13話・初依頼
「クロン、良いのあった〜?」
ボードの前へ着く俺達。
ボードには多数の依頼用紙が貼られていた。
因みに俺はこの世界の文字を問題なく読み書き出来る、多分神様パワーのおかげだろう。
「これはどうだろう?」
「見してくれ」
用紙を受け取る。
ランクはE、問題無く受けられるな。
内容は……採掘場の魔物退治?
「Eランクでいきなり魔物退治か」
「ああ、というかそれしか無かった」
「弱い魔物だし、平気だと思うよ?」
最低ランクなのだから、植物採集とかだと思ってた。
でもそうか、わざわざ安くない金を払ってギルドに依頼を出しているんだ、植物採集程度なら自分で行う。
一般人の手に余る事だから、依頼が回ってくる。
魔物退治系の依頼で埋まるとは、寧ろ当然か。
やはりまだ甘い考えが捨てきれない。
真剣に挑まなければ、死ぬかもしれないのに。
「よし、受けよう」
「うん!」
「分かった、受付で受注してくる」
依頼受注は滞りなく終わる。
それからギルドを出て、少し装備を整える事に。
小道具を仕入れるのを忘れていたのだ。
ギルド直営店の雑貨屋へ向かい、腰に付けるタイプのポーチと、治癒ポーション(瓶に入った緑色の液体)やワイヤー、針、煙玉、救援用花火等を購入する。
それから防具屋で革製の鎧と、上から羽織るコートを買う。
いつまでも宿屋のローブを借りるワケにはいかない。
一通り揃えたら、残金は金貨二枚にまで減った。
キチンと稼がないと大変だ。
「行こうか」
「ああ」
「うん!」
三人で依頼場所の採掘場へ向かう。
町の外壁近くなので、歩いてだも行ける距離だ。
初めての依頼だからか、全員緊張していた。
「ここか」
採掘場は全体的に暗い。
魔物が出現した時から、従業員は全員逃げてる。
誰もいない洞窟は、静謐な雰囲気に包まれていた。
「なんか暗いし、冷たいね」
「シロン、光魔法で明かりを頼む」
「あいさー!」
クロンが頼む、その手があったか。
シロンが空中へ手をかざすと、光球が現れる。
その光は暗い洞窟を明かりで照らしてくれた。
初級魔法は使うのに詠唱を必要としない。
またイメージさえ強固なら、かなりの魔力量を消費して中級以上の魔法も無詠唱で行使出来る。
効率が悪いので、無詠唱で戦う魔法使いは少ないが。
鉱山の中を進んでいく。
岩肌がゴツゴツとしており、地面も荒々しい。
歩くだけで体力が減っていく。
と、そんな時だ。
「ギ、ギイッー!」
魔物が現れた。
見た目は子供くらいのサイズの、大きなネズミだ。
体毛は灰色で瞳は赤い。
凶悪な牙が二本、見え隠れしている。
遭遇するのは二度目だが……あのオオカミよりも強そうだ、ていうか正直怖い。
「俺が前に出るから、二人は援護してくれ」
「あいあいさー!」
「了解した」
無銘を鞘から抜き、構える。
洞窟なので振り回す事は難しい。
なら、突き技主体で攻めればいいか。
頭の中で思い浮かべるのは、牙○。
「っ!」
「ギイッ!」
左足を前へ、右足を後ろに。
続けて刀を持つ右腕を引き、左手で標準を定める。
魔物が動いた瞬間、俺は弾丸のように飛び出す。
その勢いのまま、引いていた右腕を前へ突き出す。
気付いたら、肉を貫く感覚を味わっていた。
「あれ?」
「ギイ……!」
刀で刺された魔物は、あっさりと絶命した。
思ったより弱い、手応えが無いな。
「なあ、弱くないか、コイツ?」
「この魔物はラージラット、下級の魔物よ」
「私達、やる事無かったねー」
暫くして、ラージラットは消滅し、魔石を残した。
魔物は死ぬと魔石を残して塵になる。
オオカミの魔物を倒した時は、適当に吹っ飛ばしたから魔石を回収する事が出来なかった。
「次は私にもやらせてよ」
「別にいいけど」
「シロン、遊びでないんだぞ?」
「大丈夫だよ、ちゃんと気をつけてるし」
俺もシロンの魔法は見たい。
それに……
「どうした?」
「いや、何でもない」
シロンの魔法を見て、もしかしたら……後ろにいる人達が帰ってくれるかもしれないし。




