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職場の鬼、異世界で魔王になる!  作者: ひなつきりんご
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職場の鬼、召喚される

強く閉じた瞳を開けると知らない場所に居た。

幻聴だけにはとどまらず、幻覚までが見えるとは失恋が及ぼす影響は計り知れない・・・なんてものではない・・・

私は夢をみてるの?ここはどこ?屋上のベンチにいたはずでしょ?

真っ赤な絨毯が続く長い廊下、壁は艶のある木造で、ステンドグラスの窓からは柔らかい光がさしこめてる、大きなアンティーク調のシャンデリア・・・「え?夢?」何なの?怖い・・・誰か教えて・・・。

「夢ではありませんよ。ご主人様」

声に驚いて振り返ると、そこにいたのは背の高い男の人・・・銀色の長い髪、白くて艶のある肌、瞳は薄い紫色、こんなに綺麗な顔の男の人は見たことがない、でもそれだけじゃない・・・角が・・・生えてる。

真っ暗いローブに身を包み、まるでおとぎ話の魔法使いみたい。

「・・・コスプレ・・・ですか?」思わず声に出して言ってしまった。

「?・・・コス?何ですかそれは?」きょとんとしているその人は続けて言った。

「お初にお目にかかります ご主人様、私はメノウと申します。あなたを探し、スカウトし、ここにお連れしましたのは何を隠そう私でございます」メノウと言うこの人は私を見つめて、にっこりとその美しい笑顔を見せた。

「・・・私が、いつスカウトされてそれをオーケーしたのでしょうか?」私は何が何だかわからないまま会話を続けた。

「何をおっしゃいますか?自分からなるとおっしゃったじゃないですか?」

話の意味まで分からなくなってきた、「一体なんの話ですか?どのようにして私をここに連れてきたのかは全くわかりませんが、私はまだ仕事の途中です。早く返してください」職場での鬼モードに切り替わった私はぴしゃりと言った。

メノウは悲しそうな顔をして私を見ている。

「あなたは昨日なるとおっしゃいました。そして転職したいとおっしゃった、私との会話のやりとりは契約につながるのですよ、そう、もう契約はすんでいるのです。今日からここがあなたの職場であり世界なのです」

「?私が何になると言ったって言うんですか?」だんだん腹がたってきた、話が全然みえない。

メノウは私をそのアメジストのような瞳で見つめ静かに私の手をとった。

そのしなやかな動きがまるで映画のワンシーンのようだ。

どうしてだろう、見つめられると身動きがとれなくなるような感覚に陥る。怖いようなずっと見つめていたいような・・・「言ったではないですか?魔王になって下さると」

「ま・・・まおう!??」悪い夢だ、早く覚めて・・・。

私の石のように固い頭はどうやらここで蒸気をあげてオーバーヒートしたらしい激しいめまいに襲われて倒れてしまった。

暗くなる視界の中、遠くでメノウの声が聞こえる・・・「ご主人様・・・大丈夫ですか・・・」ご主人様って・・・職場の鬼から魔王って・・・遠のく意識の中でどこから突っ込んでいいのやらわからぬ私がいた。


夢を見た。幸せな気持ちの夢・・・小さな私を抱く私によく似た女の人・・・もしかしたら私のお母さんかもしれない・・・私は両親の顔を知らずに育ったからそうかどうかわからないけど・・・

気持ちの良い眠りもだんだんと覚めてくる、柔らかいベットに体が埋もれているような感覚、家のベットって・・・こんなに寝心地が良かったっけ?ぼーっとする意識の中で目覚まし時計を腕を伸ばし探してみる・・・サイドテーブルまでこんなに距離・・・あったかな?目をこすりながらそっと開けてみる・・・天蓋付きのベット・・・え?「天蓋付き?!」勢いよく起き上がり、周りを見る・・・

「うそでしょ?夢からまだ覚めないなんて・・・」天蓋付きのベットから下がる白い上品なレースのカーテンが開け放された大きな長方形の窓から流れてくる緩やかな風に揺れている。

外からはほんのりとバラの香り・・・カチャ、部屋のドアを開ける音がして振り向くとそこにはメノウがたっていた。

「お加減いかがですか?我が主は体が弱くていらっしゃいましたか?」血の気が引いていく感覚・・・

「わ、私を元の世界に返してください」私はメノウにもう一度頼んでみた。

メノウは無表情に言った。「元の世界に何があるんですか?」

ムっとした。

「なんで私なんですか?私なんかよりもっとふさわしい人はいくらでもいるはずです」

メノウは困ったような顔をして私に言った

「あなたじゃなきゃダメなんですよ、人と魔族の血をもつあなたでなくては」

メノウはベットの端にそっと座り私の頬を撫でた

「ご主人様、あなた様はこの城の主だった方の一人娘なのですから」展開についていけない!私はメノウの手を振り払うと「人違いです!私はただの人間です!何の証拠があるというの?」ベットから飛び起きメノウから離れた「証拠ですか?」メノウはうっすらと唇に笑みを浮かべて壁にかかっている肖像画を指した。

私は凍った・・・

歴史を感じる額に入っている肖像画には私とよく似た女性が描かれていた。

夢で見た女の人にもよく似ていた・・・「な・・・なんなの?」メノウは勝ち誇ったような顔をした「魔族の王女、ライラ様が愚かな人の騎士と恋に落ちあなたが産まれた、王女はあなたを守る為この世界から異世界へあなたを送ったのです・・・信じられないでしょうがこれが真実、王女亡き今あなたが私達の主なのです」


30歳になり、初めて失恋をして、異世界に連れてこられ、魔族のハーフとわかり・・・私のこれからはどうなってしまうのか??

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