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7.42.レベル300


 俺たちはロッグラブの上にいるので、向こうは手を出せない。

 拮抗状態ではあるが、今の所俺たちの方が一方的に攻撃をすることができる位置にいる。

 さて、これからどう調理していくか……。


「ゴロゴロゴロゴロ……」

『うっわ……。まだ卵吐くのかよ……』


 ロッグラブは無限に口から岩を吐き、それを砕いて子供を量産する。

 子供の寿命は短命だとしても、これだけの数を相手にするのは骨が折れる。

 何とか親蟹だけを始末したい。


 ということで……『鋭水流剣』。

 一本の水の剣を作りだし、それをロッグラブに向けて突撃させる。

 これは自由に操作が効くし、一本しか作り出せないので精度は多連水槍よりも上だ。

 真上から一直線に切っ先を向け、ロッグラブに突き刺さる。


 カチンッ。

 体中に生えている無数の足が、鋭水流剣を掴んだ。

 それに驚いて引き抜こうとするが、全く動かない。

 石に突き刺さった剣のように、びくともしなくなってしまった。


 なんだと!?

 こ、こいつ……だったらこれはどうだ!


 鋭水流剣を解除し、普通の水に戻す。

 それを今度は水弾(斬)に変更して零距離射撃にて攻撃を繰り出した。

 流石にこれであれば避けることはできまい。

 何本かの腕がはじけ飛び、周囲に散らばった。


 だが、少し腕がなくなった程度で、ダメージは一切通っていないようだ。

 更に……なくなった腕がまた生えてくる。


『再生か……?』

「お、応錬!」

『なんだ? ってうぉおおおお!!?』


 アレナが指差した方向を見てみると、蟹の子供が自らの体で階段を作り、こちらに登って来ようとしていた。

 それも三方向からだ。

 体が軽い分こういう芸当はお手の物なのだろう。


 くっ、こういう時アレナに指示を出せればグラビティドームで何とかしてもらうのだが……!

 アレナ気が付いてくれー!

 お前の技能で何とかできるんだ!


「ぐ、『グラビティドーム』!」

『ナイス!』


 透明なドームを展開し、子蟹たちにかかる重力の方向を変更した。

 壁から引き剥がすようにしているので、簡単に剥がれてまた地面へと落ちていく。

 だがそこで違和感に気が付いた。

 地面が……近づいてきていることに。

 親蟹であるロックラブを見てみれば、既に体の半分が埋まり始めていた。


 子供を量産しまくってこの洞窟全体を埋める気か!?

 こりゃ早急に何とかしたほうがよさそうだ!


 とりあえずアレナには子蟹の対処をしてもらい、俺が本体を叩く!

 まだ向こうも時間が掛かるようだし、ここは……!


『『空気圧縮』』


 大きな空気の玉を作り、それをどんどん凝縮していく。

 暫くすれば強力な爆弾になるので、これをあいつの腹に仕込ませて爆発させてやろう。


 だがその前に、あの子蟹を何とかしなければならない。

 可能であれば親蟹にもダメージを与えれるようにしておきたいな。

 範囲攻撃で少しでも子蟹を倒しておこう。


『ここはこれだな! 『土地精霊』!』


 洞窟の地形を大きく変化させるのは危険だが、多少であれば問題ない。

 地面に大きな穴を空けていき、そこに子蟹を落とし込んでいく。

 本当であれば親蟹のロッグラブも穴に落としたかったが、そうすると大きすぎる穴を作らなければならないので却下。

 とどめは空気圧縮の爆発で仕留めるので、後回しでもいい。


 それに土地精霊は空気圧縮での爆発を軽減させるためにも使うからな。

 とりあえずまずは数を減らすことを目的として攻撃を繰り出す。


 十分な数の子蟹が穴の中に入ったら、その穴に蓋をして圧殺させる!

 これで大量の子蟹を──。


 バッツンッ!!


「キャア!!」

『うぐ!? 『空圧結界』!』


 大量の子蟹を圧殺した瞬間に、その穴が爆発して子蟹の殻が大量に周囲にまき散らされた。

 その威力は強力であり、壁に深々と子蟹の殻が突き刺さっている。


 俺の空圧結界も間に合わず、数個の殻が通り抜けてアレナと俺が怪我をしてしまった。


「ううぅ……」

『まじかよ! 『大治癒』』


 腹部と足に深い傷を負っていたアレナに大治癒を掛け、すぐに治療する。

 俺は鱗がそれなり硬いのでかすり傷程度だが、一応回復しておくか。


 切り傷ってのは、暫くはそんなに痛くないからな。

 脳が傷を負ってしまったと認識する前に治してしまえば、痛みはあまりないだろう。

 違和感はあるだろうけどな……。


「ありがとう……!」

『おう! にしても……蓋はしっかりしたんだぞ?』


 どれくらい厚いかは分からないが、それでも圧殺で潰した時に盛り上がらない様、蓋は厚めに設定したはずだ。

 おまけにさっきはまだ圧殺の途中だった。

 これはもしかして……。


『おい天の声! ロッグラブの子供について説明しろ!』


===============

―コッグラブ―

 洞窟の中に住む狂暴な蟹、ロッグラブが生み出す子蟹。

 生命持続時間が一時間と短い個体が多いが、時間をかけて卵からかえったコックラブはロッグラブになる為の素養を持っている。

 コッグラブは自爆能力を持っており、倒す際には注意が必要。

 安全に倒すのであれば、切断すれば爆発はしない。

 だが打撃などの攻撃であれば爆発する。

 一匹の爆発は地面が少し凹む程度の小さなものである

===============


 はぁーい辞書。

 お前また今度会ったらひっぱたく。

 ロックラブと一緒に説明しろよな!!


 でも分かったぞ!

 圧殺だと打撃扱いになって爆発したってことだよな!

 しかし切断か……俺の多連水操と連水糸槍が火を噴くぜ!


『っしゃいくぞ! 『多連水槍』、『連水糸槍』!!』

「私も! 『多重加重』!」

『……なんて?』


 なんか聞き慣れない単語が聞こえた気がするけど、まぁ後でいいか!

 今はこっちに集中!


 MPも大量にあるので、出し惜しみなく多連水槍を増やしていく。

 操る精度は落ちてしまうが、固めて一気に攻撃しているのであんまり変わらない。


 それに、アレナが掛けてくれた重加重の強化版で、敵の動きが止まっているので非常にやりやすい。

 もし爆発しても、今は空圧結界が俺たちの前にあるので、破片が飛んでくる心配もないだろう。


 多連水操と連水糸槍を行ったり来たりさせて子蟹、コッグラブを掃討していく。

 俺の処理速度にロックラブはついてこれないようで、遂には殆どのコッグラブを始末してしまった。

 まだその辺には残っているが、動いている奴はほとんどいない。


「ほっ! 『重力付与』! 『重力操作』!」


 アレナが一本の手裏剣を投げる。

 それは一直線にロックラブへと向かって行く。

 だがやはりロックラブは体に生えている無数の足でその手裏剣を受け止める。

 しかし……。


「ゴロゴロゴロゴロッ……」

『重いだろうな! よっしゃ行けアレナー!』


 次第に支えている腕が曲がり始め、ようやくロッグラブの甲羅に手裏剣の先端が突き刺さる。

 それは次第に突き刺さっていく。

 何とか引き抜こうと、届く全ての足を使って重加が付与された手裏剣を掴み、それを掴んでいる足を掴んでといった具合に支える力を増していくが、中々持ち上がらない。


「んー! 『重加重』!」

「ゴロッ!!?」


 追撃を加える形で、アレナはロッグラブに重加重を掛けた。

 手裏剣を支えているだけで精一杯だったロッグラブだが、体が重くなったことで抵抗はほとんどできなくなる。

 そして、手裏剣がようやくロッグラブの体を貫通して、地面に突き刺さった。


「ご……ろ……」

『トドメ!』


 手裏剣の重さに耐えている時に、腹の下に忍ばせた空気圧縮を爆発させる。

 土地精霊で地面や壁を補強しているので崩壊は絶対にしない。

 爆風で吹き飛ばされた殻なんかも全部空圧結界で防ぐことができた。


 爆風が収まり、土煙も去った。

 そして、大きな図体をした蟹が地面に倒れていることを確認した俺とアレナは、ようやく親指を立てて勝利を確信したのだった。


 今の俺、指ないけどねー!

 水で手を作って親指立てとこ。

 とりあえず地面に降りるか。

 操り霞で生きているコッグラブを調べてみたけど、動いている奴はいないので大丈夫だろう。

 後はこれを食べるだけだな!


「応錬、早くっ」

『言われなくても! よーし、いただきまーす!』


 うん、味がしないっ!


【経験値を取得しました。レベルがMAXになりました。進化が可能です。現在のステータスを表示します】


 ……ほん!?

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