オフィリシア
世界とは、争いのない今生のことを示す。
皆が平等に授かり対等に関わり合い、支えあってこその人生。それが生きるということ。私たちはみんなで一つの命でありその個々が尊ぶべきものである。己以外を他とするならば、他を陥れることなどあってはならないしまずあるはずもないだろう。それが我らが世界、オフィリシア。この世界には八つの国があり、それぞれ各国が誇る『色』に紛うことの無い国宝が存在した。
例えば通称紫の国ーーヴァルモンテに、花が咲き小さな魚の住む池がある。その池の花は透き通った透明感のある薄紫色の花弁をしていて、触れれば崩れてしまいそうなほど薄く儚げな花々が鏡のように澄んだ水面に咲き乱れている。ゆらゆらと誘うように泳ぐ魚の艶やかな琥珀の鱗。池の最奥には小さな滝があり、その飛沫が水面をはねて純白の真珠に姿を変えてはまた水面に落ちて水になるを繰り返していて、それはもう言葉を忘れてしまう美しさなのだ。
他にも橙の国カラタールには惑うほど極上な実のなる木、緑の国ーークリフは慈悲深い聖母の大地など青の国や白の国、他3ヶ国にも同様に美しく、甲乙つけがたいほど類を見ない国宝をそれぞれ有し、各国の国民は自国の宝を心から愛していた。
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