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その7「作戦会議」

〜前回までのあらすじ〜

ディアーというショッピングセンターを潰すため、メンバーを増やしていた千昭と力也。今後の計画を練るため、メンバーは昼休みに会議をします。

薫の参加が決まった次の日の昼休み、5人は2年3組に集まっていた。


「何か作戦を考えてきたやつはいるか?」力也はそう言って4人の顔を見回した。


「はい!」真希が元気よく手を上げた。「ディアーの中で鬼ごっこをするのがいいと思います!」


それを聞いた千昭と力也は、思わず笑い出してしまった。


「そ、そうだな、真希。いい考えだと思うぞ」と力也はゲラゲラ笑いながら言った。


真希は、何がおかしいんだろう?とでも言いたげな顔をしている。


真希らしい発想だ、と千昭は思った。


彼女は昔から、妙に子供っぽい思考の持ち主だった。


薫がものすごく大人びているのに対し、真希はその正反対。


二人ともかなりレベルの高い美人であることには違いなかったが、タイプは全くの別物だった。


「薫、何か考えてないのか?」と千昭は聞いた。


そしてここから先は、千昭と薫の用意した台本どおりに事が進んでいく予定になっていた。


というのも実は昨晩、二人はちょっとした打ち合わせをしていたのだった。







「はい、遠峰です」受話器の向こうから薫の声が聞こえてきた。


「あ、薫?おれだよ。千昭」


「まだ電話番号覚えてたのね」


「あぁ。薫と二人で話すのって久しぶりだな」


「これからは毎日話せるんじゃない?」


「おまえも力也の計画に加わったからな」


「千昭を助けるためよ。感謝しなさい」


「おれが乗り気じゃないこと、分かってたのか?」


「えぇ。だってあなた、昔から怠け者じゃない」


千昭はふと後ろを振り返ると、そこにはニヤついている恵が立っていた。


「また盗み聞きかよ。ほら、あっち行けって」と受話器を手で押さえながら千昭は言った。


「なによ偉そうに。お母さんお母さん!千昭が女の子に電話してる!」と恵は大声で言い、キッチンに走って行こうとした。


千昭は慌てて恵を止めた。「わるい薫。ちょっと待っててくれ」「えっ!?」


「ややこしい事にしようとするな」と千昭は言った。


「分かった。しない。でもその代わり、1つお願いがあるの」と恵は言った。「今日学校で少し聞いたんだけど、あんたたち昨日、ディアーで大暴れしたらしいじゃない!『中学生ぐらいの男の子二人が警備員と追いかけっこした』すぐに千昭と力也の事だってピンときたわ。それでお願いなんだけど、私も仲間に入れてくれない?」


「やっぱり噂になってたか。おまえを仲間に入れろだって?無理だよ」


「そう。お母さ――」「分かった分かった。今電話中だからあとで話そう」と千昭が言うと、恵は素直に2階に上がっていった。


「薫?まだ切ってないよな。待たせてごめん」


「いつ以来かしら?人に待たされたのって。恵さん、相変わらず元気みたいね」


「元気すぎて困ってるよ。それで明日のことなんだけど」


「ちゃんと考えてるわよ。力也がディアーで大きな問題を起こす前に、戦いの舞台を変えるの」


「他の事に夢中にさせて、ディアーを忘れさせるってことか!」


「そのとおり。じゃあ、また明日ね」


「ちょっと待てよ!どうやって力也の注意をそらすんだ?」


「もうすぐ生徒会選挙があるでしょ。バイバイ」


電話を切った後、千昭は考えた。


薫の作戦は良いと思うが、いったいどうやってディアーと生徒会選挙を結びつけるんだ?


まぁ、おれの考えることじゃないか。薫に任せておこう。







「わたしたちが噂を流すの。ディアーはひどいところだ、ってね。」と薫は言った。


力也は、少し考えるようなしぐさを見せてからこう言った。「でも誰がおれたちの話を信じてくれるんだ?おれと千昭は世間からの評判が悪い。優一と薫は1匹狼だし。あぁ、真希ならいけるかもな」


「そう。真希よ。この中で一番まともなのは真希。ちょっと抜けてるところはあるけど、わたしたちみたいな嫌われ者じゃないわ」と薫は言った。


ズバズバものを言うやつだ、と千昭は思ったが黙って事の行方を見守った。


「確かに真希は嫌われ者じゃないが、大人たちが完全に信じてくれるような立場の人間じゃないだろ?」


「今のままだったらね。でももし、真希が生徒会長だったら大人たちも話を聞いてくれるんじゃないかしら?」そう薫は言い終えると、これでどう?と言わんばかりの顔をして千昭を見た。


千昭も薫を見返し、小さくうなずいた。


あっぱれ。薫は見事にディアーを潰す計画と生徒会選挙を結びつけた。


千昭はただ感心するばかりで、何も言うことができなかった。


真希が生徒会長になったからといってディアーが潰れるわけではない。


しかし、力也をディアーから引き離すにはそれで十分だった。


「なるほどな」力也は何か考え込んだ様子でそう言った。


「ちょ、ちょっと待ってよ!あたしが立候補するの!?」と真希は言った。


真っ赤な顔がそわそわと動いているため、ポニーテールも左右に揺れている。


「心配するな。おれたちが応援するから、真希なら絶対大丈夫だって」千昭はそう言うと、真希の顔をまじまじと見つめた。


真希は顔を伏せ、大きく息を吸った。


4人の顔が不安そうに真希を見つめる。


永遠とも思える数十秒が通り過ぎた後、真希はこう言った。


「分かった。みんなが応援してくれるんなら、あたし頑張る!」


「これで決まりね。どう、力也?」と薫は言った。


「よし、それでいいぞ。真希を生徒会長に当選させる」と力也は言って少しの間を空けた後、こう付け加えた。


「ただし今日の放課後にもう一度だけディアーに行って、それでダメだった時は薫の考えた作戦でいく」


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