9話・魔法の勉強
––––翌日。
俺はクロン、シロンと共に町の空き地にいた。
そこは町が決めた魔法演習場である。
最も今では新しい演習場が出来た為、皆そちらの方へ行っているので古い方は殺風景だ。
けれど俺は静かな方が好みなので、寧ろ有難い。
人混みは面倒だし、なんか不安になるんだよな。
こうして俺達三人だけの方が落ち着く。
魔法は精神面に影響され易いそうなので、リラックス出来る環境の方が望ましいだろう。
「まずはこれに触れてみてくれ」
「何この……石?」
クロンが持っているのは様々な色の小石だ。
形も不均一で、余り価値があるようには見えない。
「これは魔石だ。魔力の波動に反応する」
「魔力の波動?」
「魔法の適性だ。人間は産まれながら、その波動が絶えず身体中を駆け巡っている。魔法の属性は七つあり、波動もまた七つある……例えば火属性の魔石に触れ、反応したらその者には火属性の適性がある、と言う事だ」
成る程、彼女の説明に納得する。
魔力の波動=属性適性ってワケか。
「とりあえず全部に触れてみてくれ」
「普通は一つか二つだ。私は風属性を持っている」
「私は二つ、火属性と光属性だよ」
波動の数、種類は才能に依存するようだ。
そもそも波動が流れていても、微弱だと魔石は反応しない。
波動そのものは流れているが、魔法が使えない人間はこの世に幾らでもいるとクロンは言う。
「じゃあ、まずはこれ」
赤い小石を受け取る。
多分、火属性の魔石だろう。
「触れながら念じるんだ。川のように流れる波動を、魔石へ注ぎ込むイメージを忘れるな」
「……」
言われた通りにイメージする。
すると、段々魔石が熱くなってきた。
次第に魔石が発光し始める。
これは……アタリか?
「おめでとう。君には火属性の適性がある」
「私と同じだねっ」
「はは、とりあえず一つは使えそうで良かったよ」
魔法の才能を授けてくれてありがとう、神様。
なんて風に思いながら、他の魔石にも触れてみる。
緑色の小石、風の魔石––––適性有り。
青色の小石、水の魔石––––適性有り。
茶色の小石、土の魔石––––適性有り。
黄色の小石、空の魔石––––適性有り。
白色の小石、光の魔石––––適性有り。
黒色の小石、闇の魔石––––適性有り。
結果、俺は全ての属性に対応していると分かった。
本当にありがとうございます、神様。
けど……少しオーバースペックなのでは?
クロンとシロンが驚きすぎて放心してるよ。
いつも笑顔なシロンでさえ、無表情だ。
「…………」
「…………」
「あ、あのー」
二人が元の調子に戻るまで、数分を要した。