何も分からない終わり 8話
はは、ゴブリン。
まんまゴブリン。
めちゃくちゃ殺気立ってる。
そらそうだ、あんな中にいたらそうなる。
巣とかあるのかな。
なんでこんなに平気かって?重力弾があれば殲滅できるからだろうな。
ぎゃぎゃ言う奴らを無視して。
水道を開けてやる。
喉が渇いていたのだろう。めっちゃ飲んでる。
その間に、蔦を捌いて白焼きにする。
燃料どうしようと思ったけど蔦の皮がびっくりするくらい火持ちする。
狩れれば御飯も燃料も採れる。
良く考えてある。
水を飲み終えたゴブリンどもがこちらを見ている。
今にも襲い掛かってきそうだ。
「俺を襲えば、飯はこれきりだ。お前たちの命もそれきりだ」
思った以上に冷たい声が出た。
我々をどうするつもりだ。
話せる奴がいるのか。
多くはない、たまに生まれる。
「どうしもしない、俺もここに閉じ込められているからな。どうするかは周りを確認してから考えるさ」
この水は?
「ああ、それは俺の力じゃない。もともとこの場所のもんだ。使えるかどうかは分からん」
「村を救ってほしい」
「断る」
「なぜ!?お前は力を持つ者だろう?」
「しらん、そもそもお前らを知らん」
「それにだ、そこでガチガチ言ってる奴らのいう事なんか聞けるか殺すぞ」
俺は銃を向ける。本気でこいつらを殺すつもりだ。
「す、すまない!」
知性がありそうなやつが他のゴブリンをぶん殴っていた。
「は、腹が減っていては気が立つもんだ。食べろ食べろ。俺も食べるし」
しばらく、咀嚼音だけが響いていたが、なのだがな。
「その、あんまり見るな」
「貴方は凄い、仲間を喰らうあいつらを逆に喰らう、そして我らに食べさせてくれる」
全員で、うんうんいうな。
「その辺は俺には知らない」
「村を巣を助けてくれ」
今度は全員が頭を下げた。
「何に困って、水と食料だよな?」
「ご慧眼」
「おまえ、めんどくさいな」
敵対しても仕方ないので村の場所を聞くとここと丁度反対側だった。
なかなかの距離だ。
「俺を真ん中にして、その村まで一気に行軍する。俺が歩けなくなったら担いで行け絶対に止まるな」
応!
しっかり餌付けされたゴブリン軍団と共に敷地を進む。
蔦が襲い掛かってくるが重力弾は使わない。
火の気配で、植物の本能が忌避すると予想したからだ。
「切れた蔦に構うな!お前らが死ねば子が飢える!」
名残惜しそうにするゴブリンどもを本気で怒る。
俺の遠征軍は、涎を垂らしながら彼らの言う村に着いた。
彼らが捕食者側に回ったので襲撃が減ったのは内緒にしようと思っている。
村は阿鼻叫喚だった。
蔦が村の入口に迫っていた。
どうやらシャッターの一部が浸食されてゴブリンと植物の境界になっているようだった。
「ふむ、村に蔦が迫っているな」
「ええ、迫っています」
「今までなら?慌てて避難を支持しています」
「今は?」
「飯の種です主様」
「ならば、行こう。今夜は御馳走だ!」
俺は途中で疲れたので背負われていたけれど、ここはダメだ。
弾丸で遠距離の蔦を落としていく。
ゴブリン軍団は、涎垂らしながら粗末な斧を振り回している。
「そこ!生で食うな!死ぬぞ」
びくっとして斧を振りかぶる奴もいる。
まあ、そんなこんなで村?にたどり着いた。
「おお。大戦士長戻ったか」
テンプレの長老のありがたいお言葉らしい。
全無視して、切られた蔦をシャッターの中に居れて、皮を剥いでいく。
「な、なにを為されているのでしょうか?」
「お前誰だ?殺すぞ」
「わ、私は大戦士長の妻です、この度はありがとうございました」
「ああ、あいつの女か」
人間でも美人に見えたから嫉妬した。
「で、なにを」
「あ?食うんだよ。あいつら美味いっていっていたぞ。おれも美味いと思うってる」
「ですが、悪魔の蔦です」
「だからなんだ?」
「悪魔でもなんでも、食えて飢えなければ万歳じゃないのか?」
「そ、それはそうですが、しきたりが」
「それは後で聞く。俺は他所もんだ。しかし恩人でもある。皮を剥け」
「はい」
俺は部屋の奥へ移動した。
うん、水道も稼働しているな。
じゃばじゃばと水を使う。
後ろから目線を感じる。
「なんだ?」
「お水」
「おお、水だ。俺が来たからな此処にもメンテが入るよ。取りあえず使ってみな」
俺がどくと蛇口を最大で皆群がっている。
今はいいさ。
「皮は剥けたか?」
「これで良いですか?」
「ほお、なかなかうまいじゃないか」
「火はどうしてる」
「命がけで薪を」
俺を責めるみたいにみるなよ。
「皮は薪のように火が付くから使ってくれ。残りは俺が料理する」
「料理!?」
「毒だったら、あんたの旦那は帰ってきてない」
「お手伝いします」
「ほー」
見直したよ
これが食べられるようになるかもしれない、拘ってられない。
その技術が必要だと分かっている。