表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
217/506

5.19.受け入れ準備


 鳳炎と零漸たちが出立して二日。

 俺が黒い塊を見つけたのも皆が出立した後だ。


 とりあえずいろいろあった。

 残念ながらあの塊をもう一度見つけることは叶わなかった。

 同じ場所に行けないってのが一つ。

 そしてあいつらは執事について回っているようなので、まずあの広い空間で執事にエンカウントする可能性がとても低い。

 んでもって王子はいねぇ。

 何処に居んだよマジで。


 とりあえずこの二日間で防衛の為の柵は完成している。

 魔導士部隊も配置完了。

 医療準備も完了しているし、水、食料、物資も問題ない。

 この二日間でよくやったと言えるだろう。


 避難誘導も完了しており、教会や中央区の広い空間に一時的に避難してもらっている。

 少し不便だろうが、これが終わるまでは堪えて欲しい。


 そして今日、鳳炎たちの部隊が帰ってくる予定だ。

 労う時間は無いかもしれないが、それでもできる限り休める様に準備は整えている。


 だが休める時間は殆どないだろう。

 その証拠に……今冒険者たちの空気はピリピリとしている。

 それは何故か。


 既に見えているのだ。

 魔物の大群が。


「おいおいおい……。ティアラの報告と全然ちげぇぞ……。あれ一万じゃなくないか?」

「何処かにまたダンジョンがあったのかしら……。ていうか何処からあんなに湧いて出てるの?」

「んなこと俺が知るかよ……」


 だがこれはちょっと厳しそうだなおい……。

 あの数に突進されたら不味いんじゃないか?

 まるで津波じゃん。


 俺とマリアは城壁の上からその光景を眺めているが……。

 他の冒険者も随分と青ざめている。


「あ」


 鳳炎たちが帰って来た様だ。

 こちらに近づいてきている馬車が何台も見えた。

 鳳炎はいち早く報告をする為か、炎の翼を広げて俺とマリアの所にやってくる。


「マリアギルドマスター! 応錬!」

「おう。大丈夫そうだな」

「報告をしなさい」

「敵の総数は約四万五千。これは俺が飛んで調べたから間違いない。だがまだ増えている様だ……」

「なに!?」


 まだ増えてんの!?

 そんなことあんのかよ……。


「損害は?」

「人的損害は皆無だ。だが帰還途中も足止めとして罠を何度も張っている者たちがいる。それに加えて皆気を張り続けていて眠ることができていないのだ。交代しながら休息を馬車の中で取ってもらっていたが、疲労が溜まっている。少しでも休ませたいのだがいいか?」

「それは問題ないわ。帰ってきたら空いている場所で休ませて頂戴」

「助かる」


 まぁ撤退して寝れる時間なんてほとんどないわなぁ……。

 でも随分と魔物との距離は開いている。

 あいつらの足が遅いのだろう。

 それがせめてもの救いだな。


 となると、始めは俺たちで何とかしないといけない感じか。

 まぁ技能の試し打ちをどんどんやってしまいましょうかねぇ。

 てなると全員中に入ってもらわないと……って。


「鳳炎、お前寝てないだろ……」

「わ、私は不死である! それ故に睡眠は要らぬのだ!」

「でっけぇ隈作っててよく言うぜ」


 不死っつてもどこまで不死なのか俺は知らないんだ。

 それに、この感じだと睡眠は必要っぽいな。

 ったく無茶をする。


 お前もこの防衛線に欠かせない人物なんだ。

 仕方ない。


「鳳炎。これを飲め」

「おっとと! ……? これはなんなのだ?」

「エナジードリンクとでも思っておいてくれ」

「お、おお……。な、なんかエナドリって社畜を連想させるな……」

「ん? お前社畜だったのか?」

「いや、大学生だ」

「あ、そう……」


 これは俺が作った回復水だ。

 大治癒の効果程ではないが、おそらくこれは寝不足にも対応してくれる物だろう。


 鳳炎がその回復水を飲むと、一瞬だけ体が緑色に光った。

 すると、鳳炎は目をぱちくりしながら目をこする。


「む!? 眠気が飛んだぞ! 素晴らしいな! 応錬! これをもっとくれないか! 他の冒険者にも……」

「依存されたら困る。これをやるのは仲間だけだ」

「むぅ、それもそうか。これが無いと仕事ができないなんてなってもらうと困るからな……」


 分かってくれたようで安心だ。

 ていうかこれあんまり使っちゃいけない奴だからな。

 ほいほいと人にあげて良い物じゃないんだ。


 まぁ今回の防衛戦には鳳炎も参加してもらわないと困る。

 俺一人じゃ対処しきれないだろうからな。

 同じ範囲攻撃を持っている者として、前線に立ってもらわないと。


「よし! では冒険者の受け入れを頼む。応錬は私と打ち合わせだ。後は頼んだぞマリアギルドマスター!」

「ええ、冒険者のことに関しては任せなさい」


 マリアはそういうと、城壁からぴょいと降りて行ってしまった。

 大丈夫なんだろうけど、あそこまで躊躇なく飛び降りられるとびっくりするわ……。


 えっと、鳳炎との打ち合わせだったな。

 俺がやることは何があるかな。


「まずは使える技能の確認だ」

「わかった」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真打Twitter 【続編】霊亀の息子は硬度最高(霊亀の息子リンク) 呪い研ぎの研ぎ師(呪い研ぎリンク)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ