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10.69.爆拳勝負


 恨めし扇を握り、天の声を見る。

 ずいぶんと弱弱しくなっているが、天打があそこまで頑張ってくれたのだ。

 そうでなければ困る。


 無理をして出てきた感じだな。

 俺たち今空飛んでるし、地の声としては厄介なんだろう。

 早々に仕留められていないのがそれを物語っている。

 なんなら無傷だしね。


「……嫌な魂が入っているな」

「ん? これのことか? そりゃそうだ。奄華、漆混、泡瀬、鬼たちや悪魔の魂がここに入っているらしいからな。本当かどうかは怪しいけど」

「鬱陶しい……」


 天の声が腕を上げた。

 その瞬間、アレナが技能を使う。


「『重力操作』!」


 手裏剣を投げ、的確に天の声の腕にそれを突き立てる。

 一度回避したのにも拘らず、それは急停止して戻ってきたのだ。


「ぐ……」

「いいぞアレナ。よし、零漸!! そっちは任せていいか!?」

「問題ないっすよー!! ちょっと行ってくるっすー!!」


 そう言って、零漸は水龍を操って地の声の方へと向かっていった。

 俺の技能なんだけどなんで操作できるんだ……。

 ていうか操るの上手いな……。


 まぁその辺はどうでもいいか。

 とりあえず、条件は整った。

 まさか向こうから出てきてくれるとは思っていなかったけどね。


 ズガアアンッ!!

 ガァンッガァンッ!!


 遠くで地の声と零漸が戦っている。

 どちらも接近戦で爆拳を使っているようだ。


「マジしぶといっすね!!」

「お前もなぁ!!」


 再び零漸の拳が地の声の腹部に直撃する。

 体がその場で停止した瞬間、零漸は一回転して踵落としを喰らわせる。

 水龍に叩きつけた後、今度は持ち上げて再び爆拳を繰り出した。


 地の声は格闘技では零漸に敵わないらしい。

 だが今は接近戦でしか勝てる術がない。

 空中にいる限り、自分の得意な土俵へと持っていくことができないのだ。


「がぁっは……」

「技能はすげぇっすけど!! 対策すればっ!! 別に脅威じゃないっすね!! ただタフなだけっす!」


 言葉を発しながら、殴り続ける。

 地の声は地上戦に特化しすぎた能力を持っていた。

 地面を広範囲動かせるという能力は、人間にとって脅威でしかないだろう。

 だが対空に置いては、その攻撃方法は不利となる。

 唯一対抗できる大地の主は日に一度しか使えない大技だ。

 土地神殺しに至ってはもう死んでいるので召喚することが不可能であった。


 だが単騎でも火力は折り紙付きだ。

 一撃の拳を当てただけでも、零漸の防御力を超すだけのダメージを与えられる。

 攻撃が成功すれば、の話ではあるが。


 その点においては、零漸は圧倒していた。

 相性が良かったのだ。


 声は、自分が憑りついていた人物が一番の強敵となる。

 地面の魔力を吸うリゼの技能。

 達人とまでは行かないが、格闘技については一切の引けを取らない零漸。

 使いきれない程の魔力を持っている応錬。

 そのどれもが、声にとって一番厄介な存在だった。


 弱いわけではないのだ。

 ただ、相性が悪く、運が悪かっただけに過ぎない。


「そぉい!!」

「ぐぬぅう!! 『爆拳』!!」

「んじゃこっちも『爆拳』!!」


 ドガァンッ!!

 拳が打ち合い、爆発が生じる。

 それに吹き飛ばされるのは地の声だけだ。

 零漸の方が、火力がある。


「っしゃぁ!」

「おおー、強いな……」

「凄いねー」

「よそ見とは……」


 向こうは完全に任せてもよさそうだ。

 声相手にここまで圧倒できる零漸って凄いな。

 ていうか攻撃喰らってないし……。

 さすが。


 んじゃそろそろこっちに集中しましょう。

 とは言っても……もう勝ちは決まっている。


「そういえばお前、どうして出てきたんだ?」

「……」

「まぁ、教えるわけないかぁ~……。あ、天使は来ないのか?」

「……」

「んんー」


 ずっとこちらを睨んでいるだけで、何も返事をしてくれない。

 先ほど刺さった手裏剣を抜いて、捨てた。


 すると、空圧剣を作り出した。

 それを構えてこちらに切っ先を向ける。


「私も戦えないわけではない」

「まぁそうだよな」

「まずは機動力を落とすとしよう」


 バッと飛ぶようにして接近してくる。

 それに気付いたラックが距離を置くために翼を動かした。


『どうする!?』

「迎撃だ! 『多連水槍』!」


 三十本の槍を作り出し、天の声と向けて攻撃する。

 縦横無尽に飛び回る天の声だったが、俺のこの技能の扱いも昔以上に卓越しているのだ。

 だがしかし、何度か攻撃できそうではあったが、それは弾かれてしまう。


 あれだけ少ない技能であれば、力は消費しないらしいな。

 裏を返せばあれだけでしか戦えないということになるのだが……。

 あの武器はダチアから話を聞いて知っている。

 破裂する武器だ。

 近づけさせるのは、させたくない!


「まだまだ行くぞ! 『連水糸槍』!」


 ピンッと糸を張った槍二本を向かわせる。

 なんでも斬れる刃だ。

 しかしそれも回避される。


「『重加重』」

「ぐぬっ!?」


 天の声の持っていた武器が急激に重くなる。

 一瞬の隙をついて、一本の槍が肩を掠めた。


「なぜ邪魔をするのだ!!」

「するだろ普通!! 破壊が目的の奴を野放しにする訳がねぇ!!」

「それだけの理由がある!! こんな世界は、裏切りによって作られた世界など滅んでしまうのがいいに決まっている!!」

「ああ、なんかダチアに教えてもらった中でそんなこと言ってたな……」


 天の声がすべての多連水槍と連水糸槍を破壊する。

 ビッと血振るいをする様に剣を振った後、また叫ぶ。


「知っているのであれば話は早い!! お前もそう思うだろう!! 裏切りによって作られた世界など汚くて汚れ切っている!! それを神は作った! であれば神が壊すしかないだろう!!」

「んー、うん! そうなんだろうな!! お前ん中ではな!!」

「……なに?」


 知るかそんなもん!!

 お前らの間の話をこっちにぶつけてくるんじゃねぇよ!!


「お前がやってる事全部八つ当たりなんだよ!! 喧嘩したいんだったら直接その神とやらの所に行けや!! 自分が悲劇のヒロインだか何だか知らねぇけどなぁ!! 迷惑してるこっちの身にもなりやがれ!! 八つ当たりでお前は満足するかもしれねぇけどな!! お前を閉じ込めた神ってのは、のうのうとてめぇが今やってること見てんだよ!! 嘲笑ってることに気付けや!!」


 ここで暴れても、その神がいる場所にこの事が届くのかは知らんし、常に見ているのかもわからん。

 ただもし本当に見ているんだとしたら、顕現したのにこうして再び存在を消されようとしているところを見て笑っているに決まっている。

 俺たちにはどうでもいいことだし、同情だってしてやるつもりはない。


 だけど、たったそれだけのことで矛先をこちらに向けられるのは理不尽にもほどがある。

 向ける矛先がちげぇんだよな!!


 パァンッ!!

 叫んでいる内に腹が立ち、手を打ち鳴らす。

 扇が少しだけ開いた。


「『応龍の決定』」

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