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5.27.援軍


 進軍速度の上がった魔物たち。

 冒険者にとってはそれだけでも恐怖だ。

 今まで余裕があると思っていたのに、急に余裕がなくなってしまったのだから。


 敵の動きが速くなった以上、こちらの動きも速くしなければならない。

 だが投石機の準備が間に合わない様だ。


 それに加えて鳳炎の援護射撃もなくなった。

 確実に敵を屠ってくれる鳳炎が居なくなったのは痛いが、国民の方が重要だ。

 こっちは俺で何とかしよう。


「せーのっ! 『天割』!!」


 十分に敵を引き付けての天割。

 確実に数千の魔物を両断したが、今回は少しだけ狙いがずれてしまったようだ。

 右側の敵が少し残っている。


 流石に何回も綺麗に撃つのは難しいか!

 そりゃそうだわな!

 俺そんなことやってた記憶ないもん!

 まぁ実はやってたのかもしれないけどさ……。

 俺のことはよく分からん!

 俺の事なのにな!


「ええい畜生! 勿体ないけど『天割』!」


 今度は左側が外れて右側の魔物に直撃する。

 これで帳尻が合う感じだ。

 だが、魔物の山に天割が何度か当たってしまい、遠くには飛んでいかなかった。


 飛距離的には二百メートルくらいか?

 何も斬らずに普通に飛ばすなら五百くらいは行きそうだな。

 だけどこれ……このままだと魔物の山に遮られて遠くまで天割が届かなくなる。


 それよりも俺のMPがヤバイ!!

 あと最大で七回しか撃てないんだよっ!


「おーい! 冒険者共! 俺も長くは持たんぞ! お前らなんかねぇのか!」

「応錬さんでしたねー! できますけど飛距離が足りないんですー! もっと引き寄せてくださーい!」

「俺のせいだったか!!」


 すんません……。

 でも魔物を近づけるって怖いんだよ。


 とりあえず手の空いている冒険者は弓を放ってくれているけど、あんまり有効じゃなさそうだな。

 小さい魔物はそれで何とかなってるみたいだけど。

 デカいのが多いんだよな!

 弓はあんまり有効じゃないっぽい。


 まぁできるだけ俺がやるけどな!

 だけどこれ……。


「さっきから減ってねぇぞ!!」


 ぜんっぜん減っている気配がない。

 逆になんか増えてないか……?

 終わりが見えてこないぞ。


 でもあの三発で相当数の魔物は屠ったはずだ。

 どうなってん。


 また構えて敵が来るのを待つ。

 今度は冒険者も攻撃が出来るように、先程よりもっと近づけてから攻撃をすることにする。

 流石に俺だけだと捌ききることは出来なさそうだしな。


 頼むぞー……。

 それなりに強い魔法撃ってくれよ……?


 俺がそう念じながら味方が魔法を放つのを待っていると、後方からとんでもない程の爆音が聞こえてきた。

 流石にこれは冒険者が放った魔法ではないのではないかという程の音だ。

 後ろを振り返って見てみれば、城壁の中から黒い煙が上がっていた。


 いや、まじ?

 何が起きてんの……?

 鳳炎は大丈夫なのか?


 冒険者もそれに驚いて魔法の準備を中断してしまったり、こけてしまったりしている様だ。

 明らかに動揺している。

 何が起きてるか分からない状況で戦うのは怖いからな……。

 って今そんな事言ってる場合じゃないんだよな!


「くっそ! 『天割』!!」


 近づけて冒険者たちが攻撃できるようにしたが、先程の爆音で微々たる被害しか出せていなかった。

 これ以上接近させるのはマズいと感じ、俺は天割を撃って一度状況をリセットさせる。


 今回は上手い事振り抜くことが出来た。

 とりあえず一掃したが、これも暫くするとまた押し寄せてくる。


 この繰り返しだと考えると、俺ももう余裕はない。

 そろそろ天割を止めて、ぶっつけ本番新技能を撃ち込んだ方が良いような……。

 最大あと六回撃てる。

 まだ余裕はあるとはいえ、あと六回の攻撃で魔物を全て屠れるとは思えない。

 さぁて……どうするか……。


「……ん?」


 なんか奥の方で魔物が吹っ飛んでる。

 誰かいるのか……?

 いや、でも誰かって誰だ。


 あんな攻撃力のある奴とかそうそういないぞ?

 でっかい魔物が普通に吹き飛んでるんだもん。

 てか結構遠くにいるなぁ。

 俺の天割の射程範囲外で助かったぜ。


「って! そこにいたら俺天割撃てねぇじゃねぇか!! おーーい! 誰だか知らねぇけど邪魔だこらー!」


 って聞こえる訳ねぇよな!

 ええい!

 ちょっと冒険者頑張ってくれよ!


「……あ? え? なんかこっち飛んできて……」

「────ぁぁぁぁああああああ!!」

「ぬおおおお!!?」


 黒い塊が俺目がけて飛んできたので、なんとか回避して難を逃れる。


 んだよ一体何が飛んで来やがった!

 てかどうやってここまで……って……。


「零漸!?」

「ハイっす兄貴! 帰って来たっすよー!」


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[一言] いつでも美味しいところで合流する零漸!
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