2話・遭遇
「––––ここが、異世界」
真っ青な空が俺を出迎える。
周りは草原で、心地良い風が吹いていた。
景色だけ見たのなら、まだ異世界感は無い。
それでも感慨深いのは確かだ。
感覚か、直感か……ここは日本でも、地球でも無い全く別の世界だと訴えていた。
さてと、これからどうしようか。
何も無いし、とりあえず歩こう。
あの優しそうな神様の事だ、多分近くに町でもある所に転生させてくれただろうし。
そんな感じで気の向くままに歩いていく。
一歩一歩、大地を踏みしめて。
そこで一つ、新事実が判明する。
体力がめちゃくちゃに増えていた。
どんなに歩いても、走っても……全く疲れない。
疲労という概念から解放されたようだ。
多分、これが神様が言っていた三つのプレゼントの一つ、強靭な身体の事なんだろう。
これなら旅をする時も困らない。
「……ん、あれは?」
なんて事を考えていたら、一台の馬車を見つけた。
見るからに高級そうな装飾が使われている。
しかし、所々が壊れていた。
それは恐らく、彼らの所為だろう。
「ガルル……!」
馬車を取り囲む、四頭のオオカミ。
血走った目で睨み、馬車を引く馬も震えていた。
あのままでは馬も中に居る人も襲われる。
よし、助けよう。
転生初日で人を見殺しにするのは、寝覚めが悪い。
強靭な身体がどの程度の性能なのかを測るテスト……という事にして、自分を納得させる。
我ながらお人好しだと言わざるをえない。
「ふっ!」
それなりに力を込めて駆け出す。
すると、一歩目を踏み出した時点で、俺の身体はオオカミ達の近くにまで接近していた。
殆ど水平に近いジャンプだ。
こんな事まで出来るのか、この身体わ。
「グルルッ!」
「悪いけど、何処かへ消えてくれ」
走力を上乗せした右足の蹴りを、オオカミの腹へ入れる。
オオカミはそのまま吹っ飛んで消えていった。
それを見た残りのオオカミ達は、三匹同時に別方向から襲いかかってくる。
俺はそれを全て避け、続けて右足の拳を三発、それぞれのオオカミへ食らわせる。
やはりオオカミは空の彼方へ吹き飛んだ。
これで終わりか。
初戦闘にはしては、上出来だろう。
それに、既に一度死を体験したからだろうか。
死の恐怖を一切感じなかった。
良い事なのか悪い事なのか、俺には判別出来ない。
「そうだ、馬車に居る人は大丈夫かな?」
馬車の扉を開け、中を確認する。
そこには綺麗な服に身を包んだ男性が震えていた。
歳は三十代後半くらいだろうか。
俺は彼に、オオカミを退治したと伝える。
「そ、それは本当かい⁉︎」
「はい、外を見てください」
「ほ、本当だ……ありがとう、君のおかげで助かったよ」
男性の名はアキード。
自分の商会を持つ商人らしい。
移動の途中、不幸にも魔物に襲われたようだ。
本来なら魔物の出現率は低いようだが。
魔物とは、さっきのオオカミみたいな怪物の事だ。
6話まで一時間更新です。




