はじめに
私自身に霊感はございません。
もしかすると、自覚していないだけかもしれませんが。
とは言っても、私も30半ば。それなりの時間を生きてきております。
日常的に霊を見ることはなくとも、今思えば、あれは心霊現象だったのではないかと思えるような経験が、実は私にも少なからずあります。
こう言ってしまうと、冒頭での『霊感がない』という言葉が、早速嘘になってしまうのですが、自覚していない以上、私自身は『ない』と思っております。
ですので、ないものねだりの性分がたたってか、私は昔からホラー映画や怪談話、その類が非常に好きなのです。
その中でも特に、人から聞かせていただく怪談話。これが一番好きであります。
話を聞きながら、頭の中で浮かべる映像は極めて恐ろしい。
そういった観点でみると、活字によるホラー小説も捨てがたい。
人間の想像力が生み出す恐怖の映像、これが一番恐ろしいと思いませんか。
そんな私が聞いた怪談話を、親愛なる友人の勧めもあって、ここにまとめてみようと思います。
多くは人伝いに聞いた怪談話です。
嘘か真か、真偽の定かでない話も多々ありますが、そこはご愛嬌。
どうか実話だと信じていただき、これを読んだ皆様の小話のネタにしていただけると、これ幸いでございます。
眠りにつく前のひと時。
か細い悪寒で、皆様の背中をひと撫で出来ればと思います。