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2.6.リッフォーム!


 あれから三日が経っていた。

 その間に抉り取られた傷は癒えて今では痛みも感じない。

 動物だからなのか傷の治りが速い。


 だがこの三日間は狩りに行くことが一切できなかった。

 というより行かなかった。

 より良い家を作るためにリフォームに明け暮れていたのだ。

 だが思ったより難しくて時間がかかってしまった。


 まず俺が取り掛かったのは、周囲の掃除だ。

 滝の近くで湿気の多いこの場所はやったらめったら草が多い。

 それを『水流剣』で切り裂いていく。


 何度も何度も使ったおかげて、草程度なら簡単に切れるようになってきた。

 もちろん刈り取った草も家の中に入れて保存するつもりだ。

 ぶっちゃけ何に使えるかわからないが、苔が家の中に入ってくるまではこれの上にのって寝ることにしよう。


 やっぱりさ……ベッドがないとだめなんですよ。

 いや体が痛くなるとかじゃないんだけど、違和感がすごい。

 せめて何か下に敷いておかないと寝付けないのが今の現状だった。

 

 刈った草は『無限水操』で綺麗に洗い流してから家の中に持っていく。

 うん。この技能があれば手がなくても大体のことはできるな!

 完璧だぜ。


 次は落ち葉だ。

 これも滝の近くにあるためか、土と混じってどっろどろだ。

 この上を通るだけで体に土がつくのは流石に気持ちが悪い。

 一々水で体を洗うのも阿保らしいしな。


 ということで、まずは落ちている葉っぱをすべて掃除することにした。

 無限水操でやってしまえばすぐに終わる。

 おまけに今回は滝の近くにいるので、滝つぼの水を使うことができた。

 MP消費は水を操る程度の少ないMPで事足りる。


 やはり水蛇は水の近くにいると強くなるな。

 もしここを離れるときも川辺や湖の近くに拠点を構えよう。


 水をローラーのようにして、汚れきった葉っぱや土を回収していくとどんどん水が汚くなっていった。

 掃除をし終える頃にはヘドロなんじゃないかっていうほど汚い水が浮かんでいた。

 さて、この汚い水はどうするかというと……遠くに持って行って捨てます。

 いや川に流すのも考えたけど零漸いるんだよ?

 流石にそんなことはできない。


 適当な場所に捨てて……っと。よし。

 あー、だけどやっぱり水で掃除すると地面びちゃびちゃしてんな。

 あ、そういえば地面が濡れていることをこういう風に表現するのって方言だっけか。

 俺はびちゃびちゃでもべちゃべちゃでも通じるけど、何それ? っていう人も少なからず見た気がするなぁ。

 っといけない、余計なことを考えずに作業を再開せねば。


 流石にこれだけじゃダメだな。

 歩くたびにやっぱり汚れてしまう。

 常時ミストが漂ってるから乾くことはないだろうしな。


 ん~~~乾かないと言っても乾燥しやすい物を敷きたいよな。

 草を刈ってきてもいいけど……この周囲にある物は駄目だろうな。

 全部湿気に強い植物ばかりだ。

 よし! 探しに行くか!



 ◆



 ―三時間後―


 持って帰ってきました! 大量の草!

 ここからそう遠くないところにススキみたいな硬い草があったからそれを刈ってきた。

 水流剣で切れなかったから驚いたよ……。

 だが上達のため無理やり切って熟練度をあげておいた。

 そのおかげでこいつも簡単に切れるようになったので、こうして大量に持ち帰ったというわけだ。


 ん~無限水操マジ便利。

 あんまり濡らさないように草の中心部分を束で持ってもらうと、使用する水の量が大幅に減った。

 そのため五十束くらいを運ぶことに成功したのだ。


 ここまでくればあとは簡単!

 家の周囲を中心に草を敷いていくだけの簡単なお仕事。

 水を操って綺麗に草を敷いていく。

 これで、歩いただけでは体に泥が付くことはなくなるはずだ。

 でもまだ薄ーく伸ばしたような感じだからもう少し持ってきてもいいかもしれないな。

 熟練度を上げるついでに持って帰ってくることにしよう。


 さぁー! 最後のお仕事です! 苔を家の中に持って帰るぞ!


 狙っていた苔は数個ある。

 どれも分厚くて座り心地のいい物ばかりで、岩に多く苔が張り付いている。

 これをどう取り除くか……そしてどうやって運ぶか……悩みどころだ。

 とりあえずいつものように無限水操で張り付いている苔を取り除こうとしてみる。

 だがやはり苔は脆い。

 途中までうまくいっていたが、最後のほうになるにつれてボロボロと崩れてしまった。

 これでは苔の絨毯を敷くことはできない。


 多分これは熟練度の問題なのだろう。

 そこで考えた。

 岩に沿うように水を動かしていけば、綺麗にはがせるのではないか、と。


 思い立ったら即行動。

 水を糸のように細くして岩の凸凹に添わせるようにゆっくり慎重に……動かしていく。

 そしてやっとの思いで切り離すことに成功した。

 完璧だ。

 型崩れはないし、どこにも罅は入っていない。

 無限水操で包み込み崩れないように浮かせる。

 そして絨毯のように広げる。


 ボロボロボロ。


 あっ!?


 岩の形そのままにしていたので床に敷くには伸ばしたほうがいいと考えたのだが……伸ばしてみると崩れてしまった。

 凸凹の形そのままにしたのがいけなかったのかもしれない。

 ただでさえ崩れやすいのだ。

 もう少し慎重にするべきだった……。


 苔を引きはがすこと自体が間違っているのかもしれない。

 もうそのまま岩ごと放り込みたいけど……流石に今の技能では岩は切れない。

 おまけに岩だと凹凸があるので寝心地は最悪だろう。

 丸い石を探してみることにする。


 探してみると手ごろな石はすぐに見つかった。

 もちろん苔は大盛である。

 しかし……結構大きい。

 苔のついている範囲は広くはないのだが、石自体が大きいのだ。

 家に入らないことはないが圧迫してしまうのは目に見えている。


 よし! 家を掘るか!


 すぐに家に戻って寝床となる場所に穴を掘り始める。

 苔の生えている部分が地面から出ていればいいのだからそれ以外は埋めてしまおうという作戦だ。

 これなら……できるはずだ!


 地面を掘った後、無限水操で苔の生えた石を持って運ぶ。

 無限水操は重たい物も何不自由なく持てるのでありがたいな。

 家の壁も一部を取っ払ってきているので簡単に入れることができた。

 後で修繕しなければならないが快適な寝床を作るためだ。

 やむを得ない。


 ドスン!


 そうしてやっとのことで身の回りが綺麗になり、寝床も完成したということだ。

 寝床は盛り上がってちょっとした丘のようになっている。

 俺は石に蜷局を巻いて寝るので体全体に苔の感触が伝わってくる。


 ふぁ~きもちがいい~…………スゥ。


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[一言] びちゃびちゃって方言なんだ
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