表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王道(キング・オブ・ロード)な異世界転生物語  作者: 下っ端労働者
第1章【転生者イトウ・オウスケ】
8/17

8話・人の縁

 

「魔法は便利で強力だが、使い方を誤ると危険だ」

「悪い魔法使いも沢山いるしねー」

「そうなのか、一つ賢くなれたよ。ありがとう」

「このくら常識の範囲内だと思うが……」


 クロンに怪訝な視線で睨まれる。

 怪しい、と思っているのだろうか。

 まあ仕方ないか、実際この世界の人間じゃないし。


「クロン、やめなよその目。失礼だよ」

「……そうだな、恩人に対して失礼だった、すまない」

「いや、別に気にしてないよ」


 頭を下げるクロン。

 礼儀正しいというより、少し硬い。


「そうだ、何かお礼しないとっ!」


 シロンが言う。

 参ったな、これで本日二回目のお礼だ。

 けれども俺は貰えるものは貰う性分である。


「なら……少しでいいから、魔法を教えてくれないか?」

「いいよーっ!」

「シロン、簡単に言うな……魔法は才能に依存する部分が大きい、魔法適性が無ければ、そもそも魔法を扱う事が最初から出来ない」


 シロンを嗜めながらクロンが言う。

 才能なら多分問題無い。

 神様から『魔法の才能』を貰ったからな。


「それに関しては、大丈夫だと思う」

「何故だ?」

「まあ色々あって」

「……分かった、深入りはしない」

「イェーイッ! 今度は私達が教える番だね!」


 無邪気に笑うシロン。

 彼女達も誰かから教わったようだ。


「教えるのは明日からでいいか? この後用がある」

「勿論構わないよ」

「私達、風林火山って宿に泊まってるから、もし何かあったらそこに来てね」

「分かった。あと一応、俺はホワイトスワンに泊まってる」


 自分の宿を伝えておく。

 この世界には電話が無い。

 居場所を知る知らないとじゃ、だいぶ違う。


「そうだな……明日の昼前、風林火山に来てくれ」

「分かった」

「じゃあまた明日ねー」


 そう言って二人の少女は去っていった。

 なんか、疲れたな。

 一日に人助けを二回もするなんて。


 でも、知り合いが三人も出来たのは素直に嬉しい。

 ここは異世界、頼れる人なんて誰もいない所だ。

 考えてみれば……俺はかなり、行き当たりばったりな行動をしていたと、反省する。


 町を目指して歩いていた時だった、偶然アキードさんの馬車を見つけていなかったらどうしていたのか。

 そのアキードさんは言っていた。


 商売は、人と人の縁だと。


 これは純粋な人間関係にも当てはまる。

 人同士の縁、繋がりが何よりもの財産だ。

 金貨五枚を貰ったが、アキードさんと知り合えたのは、それ以上に価値のあるモノではと思う。


 願わくば、俺も彼にとって有益な存在でいたい。

 お互いを支え合う、そんな間柄に。

 あの美少女二人とは、どうかな。

 まだ何も分かってないけど……上手くいく気がすると、不思議と思えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ