12話・冒険者登録
その日、俺は冒険者登録をする為ギルドに向かった。
簡単な手続きを終え、いざ依頼へ……しかし、依頼を終えて帰った来た時にはその勢いは無くなっていた。
「なんで、こうなるかなあ……」
俺は武装した冒険者数十人に囲まれていた。
話し合いを提案しても、誰も聞く耳を持たない。
頭に血が上っているのか、顔が真っ赤だ。
「お前ら、やっちまえ!」
「「「おおっ!」」」
「仕方ないか……」
文句を言いながらも無銘(そう名付けた)を抜く。
何故、こんな事になってしまったのか。
それを説明するには、少々時間を遡る事になる。
◆
「今日はどんな御用でしょうか?」
「冒険者登録をしたくて」
「ではこちらにサインを。それからギルドカード発行料金として銀貨一枚をお預かり致します」
冒険者ギルド。
そこは言うなれば、異世界のハローワークだ。
性別年齢種族を問わず、とにかく金を稼ぎたい、荒くれ者達の最後の砦……巷ではそう言われている。
ハッキリ言って雰囲気はかなり悪い。
しかし、身分証明書も無い俺が、この世界の国で働くには冒険者しかないと判断した。
クロンとシロンも同じようで、彼女達は孤児院出身だ。
最近案を卒業し、働く為にこの町へやって来た。
しかし身元が不確かな彼女達が働くには、冒険者か水商売しか無かったと言う。
何処の世界も世知辛いのは変わらないようだ。
「……はい、書き終わりました」
同時に銀貨一枚を手渡す。
銀貨は日本円換算で、大体五千円〜一万円だ。
相場が変動するのも異世界らしい。
まあその内偽の貨幣が出回って、荒れるんだろうけど。
「それでは簡単に、冒険者について説明させて頂きます」
「お願いします」
こういう事はしっかりと聞かなければ。
今後の冒険者生活に関わってくるのだから。
「冒険者は基本的に、ギルドへ送られる依頼を受け、達成するのが主な仕事です。依頼には難易度が設定されており、E・D・C・B・Aと別れています。そして冒険者自身にも、同じランクがギルド側より付属されており、特例を除き同じランク又は以下の依頼しか、受ける事は出来ません」
登録したばかりの新人冒険者のランクは、例外無くE。
今の俺が受けれるのは、Eランクの依頼ってだけか。
そりゃそうか、ランクはギルド側の信頼でもある。
どんなに低ランクの冒険者でも、依頼に失敗すればそれだけでギルドの信用に関わる問題だ。
キチンとランクで住み分けをしておかないと、身の丈に合わない依頼を無理に受ける冒険者が続出する。
そして失敗し、ギルドの信用が失われ、やがてはギルドに依頼する人が消えて……ギルドそのものが消失する最悪の循環が生まれるワケだ。
「依頼失敗には、ペナルティとして達成報酬の半分を徴収致しますので、ご了承ください」
「分かりました」
「依頼を受ける際は、あちらのボードから依頼用紙を取り、必ず受付へ提出してください。依頼を勝手に受けて達成する行為は、禁止事項です。破った場合、ギルドカードの剥奪もあり得ます」
冒険者の説明はそれくらいだった。
あとは自分で調べろ、そういう雰囲気が伝わってくる。
ここは荒くれ者達が集まる魔窟だ。
甘い考えは捨てた方が良い。
それに冒険者は掃いて捨てる程居る。
新人冒険者が数人潰れようと、何ら影響は無い。
日本と同じ感覚でいたら、食われるな。
誰にとは言わないが。
「こちらがギルドカードになります」
「ありがとうございます」
ギルドカードを受け取る。
色はEランクの証である白。
ランクが上がるにつれカードの色は変わり、最終的にはAランクのゴールドカラーになる。
一応、そこを目指してみるか。
「あ、終わった?」
シロンが駆け寄ってくる。
終わったと伝えると、彼女はいつもの笑顔を浮かべた。
「そっか、じゃあボードの所へ行こっか。もうクロンが選び始めてるし」
「クロンが選ぶなら、間違い無いだろ」
「ふふ、それもそうだね」
シロンと共にボードへ向かう––––その瞬間。
数人の冒険者から睨まれていた事に、俺は気づいた。




