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王道(キング・オブ・ロード)な異世界転生物語  作者: 下っ端労働者
第1章【転生者イトウ・オウスケ】
15/17

15話・愚者達

 

 下卑た視線をシロンへ向ける冒険者達。

 クロンは汚物を見るかのような目で威嚇する。

 逆にシロンは、少し怯えていた。


「外道が、最初からそれが目的か……!」

「まー落ち着けって。抵抗しても無駄だぜ、ほら」


 男が見せつけてきたのは、銅色のギルドカード。

 Cランク冒険者の証だった。

 それを見てクロンは、一歩後退る。


 Cランクともなれば中堅の冒険者だ。

 新人冒険者が数人いても、勝てるワケが無い。


「ど、どうしよう、クロン、オースケ……」

「シロン……」


 不安な声音を絞り出すシロン。

 そんな彼女を庇うように前へ出るクロン。

 俺は、男達に幾つか質問する。


「先輩方、その口ぶりだともう何回もこういう事やってるみたいですけど、ギルドからお咎めは無いんですか?」

「はっ、そりゃそうよ。ギルドはある意味治外法権だ、強い奴が優遇される。それに騎士団に通報したところで、冒険者の話なんか騎士サマは聞く耳持たねーよ」


 下品な笑い声をあげる男達。

 今ハッキリと、この世界の闇を見た。

 冒険者ギルドと騎士団の対立。


 騎士団とはこの世界の警察みたいなものだ。

 つまり、法を守る組織。

 その組織と対立してるが為に、ギルド内での違法がまかり通る現実に、俺は辟易した。


 そして、それを正そうともせず、自ら抜け道を嬉々として進む目の前の冒険者達に……怒りが、湧いてくる。


「んじゃ、先にどっちから頂こうか」

「おい、男はどうする」

「ボコってその辺に転がしとけ––––いやまて、ねーちゃん達が俺らに犯される様子を見物させるのも、面白いかもなあ、はは!」

「そりゃあ良い、天才だなお前!」


 会話を聞いてブルブルと震えるシロン。

 弱々しい力でクロンの袖を掴んでいた。


「大丈夫だ、シロン」

「クロン?」

「もう、仲間を傷付けさせない。私が、守る」


 一人、前は進むクロン。

 その両肩は小刻みに振動していた。


「……私には何をしてもいい、望むなら命も断つ。だから頼む、二人には手を出さないでくれ」

「クロン! ダメだよそんなのっ⁉︎」

「クロン……!」


 彼女の決意は壮絶だった。

 しかし、冒険者達はそれを嘲笑う。


「ギャハハハハッ! 見逃すワケねーだろ!」

「女は仲良く犯してやるよ、なあ!」

「よし、最初は男をボコるところを見させるか」

「っ、や、やめろっ! 頼む!」


 男の腕に飛びつくクロン。

 だがしかし、あっさりと剥がされてしまう。


「どけ!」

「あうっ!」

「おらガキ、さっさとこっち来い」


 手招きしながら男達がやって来る。

 シロンは涙を流しながら腰を抜かしていた。

 壁に叩きつけられたクロンは、静止の叫び声をあげる。


 そして、俺は––––


「早く来いって言ってんだろクソガキがっ!」

「……さようなら、先輩」

「なにいっ……あ?」



 ––––敵をどう殺すか、直前まで考えていた。



「が、あ、ああああああああああっ⁉︎」

「うるさい」

「あがっ⁉︎」


 圧倒的な握力で男の手首を破壊した俺は、そのまま右足で蹴りを繰り出して弾き飛ばした。

 こんな奴らの為に手を汚す必要は無い。

 俺はとある私刑を思いつき、内心笑った。


「二人とも、下がっててくれ」

「王助……」

「オースケ……」

「もう決めた、あとは全部、俺が片付ける」


 こくこくと頷く二人。

 続けて俺は、冷酷な瞳で冒険者達を睨む。

 さっきの男は既に蹲り、戦闘不能となっていた。

 蹴りで内臓をやられたのかもしれない。


「な、な!」

「くそが! ガキが調子に乗るな!」

「お、俺達はCランク冒険者だ、負けるものか!」


 二人の男が武器を振りかざす。

 まず、一人目の大剣を片手で受け止める。

 そのまま握力だけで刀身を折り、破片を投げて後方に控えていた槍使いの体へ突き刺す。


「ぐああああっ⁉︎」

「マルク⁉︎」


 男の悲鳴と共に、赤い血が吹き出す。

 だがまだ致命傷ではない。

 良かった、勝手に死なれたら面倒だからな。


「次はお前だ」

「くそったれがあああああああああああ!」


 折れた大剣で突進してくる男。

 俺は無銘を抜き、空属性の魔法を発動させる。

 僅かな電気が煌めき、無銘の刀身へ流れていく。


 銀色の無銘に、青い雷が纏うように取り付いた。


「……電光斬」


 即興で考えた技名。

 ただ、効果の方はそれなりだった。


「あばっ、あばばばばばばばっ⁉︎」


 軽く大剣に触れただけ。

 それだけで、男は痺れ倒れた。

 試しに魔力を大量に流してみたが……ふむ、例え初級魔法でも、魔力を大量に使えば威力が上がるようだ。


「ひ、ひいいいっ!」

「逃すかよ」


 最後に残った男が逃走を図ろうとする。

 俺はクロンが使っていた魔法を思い出した。


「風や、敵を拘束しろ」

「がっ!」


 風陣捕縛。

 こちらも即興で試したが、上手くいったようだ。

 男は風の牢獄に囚われ、身動きが取れない。

 Cランク冒険者なら、中級魔法の突破方法くらい知ってそうなものだが……まあ、どうでもいいか。


「お前も気絶してろ」

「あばばばばばばばっ⁉︎」


 首に無銘の切っ先を当て、痺れさせる。

 これで四人全員無力化した。

 だが、死んだワケではない。


 ここからが本番だ。

 腰のポーチからワイヤーを取り出し、男達を縛る。

 そのまま通路の中央へ放置して終わりだ。


「……な、何のつもりだ……」

「ん? このまま魔物の餌になってもらおうと思って」

「っ⁉︎」

「血の匂いもあるし、直ぐに寄ってくるだろ」

「まっ––––」


 何か言う前に電光斬で気絶させた。

 食われ始めたら、流石に起きるだろう。

 最も、起きない方が安らかな死を迎えられるだろうが。

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