強制異世界転移 ~世間では誘拐と言います~
新作です。よろしくお願いいたします!m(__)m
大西洋上 アフリカ沿岸部 某孤島
とある施設の一室にある浴室に、2人の日本人兄妹がいた。
2人は椅子に座り、兄が妹の髪を洗っている。
「こゆきはかわいいなぁ」
「そうかなぁ?おにいちゃんのほうがかわいいとおもうよ」
「えー。ぼくはおとこのこだよ?」
「えー。だってほんとのことだもん。それに、このあいだあるふれっどさんもいってたもん」
「えー。ぼくってそんなふうにみられてるの?」
「そうだよー」
小雪と呼ばれた妹の方は、にへっと笑う。
しばらく沈黙が場を支配したが、すぐに妹の方が兄に向かい、振り返る。
「おにいちゃん、こゆきのこと、かわいいっていったよね?」
「ん、いったよ」
「それってどれくらい?」
「どれくらいといわれてもなぁ」
「およめさんにしたいくらい?」
「んー。そうだねー」
「じゃあ、およめさんにしてくれる?」
妹は兄に真剣な表情で問う。
「いきなりだなー」
「してくれる?」
「んー。そうだねー、おおきくなってからかなー」
「じゃあ、おおきくなったらおよめさんにしてくれる?」
「そうだねー。おおきくなったらねー」
「やくそくだよ?」
妹は小指を突き出して言った。
「はいはい」
それを見た兄も、小指を突き出す。
「「ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのーます、ゆびきった」」
指切りをしながら兄は思う。
「(まあ、大きくなったら覚えてるどころか嫌われるんだろうけど)」
指切りが終わると、妹はにへっと笑った。
「やくそくだよ?」
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日本
目覚まし時計からロック調のボーカロイドが流れる。その音で目を覚ました俺はベットから起き上がった。
「…懐かしい夢を見たな」
ポツリと呟き、頭を掻く。
枕の下に手を突っ込むと1丁の拳銃を取り出す。
拳銃、現代の日本人、それも高校生には必要ない人が産み出した人を殺す道具。
それを右手で弄びながら、今度の人生はなかなか数奇なものだなと、そんなことを考える。
懐かしい夢をみたからか、少し感傷的になっているようだ。
左手で頭を掻きながら、拳銃、SAA コルトピースメーカーを壁に掛け、シャワー室に向かう。
その途中、鏡が目にはいる。
「…何度見ても嫌になるな」
鏡に写る自分を見る。
艶のある黒髪にクリッとした少し大きめの目、ぷにっとした自然な赤みのある唇、小さめの鼻に、白い肌、手足はほっそりとしていて全体的に華奢な印象を与える。
極めつけはこの身長、女子小学生の平均より低いとか正直泣けてくる。
そう、とても男子高校生には見えない容姿をしているのだ。
高校の学生鞄よりもランドセルを背負っている方が自然なくらい容姿が幼い。しかも女の子が持っているような赤い色合いの奴。
鏡を見ながらこれまた感傷的になる。
今日はなんだか調子が悪いな。
シャワー室に入り、温めのシャワーを浴びる。
シャワーを止め、体を拭き、寝巻きからジャージに着替える。
体に合うサイズの服が幼児用しかないため、大概は特注品だ。
ベットルームに戻ると、ドアがノックされた。
「クソ兄貴ー。入るぞー」
声がかけられ、ドアが開かれる。
入ってきたのは俺の妹、峰岸 小雪。あれからよく育って美少女へと成長していた。
頭もよく、運動神経抜群。その辺は手がかからない妹なんだが…。
「また変な格好してやがるな。今日は裸エプロンかよ。しかもその格好で罵倒って…」
「えへへー。ギャップがあった方が男は食いつくって本に書いてあったから。どうだったー?」
「とりあえず着替えろ、話はそれからだ」
「えー。お兄ちゃんのいけずー」
なんだかんだ言いながら部屋から出ていった。
ベットの隣にある棚から革の眼帯を取り出し、右目を覆うように着けながら呟く。
「なんであんなふうに成長しちゃったんだろう…」
妹はブラコンだ。間違いなく。
昔からスキンシップが激しかったが最近はかなり度が過ぎている。この間は睡眠薬を盛られ、叱ったら媚薬を盛られる始末だ。
「俺の接したが悪かったのか?」
ふと、そんなことを考える。
思い出して見るが多分世間一般的な接し方だったと思う。
知らぬ間に自問自答を繰り返していた。今日はほんとに調子が悪いらしい。
着替えを終え、リビングに向かう。
リビングにはすでに同居人達が集まっていた。
「おう、おはよー」
「おはよー。また今日も可愛らしいわね」
「うるせぇな。俺も好きでこんな姿に成長した訳じゃねぇよ」
同居人、小山 夏海と佐久間 林太郎が話しかけてきた。
最初に挨拶してきたのが夏海、次に挨拶してきた女口調が林太郎だ。奴はオカマなんだ。
俺が席につくと、夏海がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「小雪、今日は裸エプロンで起こしに来たってな。手出したのか?」
「出すかバカ。て言うかあの格好でお前らのとこ行ったのか?」
「ええ、正直驚いたわ」
「俺んとこもあの格好で来たな。面白そうだと思ったからなにも言わなかったが」
「てめぇ」
「そんな顔で睨まれても怖くねぇな」
夏海はそう言うと、コップに入ったコーヒーを飲み干す。
「まあ、なんだ。あんなに一途なんだ。少しは答えてやったらどうだ?」
「俺たち兄妹なんだが」
「関係ねぇんじゃねぇのか?この間は自分で言ってたじゃねぇか」
「なんであんなこと言ったんだろうな」
「さあな。知らね」
「なーに話してるの?」
小雪が後ろから抱きつきながら話かけてきた。
「いやなに、こいつがこの間は話してたことだよ」
「やめろよ…」
「この間?お兄ちゃん何か言ってたの?」
「ああ、それはな…」
「はいはいやめやめ。時間も迫ってるから飯にしよう。飯」
「ああごめんなさい!今から準備するね」
そう言うと小雪はキッチンに向かった。
「ありゃ、いいところだったのに」
「夏海ちゃん。人の嫌がる事はするべきではないわ」
「てめぇもするつもりだろ。ニヤニヤしながら言いやがって」
「あらごめんなさい。そんなつもりはなかったのよ?」
「てめぇらな…」
「ご飯持ってきたよー」
小雪が朝食を持ってきた。麦飯に豚汁、焼き鮭に卵焼きと漬け物が今日の献立のようだ。
「全員行き渡ってるな?では、いただきまーす」
「「「いただきまーす」」」
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朝食を食べ終え、制服に着替える。
リビングに移動し、他を待っているとしばらくして他のやつらもやって来た。
「毎日毎日めんどくせぇよな」
「そう言わないのお兄ちゃん」
「スカートは気にいらねぇんだよな。毎度思うが」
「あら、じゃあ私の制服と交換する?」
「さて、んじゃ行くか。そこ、制服の交換を真剣に検討してんじゃねぇよ」
家を出て、鍵を閉める。
学校に向かう途中、さらに8人の少年少女が集まる。
各々挨拶し、駄弁りながらさらに移動する。
学校に到着。そのまま教室に向かう。こいつらとは全員教室が一緒だ。何らかの圧力があったんじゃねぇかな?
そんなわけで退屈な授業を受ける。
2時間目。やる気のない担任が担当する化学の授業を受けているとき。異変に気づいた。
「夏海。何か床光ってねぇか?」
「そいつは俺も気になってたところだ」
となりの席に座る夏海に声をかける。今は特に以上はないが、床がほのかに光っていた。他の面子も表には出してないが気になってるようだ。
しばらく観察してみるが、特に何も起こらない。担任の松永も気だるそうに授業を続ける。
その時だった。
床が、強い閃光を放つ。その感覚は昔食らったフラッシュバンを思い出させた。
そんなどうでもいいことを考えながら、俺は意識を失った。
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『本日午前10時頃。私立大和肥高校で爆発事故が発生しました。現在、警察が調査中ですがこれまでに爆発事故のあった2年5組に在籍した生徒42名と担任教師1名が行方不明とのことです。続報につきましては…』
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「いっつぅ。くそ、油断した」
気がつくとそこは森の中だった。いまいち状況が飲み込めない。教室から突然森の中とはいったいどういうことぞ?
周りの状況がわからないので、身を屈める。すると、足元に大きめの布と1枚の紙が落ちていることに気がついた。そう言や全裸だ俺。ヤバイヤバイ。
布を羽織、紙を拾い上げ、見てみる。
そこにはそこそこうまい字で文字が書かれていた。
やっほー。始めまして!\(^o^)/
私は邪神を自称する者です。えーと。いまいち状況が飲み込めないと思うので状況を説明しますね?
貴方達2年5組の生徒の皆さんはとある連中の魔法によりこの世界に転移させられました。いやー。災難災難。(σ≧▽≦)σ
それでですね?貴方と一部を除いた全員が今頃勇者として祭り上げられているんです。私としては全員を素直に転移させるのもあれだったので、とりあえず貴方と一部の生徒を別の場所に転移させました。あ、何で元の世界に転移させないんだとか言わないでくださいね?ちょっとあれなんで。
そんなわけで、今この森には貴方を入れた12人の生徒が居ます。少し離れた位置にいるので頑張って合流してくださいね?まあ、合流しないのもありですが。( ^∀^)
あ、ちなみに貴方にこれこれをしろとか強制するつもりはないのでご安心を。それと幾つか能力を授けました。まあ、邪神の加護みたいな物です。勇者として転移させられた方々も持ってるので。邪神の加護ではないけど。(゜゜;)
あ、それと1人1つスペシャルな道具があります。この紙の近くに落ちてると思うので拾っといてください。
そんなわけであれです。まあ、悠々自適に異世界生活を満喫してください。それとこの紙は自動的に消滅するのでその辺にポイしといてください。はい、それでは頑張ってくださいねー。(σ≧▽≦)σ
追伸
現在持っている邪神の加護とスペシャルな道具のことです。加護を使いたい場合は加護と念じれば目の前に操作盤が現れます。慣れれば音声だけでやることも可能ですよ?
邪神の加護
貴方達全員に共通
・言語の加護 (常時発動)
・収納の加護
貴方のみの加護
・武器兵器、装備品召喚の加護
スペシャルな道具
・邪神ちゃんのスペシャルな刀
とてもふざけた事が書かれていた。介入できるなら全員帰せや。
ちょっとイラッとしつつ紙を捨てる。
回りを軽く見るとスペシャルな道具とやらが木に立て掛けてあった。
手に取ってみる。
見た目はあれだ。九五式軍刀だ。重量や質感も。
抜刀してみる。
波紋のない刀身に血流し部分。完全に九五式軍刀だ。
鞘に紙が貼ってあったので、剥がして読んでみる。
邪神ちゃんの刀
基本的に不壊です。相当無理な使い方をしない限り壊れません。万が一壊れても、鞘に入れれば直ります。切れ味変わらず砥石要らず。
実に素晴らしい。ふざけた神にもいいところはあるんだな。
軽く邪神を称賛し、軍刀を鞘に入れ、手に持つ。
とりあえず能力より先に他の面子と合流することにした。
このような駄文を読んでいただきありがとうございます!m(__)m
不定期更新で拙い文章ですが皆様の暇潰しになれたらいいなーとか考えてます!これからよろしくお願いいたします!m(__)m