16話・腐った界隈
「シロン、立てるか?」
「あ、うん」
シロンに手を貸し、立ち上がるのを手伝う。
クロンは自力で立って俺の方をジッと見ていた。
何だろう、顔に何か付いてるのかな。
「王助……すまない」
「なんでクロンが謝るんだ?」
「私は、何も出来なかった……」
俯くクロン。
責任感の強い性格のようだ。
さっきも、自分を犠牲に俺達を助けようとしたし。
心の強い女の子だ。
俺は神様から貰った力があったから、抗えた。
もしそれが無かったら、何も出来ていなかっただろう。
なのに彼女は、仲間を守ろうと立ち上がった。
「皆んな助かった、それでいいじゃないか」
「そうだよ、クロン」
「王助、シロン……」
「さ、もう帰ろうぜ? 流石に依頼を続ける気力は無い」
キャンセル料を取られるが、構わない。
と言うかこのままギルドに在籍するかどうかも不明だ。
最悪、辞める事も視野に入れてる。
登録その日に辞めるなんて、俺が初めてだろうな。
「そうだ、こいつらの身ぐるみ剥いで金にしよう」
「エゲツないな、お前も」
「敵対者には容赦しないだけだ」
男達の装備や道具を適当に漁る。
流石Cランク冒険者、良い物を結構持っていた。
それらを売って金にすれば、暫くは暮らせる。
そう決めてから、俺達は採掘場を後にした。
冒険者ギルドへ戻り中へ入ると、それまで馬鹿騒ぎしていた冒険者達の喧騒がピタリと止む。
そして呆然とした表情で俺達を見た。
「お前ら……どうしてここにいる」
「どうしてって、依頼を終えたからだよ」
「馬鹿な、ゴーグ達はどうした!」
恐らく俺らを襲った冒険者の名前だろう。
これ程までに新人狩りが横行していたのか。
もう、ギルドに居る意味は無いな。
俺は心の中でギルドを見限る。
ここに居ても、未来は無い。
二人もそう思ったのか、下衆を見る目で冒険者達を眺める。
「あの四人組なら、今頃魔物の餌になってるよ」
「何だと?」
「てめえ、どういう事だ!」
冒険者達が一斉に立ち上がる。
恥も外聞も無い、情けない大人達だ。
「あいつらはCランク冒険者だぞ?」
「彼らは喧嘩を売る相手を間違えた、それだけだよ」
もう冒険者なんぞに興味は無い。
さっさと退会して、何処かへ行こう。
「シロン、クロン。先に辞める手続きをしてくれ」
「あ、うん!」
「り、了解した」
二人が揃って受付へ行く。
さてと、その間に……
「先輩方、通してくれませんか?」
冒険者達は次々と武器を手に取り、俺の前へ立つ。
「悪いが、それは無理な相談だ」
「このまま冒険者を舐められたままじゃ、終われねえ」
意味不明である。
職員も止めようとしない、本当に腐った界隈だな。
「なんで、こうなるかなあ……」
俺は武装した冒険者数十人に囲まれていた。
話し合いを提案しても、誰も聞く耳を持たない。
頭に血が上っているのか、顔が真っ赤だ。
「お前ら、やっちまえ!」
「「「おおっ!」」」
「仕方ないか……」




