11話・魔法の勉強③
「まずは波動の流れを感じる必要がある」
「波動の流れ?」
「そうだ、波動を意識的に感じ取り、イメージ……どんな魔法を使いたいか、想像する」
纏めるとこうだ。
魔法で重要なのはイメージ。
そのイメージを現象として、世界の理を書き換える。
ただし、ただイメージすれば良いワケではない。
もしイメージ一つで魔法が発動してしまっては、例えば寝ている最中、夢を見ても勝手に魔法が発動してしまう。
それは非常に危険だ。
だから魔法使いは、イメージの前にもう一つ段階を踏む。
それがクロンの言う、波動を感じること。
波動を感じる事を魔法発動のトリガーとする事で、意識的に魔法発動を切り替えられる。
つまりこういう事だ。
波動を感じる→イメージする→魔法発動!
このように、三つのステップを踏む必要がある。
いつでも魔法を発動出来る状態の事を、魔法使い達は『スタンディングバイ』と呼ぶらしい。
訓練すれば、通常の状態とスタンディングバイ状態を楽に切り替えることが出来る。
以上がクロンから聞いた説明なのだが。
「そんなに難しい事を考えなくても、魔法使いたい! って思えば、勝手に発動するよー」
「それはお前だけだぞ、シロン……」
クロンが呆れたように言う。
もしかして、シロンは天才肌なのかも。
上級魔法も使えるし、才能が飛び抜けているのか?
一方クロンは、良くも悪くも普通だ。
先人が研究した理論を、しっかりと自分のモノにしている。
「よし、俺も」
ぶっちゃけ、波動を感じるって事が何なのか、まだよく分かってない。
だからとりあえず、シロンと同じように……ただ、魔法を使いたいという気持ちを強くイメージしてみる。
すると––––指先から、電光が迸った。
「お、おおっ⁉︎」
「か、空属性の雷っ!」
「ほらねー、私の言った通りでしょ!」
これは初級魔法だろうか。
雷はバチバチと鳴っているが、強そうではない。
何に使うかは、後で考えよう。
それよりも今は、クロンが心配だ。
「クロン、大丈夫か?」
「あ、あはは、あは」
「クロンが壊れちゃったよお」
狂ったロボットのように笑うクロン。
色々とショックを受けてしまったようだ。
なんか、悪い事したな。
その後、全ての属性を試してみたが、結局いきなり使えたのは空属性の雷だけだった。
これは空属性が俺と相性が良かったから起きた事……と、復活したクロンが言う。
空属性と相性良いのか、俺。
もしかして……前の世界で雷に撃たれて死んだから?
魂的なモノに、雷が強く結びついたのだろうか。
正直、複雑だ。
「今日はありがとう、勉強になったよ」
「うん、今度一緒にギルドで依頼受けようね!」
「それは良い、知り合いの方が疲れない」
「ギルド? 依頼?」
また知らない単語が出て来た。
二人はまたしても、ギョッとしたような顔になる。
「え、冒険者ギルド知らないの、オースケ」
「うん、知らない」
「私はてっきり、新人冒険者かと思っていたが……」
この町には冒険者ギルドなる施設があるようだ。
昨日の彼女達の用と言うのは、そのギルドに登録し、生活費を稼ぐ為、依頼を受ける事だったとか。
生活費か……
俺も働かないとな、貰った金もいつか無くなるし。
なら、俺もそのギルドに登録するか。
「なら俺も、冒険者ギルドに登録するよ。金欲しいし」
「おっ、いいねえっ!」
「王助の実力なら、問題無いと思うぞ。あの剣術は目で追えない程速かった」
ギルドの依頼は荒事が多そうだし、やはりアキードさんから刀を貰っておいてよかった。
「じゃあさ、これから皆んなでお昼食べて、それからオースケの登録しに行こうよ」
「私も賛成だ、王助は?」
「勿論賛成、寧ろありがたいよ」
こうして俺は、冒険者としての道を歩み始めた。




