何も分からない終わり 7話
「荷物も届いているな、よしよし」
良く分からない素材のコンテナに綺麗に装備が梱包されている。
軽くシャワーを浴びて、着替えをして装備品を整理して身に着けていく。
「おおー、ベルトに弾丸スレートが付いてる変にスピードローダーばかりじゃないのが良いね。良いセンスしている」
しかし、この銃はなんだろう?リボルバーだけど謎素材で微妙に形が違うみたい。
アサルトライフルも同様だ。
使い勝手は、俺の知ってる物と変わらないみたいなんだが。弾も微妙に重いというか軽いというかモヤモヤする感じだ。
これ、試し打ちしておいた方がいいな。
試し打ち出来るところは調べても出てこなかった。
「秘書子さんや、銃の試し打ちしたいんだけど何処か無いかね」
「装備開発室に試射場がありますので手配しておきます、場所ををマークしておきます」
「あんがと」
試射室は、人形が置いてあるだけの部屋だった。
「うーん、大丈夫だよな?まあ、この壁越しから撃つんだよな?」
物は試しと撃ってみると、ズキュという音と共に僅かな反動が帰ってきた。
人形を見てみると、上半身は存在していなかった。
爆発したとかでなく、何かに抉られたように無くなっていた。
「何だこれ!反動もほとんどないし危なすぎるに何がどうなってんだ」
困ったときは秘書子頼りだ。
「って、ことで今、試写室にいるんだけど弾丸が超怖いんですけど」
「どういうことかは分かりませんが、ご使用されているのは通常の重力弾じゃないですか」
「通常の重力弾ってなんだよ!こんなの腰に巻いてたら俺が消えちゃうじゃん」
「はぁ、たまにはご自分でお調べになったらいかがです?私が言っても不安は消えないでしょう?」
「は、はい」
端末からデーターベースへアクセスする。
ちなみに自室に戻って危ないから銃はコンテナに丁寧に仕舞ってある。
なになに、外が物騒になったので宇宙開発に使っていた技術を転用する。
以前の鉛や鉄を撃ち出すだけでは野生生物に対する殺傷能力が足りず、被害が甚大である。
そのため、マイクロブラックホールを発生させて対象物を物理的に消失させることとする。
って、全然安心できないじゃんか!
しかし、マイクロブラックホールの発生に巻き込まれる事態が発生、改善策として発射装置及び装備に反物質を利用することにより解決済み。
安心したー。
注意事項もあるな、登録された発射装置と装備でブラックホールの発生を抑制できるがそうでない場合、被害が生じる。
これは、やっぱり威力が大きいな。
それにアンドロイドとか、こちら側の裏切りに反応できない。
以前の通常弾の使用は可能かと調べたら、全然平気だった。
追加で普通の弾丸も頼んでおいた。
なんか、安心した。
そんな感じで時間がすぎたので食堂へ移動したら秘書子が居た。
「結果を聞こうか」
「申し訳ありません、造物主に関する記述はありませんでした」
くやしそうだ。そそられる。
「大丈夫だ、ダメ元だ。食事にしよう」
「はい、用意してまいります」
「ちなみにアンドロイドって何食べるの?」
「外皮形成のための各種栄養と内部動力のための電力をカプセルを摂取します。それ以外を食べると活動を停止します」
「そ、そうか」
寂しい食事はしばらく続きそうだ。
「って、焼き魚じゃないか!」
「ええ、施設が稼働していますから焼き魚くらいありますよ。あ、御飯はこれくらいで良いですか?」
俺の前には、味の塩焼き、御飯、味噌汁、ほうれん草のお浸し。
「完璧ですな」
「恐れ入ります」
「料理してるのは、フードプロセッサーだろうに」
「私ですよ?生簀から捕ってきて捌いて焼きました、プロセッサーではこの様な非効率な食事は出来ません」
「秘書子が最高なのが分かった。もう最高、もう大好き」
「私はセクサロイドではないのですが」
「そういう意味じゃないの!」
この日はご飯を沢山食べたと言っておこう。
あと、秘書子が嬉しそうだった。
ベッドに寝ながらぼんやりと考えていた。
これからどうするか?って事に、この施設で頑張るとか外の世界で頑張るとかだろうけど。
俺は一つの確信めいていることがある。
彼女と言われる向こうの量子コンピュータへ行かないとダメだという事だ。
彼女が神を語っているなら対立するにしても状況を見ないと判断を誤る。
この選択を誤るとカプセルで寝ている人間が全滅する気がする。
「頑張るとか性に合わないんだけどな」
施設のマップと睨めっこしながら夜は更けていていった。
そのころ、とある場所
「ゆーくん」
「私の王子様」
俺は、軽く朝食を済ませると食堂から宇宙食みたいなシリアルバーを荷物に詰めた。
以前に注文しておいて水筒に水を詰める。
俺は、装備を用意して以前、寝袋で寝ていた場所へ向かっている。
秘書子には、データの再捜査と夢に関する知見を網羅して要領をまとめるよう命令してある。
すぐにフリーズしていたので暫くは時間が稼げるだろう。
俺は、少し崩れた壁にバールのようなものを突き立て穴を広げて潜り込む。
ここから先は、彼女の領分だ。
量子コンピュータの言う通りなら化け物が跋扈する魔界になっているはずだ。
武器の確認をして、進んでいく。
うん。
魔界だ。なめてた。
生物の繁殖フロアなんだろうな。
蟲毒のツボみたいな状態だ。
そこいらじゅうに蔦が這っている。文字どおり動いている。
そして良く分からない虫や動物を絡めとって喰っている。
人型の野蛮人みたいのが更にそれを喰っている。
食うか食われるかな状態だ。
弾が足りないのもあるが、こいつらは原種でこいつらが死ぬと外へ放つための種が無くなって最悪生き物が居なくなるって事だ。
「ゆーくん」
懐かしい、酷く懐かしい声の方へ顔を向けるとライトが点滅している。
俺は、無心で駆けだした。
重力弾をバラまきながらライトの場所まで辿り着くと、ちゃんとしたシャッターがあった。
怖い生き物が襲いに来るより早くシャッタが開いた。
そのまま飛び込むと恐ろしい勢いでシャッターが閉じた。
蔦が何本がキーキー泣いている。
一部屋でこれはヤバい。
辺りを見回すが、なにも動いていない。
「ここを第一拠点とする」
なんともしまらなし、危険な場所だが仕方がない。
水を飲んでシリアルバーを齧る。
「こっち側のマップがないのが困るな」
向こうがの壁に緑色のランプが点滅している。
近づいてみると、簡易な流し台と簡易ではあるが医療室が設けられたいた。
蛇口を捻ると綺麗な水が出てきた。
「あとは、食料があればって」
俺はキーキーと未だに動いている蔦に目を向けた。
「調味料を持ってきたのは現代知識様様」
蔦を開いて、蒲焼にして食べてみたらヤツメウナギみたいな味がした。
不味くて栄養失調って現代病だからね。と独り言を言いながら食べる。
扉の向こうが凄く慌ただしい。
換金が向こうを通るんだろう。
扉の開閉ができればと思っていると、またランプだ。
開閉って書いてあるよ。
開!閉!
蔦が釣れた。
一緒にゴロゴロと何か入ってきた。