2話 獣娘
「た、助かった……」
「ヤイバと言ったかしら? 助けたんだからお礼しなさいよね!」
少女――ミョルニルはピンク色の髪の毛を『ファサ……』と左手で掻き揚げて言った。
ミョルニルの見た目はおよそ15歳。身長も俺と同じくらいだ。
それにしてもミョルニルは言いにくい。
ミョーちゃんと呼ぶことにする。
ピョコン!
「ん?」
これは驚いた。
ミョーちゃんの頭を見ると猫の耳が生えていた。
「……ね、ねこ?」
ピョコン!
これまた驚いた。
ミョーちゃんのお尻を見ると猫の尻尾が生えていた。
「……ね、ねこだ!」
「ちょっとなによ! 変態! すけべ! いくじなし!」
ミョーちゃんがそう怒ると、耳をピクピクさせて尻尾も左右に振りだした。
猫は機嫌が悪いと尻尾を振るのだ。
どうやらミョーちゃんは機嫌が悪いらしい。
「撫でてもいいか?」
「え、ちょっ、あんたね!」
俺はミョーちゃんの言葉を無視して撫でた。
するとミョーちゃんは表情をトロンとさせた。
「んあッ……そこっ気持ちいいっ……」
俺はそのまま次の日の朝になるまで撫でていた。
チュンチュンチュンチュンチュンチュンチュン
ホーホホホホ ブーン チチチ チュンチュン
「うん? もう朝か」
「……あ、あんたね///」
何故かミョーちゃんの機嫌が良くなっていた。
「獣人を撫でるのはフィアンセだけなのよっ! あ、あんたにはその覚悟があるってことねっ!」
嘘だろ……。
俺はいきなりヒロインをゲットしてしまったのか?
まるでラノベ小説みたいな展開に俺は驚きを隠せないでいる。