5.11.防衛準備
鳳炎たちを見送って数時間……。
あいつらは大丈夫だろうか?
一万超えてるってティアラ言ってたし、戦力差を見て士気が落ちなければいいけど……。
ま、俺たちは俺たちのしなければならないことをしておかないとなー。
城に残っている俺たちがする事は防衛準備だ。
敵が来る方向に簡易的な柵を作っている。
少しでも移動する速度を落とそうという作戦なんだろうけど、でかい魔物が来たら一発で蹴とばされそうだな……。
無いよりはましなんだろうけどね。
物資や武器は何とか調達することが出来ているらしい。
万が一の為に備えて、城の外壁近くに家を持っている者たちには避難誘導を促している。
これ全て冒険者だけでやっているのだが……。
お前ら騎士より騎士っぽくない?
いや見た目は置いておいてね?
こりゃ冒険者の株がうなぎのぼりですわ。
そしてちゃっかり冒険者は騎士団の事ディスってるしな。
まぁ仕方ないんだけどさ?
あいつら動かねぇんだもん。
何で動かないのか知らねぇけど、この危機に関して無頓着過ぎはしないかい?
お陰でこっちの労力半端ねぇよ。
俺何もしてねぇけどな!!
なんかしたいんだけど!
ほら、日本人としてなんか見てるだけっていうのは結構辛い!
おいマリアなんか俺に仕事クレー!
「応錬君は防衛の要なの。いざという時に動けるようにしておいて」
はい、すいませんでいした。
いやだから過剰評価し過ぎだっつの!
ってめっちゃ言いたい。
でも他の冒険者の輝かしい目線を見て言えるはずもありません。
はぁー……。
どうしてこうなった。
暇だし鳳炎に渡した泥人と視界共有してみるかー……。
って……出来ない……。
んー、やっぱ離れすぎると無理だったか。
あ、これ動かすことも出来なさそうだな。
んー、無理っぽい。
仕方ない、解除しとくか……。
あんな泥人形持ってても邪魔にしかならないだろうしな。
とりあえず周辺の様子でも見てくるか。
外壁の上から見れば一発で分かりそうだな。
とは言っても、俺は操り霞で大体の様子は分かってるんだけどね。
でも目で見てみたいから登ろう。
外壁に上がる為には階段を使わなければならない様だ。
結構普通である。
登ってみると、せっせと作業をしている冒険者とすれ違う。
もう全員が俺の事を知っているのか、通り過ぎる際に必ず会釈して行く。
悪い気分ではないけど、目立ってんなー俺。
っとそんな事より、外を見てみよう。
外を見てみると既に柵が完成し始めている。
これだけの広さなのに皆早いなと思ったが、どうやら建築系の技能を持っている人物がいるらしく、その人がほとんどを担当しているらしい。
めっちゃ渋い顔しながらマナポーション飲んでんな……。
頑張れよ……。
敵が来る予定の場所はあっちか……。
一万とかの軍勢だったらもう見えてもいいかもしれないけど、流石に森が深くてよく分からんな。
ま、ここに到着するのは三日後だ。
準備する期間は沢山あるから、焦る必要はないだろう。
「おいお前」
「……」
でも三日って結構時間あるなぁ。
それまで俺何もするなって、マリア結構厳しくない?
暇すぎて死んじゃう。
ていうか罪悪感で押しつぶされそうなんだけど。
「おい?」
あー零漸たち今頃はもう地下にいるんだろうなー。
しっかりやれてるかなー。
こんな事なら俺もダンジョンに潜りたかったぜ。
「おい!!」
あ、そうだそうだ。
久しぶりだな天の声。
いや実はあのーなんだっけ。
めっちゃ危険そうな名前の技能あるじゃん?
あれについてちょっともう一回教えてくれないかな?
【破壊破岩流……。土砂と砕いた岩を一気に放出する技能。制御が効かないので一帯を更地にする可能性あり。合成効果により威力が五倍】
そうそうそれそれ。
やっぱ意味わかんねぇよなぁ。
もう合成前の技能とか覚えてないし、威力五倍とか言われてもわからん。
一帯を更地にするって事だからそれなりに強い技能なんだろうけど、今回の戦いで使っていい物か……。
まぁ幸いなことにサレッタナ王国の周辺は結構平らで平原が続いている。
問題ないっちゃないか。
「おいこらそこの白頭聞いてんのか!!」
「誰が白頭だ! 白髪だ阿呆!」
「阿呆だと!? この俺に向かってよくそんな言葉が吐けるもんだな!」
「いや待て、マジで誰だよおっさん。ていうか自分の事そういう奴って基本的に碌な奴いないぞ」
「なっ……! なぁ!!?」
いやマジで誰だこいつ。
ていうか白頭に対して白髪っていう俺もどうかしてるとは思うけどさ。
でも初対面でいきなり暴言はいてくる奴とか怖い……。
やだ近づきたくない。
「貴様ぁ……!」
「なんだってんだよ……。俺何もしてねぇじゃん」
「何度も声を掛けたのに無視し続けただろうが!!」
「え、まじ? 考え事してて全然聞こえなかったわ。すまん」
「殺す!!」
なんでだよっ!!
無限水操!!
「ぬぉおおおおわあああああ!!?」
「あっ」
しまったー!
ここ城壁の上だったああ!!
外にあのおっさん流しちまったどうしよう!
急いで城壁の外を覗き込む。
すると、おっさんが落下していた。
それも相当な勢いだ。
ちょっと水が間に合わないかもしれない……。
「っとととと! 『ウィンドプレッシャー!』」
おっさんがそう叫ぶと、周囲に突風が吹き荒れる。
それは冒険者が転んでしまう程の強風だ。
「ふぅ……。ってごらああああ貴様ああ!! あぶねぇだろうがあああ!!」
「げ、元気そうだな……。何もんだよあいつ」
無事で何より、と喜びたい所だが……。
マジでなんだアイツ。
いきなり来ていきなり怒鳴って斬りかかってきて……。
情緒不安定なのかな。
ていうか……何しに来たの……?




