第1話 森の雫
怪盗
夜は世間を騒がす怪盗、ブラックローズ。
本当の姿は高校2年生の雲雀白夜。髪はポニーテールに結び、瞳は黒。仕事の間はカラーコンタクトをしていた。
「急いで帰らないと!」
白夜は帰り道を走っていた。
今日は仕事の日。神谷邸に「森の雫」というネックレスを取りに行く予定だった。
「えっと、帰ったら宿題して…準備して…」
息を乱さず走りながら呟く。
「でもって、今日はエメラルドのネックレスっと」
家に着くとさっそく宿題に取り掛かり早々に仕上げた。
「おーわり!さて夕食の準備をして支度を始めないとね」
白夜は夕食の準備を始めた。白夜は1人暮らしのためすべて自分で家事をこなしていた。
「えっと、帰ってきたらこれを温めて食べれるようにしとこ」
夕食として作り、余ったものはいつも仕事後の夜食になっていた。
「さて、準備準備〜!」
白夜はカラーコンタクトを付け、髪を適当に結んだ。
そして黒い服に身を包み、窓へ向かう。
「ミッションスタート!」
ブラックローズとなった白は夜の7時40分、窓から外へ飛び出した。
43分に神谷邸に到着した。
「予告状は届けたし、あと2分で進入開始ね」
あと5秒…4…3…2…1…
「いっきまーす!」
ブラックローズは華麗に2階の窓を割り中へ進入する。
「ちっ。警備員か」
ブラックローズは警備員3人に、みぞおちに1発決める。しかし警報装置は鳴り続けている。
「んーと、ネックレスは1階ね」
階段のほうから騒がしい足音が聞こえてきた。
「あっちゃー。やばいかな」
ドアを開け部屋に入ってくる警察官を交わし、1階の宝石のある部屋へたどり着く。
「ここね。って赤外線センサーついてるじゃない」
ドアの前にあるセンサーをなぜかブラックローズは裸眼で見る。
「えっと、これを…ポイッと」
服の内ポケットから取り出した爆弾のようなものをセンサーに投げた。
すると、センサーは5秒間消えたのだった。
「進入成功…って思ったけど、中はレーザー?めんどうね」
しかし、ブラックローズはそれを物ともせず、前へ進む。
ブラックローズを襲うレーザーは、全て軽々と避けられた。
「よっし。いただきー!」
そう言ってブラックローズは窓から外へと飛び出した。
その背後ではカードが舞っていた。
『森の雫はいただきました。 ブラックローズ』
「ホワイトローズ!頂いてきたよー!」
「あら、早いこと」
ブラックローズは薔薇組織本部にいた。ここでは皆、薔薇の仮名が付けられる。
ホワイトローズはブラックローズの主。
この組織は、3人の幹部で成り立っている。幹部とはギガンティア、キネンシス、フェティダの3人。
「はやいでしょー!ホワイトローズ、さっさと入品しちゃってよ」
「はいはい、って仮にも私はあなたの主よ?なんで命令されなきゃいけないのよ…」
「気にしない、気にしない!」
ホワイトローズはいかにも納得していないという顔でブラックローズを睨み付けた。
「それはそうと、ブラックローズあなたスキルあげたわね。前はすごく時間が掛かっていたのに…」
「それはそうでしょう。私だってホワイトローズに追いつけるように頑張っているんですから」
その時、ホワイトローズの横にあるパソコンにメールが入った。
「あら、あなたまた仕事よ。今度は春日邸ね」
ホワイトローズがパソコンをいじりながら言った。
「えー!またー!?休み殆ど無いのに…」
「文句言わない!次は「海の光」っていうアクアマリンのピアスよ」
「はー…」
ブラックローズはため息をつく。
「いけばいいんでしょう、いけば!その代わり、予告状は出しといてね」
「はいはい」
「んー、日付はあさって、時間は夜8時」
「わかったわ」
そう言って、ブラックローズは出て行った。