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その1「無謀な決意」

どんよりと曇った空を見上げながら、千昭はため息をついた。


吐いた息は真っ白になり、やがてはゆらゆらと消えてしまった。


寒さに身をこわばらせながら、千昭は玄関先に立ち尽くしている。


約束の時間に遅れている友人を、今か今かと待ちわびているのだ。


ぼんやりしていると、遠くのほうからかすかに自転車をこぐ音が聞こえてきた。


真上に上がっていた視線を音のするほうに向ける。


形のハッキリしない影は千昭のほうへぐんぐん近づいてくる。


やがてはそれが力也であると分かると、千昭は声をかけた。


「遅いぞ。何してたんだよ?」


力也を乗せた自転車は、千昭の前まで来ると急ブレーキをかけて止まった。


季節は11月の後半だというのに、力也はかなりの汗をかいていた。


いつもと違う様子の力也を見た千昭は、とてつもなく嫌な予感がした。


ゼェゼェ喘いでいる力也の顔には怒りの表情が色濃く出ており、ただ事ではないな、と千明は思った。


「話は中に入ってからだ」


力也はそう言うと、そこがあたかも自分のうちであるかのように千昭の家に入っていっ

た。


少し遅れて、千昭も黙って後に続いた。







千昭が部屋に入ると、すでに力也はコタツに腰を下ろしていた。


パタンとドアが閉まる音が散らかった部屋に響き渡り、力也が口を開いた。


「待たせてしまって悪かったな」


力也が素直に謝ったものだから、千昭は心底驚いていた。


普段の力也なら、絶対に自分から折れることなどない。


千昭が心の中で驚嘆して口をパクパクさせていると、力也は言った。「遅れたのは事実だが・・・それはおれのせいじゃないんだ」


千昭は思わずため息をついた。


力也の態度に感心していた気持ちはどこかに消えうせてしまった。「言い訳なんて聞きたくないよ」


「だろうな。だが今回だけは聞いてもらわないと困る」


力也の目は真剣そのもので、口調は明らかに厳しかった。


こういう時の力也は誰がなんと言おうと自分の意見を曲げない。


力也とは昔からの付き合いであったため、千昭はその事をよく理解していた。


話を続けてくれと千昭が手でうながすと、力也は待ってましたとばかりに語りだした。


「約束の20分前には家を出たんだ」


力也の家からここまでは、自転車で10分かかるかどうかというくらいの距離だった。


「それが本当なら30分も遅刻するわけがないだろ」と千昭は言った。


「まぁまぁ・・・話は最後まで聞けって。


来る途中でふと思ったんだ。


どうせ遊ぶんならお菓子とかジュースがあったほうがイイってな。


それでおれはディアーに寄ることにしたんだ。


スナック菓子とジュースを持ってレジに並んだ。


ここまでは順調だったんだよ。ここまではな。


あぁ、今思い出しただけでも腹が立つぜ。あの野郎。


会計が済んで、ツリを渡されたんだ。そこでおれは気づいた。


550円あるはずのツリが450円しかなかったんだ。100円玉が足りないわけさ。


それでおれは言ってやったよ。『ツリが足りねぇぞ』って。


そしたらあの女・・・きっとパートだ。まだ若かった。中々の美人だったがまぁいい。


パートのやつ、なんて言ったと思う?『さっさと消えろ、クソガキ』だぜ?


客に向かってなんて態度だ。信じられるか?おれは頭にきて大声でわめき散らした。


パートの野郎も負けじと言い返してきやがった。そりゃもう、すごいもんだったよ。


そんなわけでおれたちがギャーギャー騒いでたからだろう。


しばらくすると店長が出てきやがった。ああそうさ。あの馬顔のいかつい男だ。


『ツリが100円足りない』っておれは言ったんだが・・・


パートのやつが『お釣りはちゃんと渡しました』って大嘘つきやがった。


おれは店長に連れられて、奥の部屋に入ったよ。


ダンボールがたくさん積み上げられてて、妙に薄暗い部屋だった。


謝ってちゃんと100円をくれるのかと思ったら、とんでもない!


店長はおれの言うことなんかこれっぽっちも信じてなかったんだ。


おれのモミアゲをつまみ上げてこう言ったんだ。ものすごい痛さだったぜ。


『ツリが足りないだと?生意気なガキめ。嘘ついてんじゃねぇよ』ってな。


店長はしばらくおれの顔を探るように見てたんだが・・・


やつはおれの胸元のポケットに入っているガムに気付きやがった。


ちゃんと金を払って買ったものだよ。


確かにおれは不良のクズかもしれんが万引きなんてやったことはない。知ってるだろ?


それなのにアイツ、おれがこのガムを万引きしたみたいに言って脅してきたんだ。


こめかみはずっと引っ張られたままで痛かったし、部屋は人気がなくて恐ろしかった。


おれはもう、引き下がるしかなかったんだ。


あわててディアーから飛び出して、そしてここに来たんだ」


力也は話し終えると、コタツにげんこつを叩きつけた。


強烈な怒りのためか、力也の首下はぶるぶる震え、目は異様にギラギラと光っていた。


しばらく二人は黙ったままお互いを見つめていた。


気まずい沈黙に耐え切れなくなった千昭はこう尋ねた。


「それで…どうするつもりなんだ?」


「決まってるだろ?ディアーをぶっ潰してやる」


相変わらず力也の目は激怒したままだったが、口元だけはニヤリと笑っていた。

読んでくれて、どうもありがとうございました。

この間中学を卒業し、今は春休み中です。

だから小説でも書いてみようと思い、チャレンジしてみました。

アドバイスがもらえるとうれしいです!

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