どうぞ」
「「……「今は昔、竹取の翁という者ありけり。」……」」
「次は字もかけるようにしましょう」
「「……「はいっ!」……」」
「このように、生き物の死骸や、糞尿を土に混ぜて放っといた土は植物の良い肥料になる。もちろん病にかかったもんのは使うなよ。移るからな」
「はーい」
「世界は玉のように丸い。その証拠に海の向こうの国は見えんだろ?あれは、玉の側面にいくら突起をつけようとも玉の頂点を平行で向こうの突起を見ようとも見えないだろ?あれと同じだ」
「じゃあ先生、なんで大地の反対側にいる人らは落ちるのか?」
「いや、それはない。何故なら、物を落としても大地に落ちる。これ重力と言ってな、玉の中心に引き寄せられるからだ。いくら、人が跳ぼうとも地に落ちる。つまり大地の反対側にいても地についたままだ」
「ハッ、ハッ、セイッ!やぁ!
「「「「ハッ、ハッ、セイッ!やぁ!」」」」
「次は組み立てだ!ドンドンかかって来い!」
「「「「オッス!」」」」
歴史に戦以外で名を残す。
その中で俺は医療と教育を思いついた。医療はスキル頼りだし、後の医聖、曲直瀬道三に悪いからね。
教育なら吉田松陰のような教育者が有名だろう。彼は江戸時代だが、まぁ俺は彼に憧れている。だから彼のようになりたいと思っていた。
今、俺は屋敷を開放し、塾を開いている。
最初はかなり人数が少なかったが今では大分増えてきた。
俺は算術と農業と物理、後武術をやっている。
紗織は国語だ。できれば兵法や古典、政治も入れればよかったのだが、兵法は習ったことないし、古典は曖昧。政治はこの時代でやっていいのかわからない。
だから出来ることをやっている。
「「「「先生!よろしくお願いしますっ!」」」」
今では先生と呼ばれている。
もし、元の時代に戻れないのであれば定住もいいかもしれない。
戦以外で歴史に名を残せるとしたらこれかな、と。
誤字脱字を教えていただければありがたいです。
ブックマーク、感想、高評価をいただければ嬉しいです。




