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王道(キング・オブ・ロード)な異世界転生物語  作者: 下っ端労働者
第1章【転生者イトウ・オウスケ】
14/17

14話・強襲

 

「ギギイッ!」

「っ、この!」


 戦っているのはシロン一人。

 対する魔物は先程と同じ、ラージラット。

 但し数が増えて二匹いる。


 それでもシロンは、クロンのサポートがあれば問題無いと言い、俺に手を出すなと言った。

 確かに俺が全て倒してしまったら、魔物との戦闘経験がいつまで経っても蓄積されない。


 オンラインゲームでもそういうのがあったな。

 一人が敵を倒しすぎて、パーティーを組んでいた他のプレイヤーに経験値が入らない現象。


 やってる方は楽しいが、待ってる方はつまらない。

 まあ俺達が今やってるのは、ゲームでは無いリアルの狩りなのだが。


「はっ!」


 シロンは決して速くないが、身体が柔らかい。

 その特徴を活かし、あえて接近してラージラットの攻撃をギリギリで避けている。


 ラージラットが噛み付こうとするが、彼女はそれを右足を軸にして回転しながら身体を横に。

 シロンの前を通り過ぎる格好になったラージラットの横腹はガラ空きだ、俺なら無銘を突き刺す。


 しかし、シロンは魔法使いだ。

 咄嗟に攻撃出来る手数が少ない。

 だがそれは彼女も承知しており、だからこそサポーターとしてクロンが控えている。


「風よ、敵を縛れ」

「ギギイッ⁉︎」


 風の塊がラージラットを撃ち抜き、直後小さな竜巻のようなモノがラージラットを囲んで捕らえる。

 詠唱をしたから、恐らく中級魔法だろう。


 手足をばたつかせるラージラット。

 若干だが身体が宙に浮いていた。

 そしてシロンも、その隙を見逃す程甘くない。


「火よ、拳に宿れっ!」


 シロンも中級魔法を唱える。

 彼女の両手に、オレンジ色の炎が灯った。

 煌煌と燃えるそれは、ある意味美しい。


「いっくよーっ!」


 掛け声と共に、シロンは拘束されて動けないラージラットを両手の連打でタコ殴りにしていく。

 右、左、また右。


 意外にも一発一発が鋭い。

 あの炎には拳を強化する作用でもあるのか、シロンの両手は全く傷付かず、一方的にダメージを与えていく。


「ギ、ギ、ギギ」


 気づけばラージラットは死んでいた。

 身体中ボコボコに凹んでおり、ついでに焼けている。

 流石に哀れだが、魔物に同情しても仕方ない。


 魔物を退治しなければ、ここの従業員が襲われる。


「よっと、魔石回収っ」

「シロン、少し動きに無駄多い」

「ちょっと興奮しちゃって、次は気をつけるね」


 戦闘後、反省点を踏まえる二人。

 その様子は手慣れている。

 冒険者登録の前に、魔物との戦闘経験があったのだろうか。

 それから気になった事を聞いてみる。


「なあ、二人が使った魔法は何なんだ?」

「私が使ったのは『フレアナックル』だよ」

「私のは『風陣捕縛』だ」


 説明を受ける。

 フレアナックルは自分の両手に炎を灯し、攻撃力を増加させる、珍しい物理強化系統の魔法。

 風陣捕縛は風の塊を飛ばし、当たった対象を竜巻で拘束する妨害系統の魔法。


「俺にも出来るかな?」

「魔道書を読んで、訓練すれば可能だろう」

「オースケは火も風も適性あるもんね」


 やはり魔法は便利そうだ、覚えておいて損は無い。

 大人数を一々刀で突き刺すのは、面倒だからな。


「そろそろ出てきたらどうです、先輩方」

「え?」

「王助?」


 何もない通路に声をかける。

 戸惑う二人だが、直ぐに意味を理解した。

 岩陰から四人の冒険者が、ぞろぞろと現れたからだ。


「何だ、気づいてやがったのか」

「生意気そうなガキだ、先にやっちまおう」

「まてまて、殺すのは流石に問題になる」

「なら、半殺しならいいんだよな、くくっ!」


 冒険者は全員、しっかり武装していた。

 大きな剣や片手の斧、槍が目に入る。


「な、何なんだお前達は!」


 クロンが叫ぶ。

 それを見て、冒険者達はニヤニヤと笑みを浮かべる。


「狙いはあんた達だよ、ねーちゃんども」

「え、私達?」

「そうだよ、久々に女が……それも上玉がギルドにノコノコと登録しに来たんだ、食わねー手は無い」

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