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天使戦争  作者: 薬売り
9/99

未来は、まだ、分からない 9話

 一週間後、正太郎は荒野を目的地に向かってバギーを走らせている。


 指名依頼を達成すると決めてから正太郎は直ぐに情報屋に向かった。


 身を隠すための準備を作戦成功へ導くための準備へ変更するためだ。


 しかし、大して変更することは無かったギルドから支給された装備に備え付けられた監視装置にジャミングを掛け、目的地までの足を用意しただけだ。


 潜入ミッションであることから、念のために武器には消音器を追加し、非殺傷のスタンガンを用意した。


 準備中に正太郎はある事に気が付いた。


 光学迷彩は、周囲の風景を認識し表面にその景色を投影することで、装備者の姿を隠す仕組みだ。


 そんな科学の結晶のようなものが無限に使えるはずがない。


 単純に膨大なエネルギーつまり電力を消費する。


 明細装備自体に十分な電池が内蔵されており、装備者の動きから発電を行っているが連続使用で10分が限度だった。


 10分の連続使用後には30分の充電が必要だと分かった。


「いやー、単純に光学迷彩に頼って潜入するつもりだったけど、随分な落とし穴だった」


「しかし、すごい装備だな完全に見えないぞ」


「どうだろうね、サーモグラフィーやX線には引っ掛かりそうだし」


 情報屋と正太郎は、駐車場で装備の確認を行っていた。


「結局は、通常の潜入ミッションでいざって時に使うだけになりそう。夜間のコンクリートカモフラージュで行くしかないね」


「そうだな。幸いにも戦闘員は少ないんだろう?」


「うん、情報が正しければね。まあ機密保持のために最小限の人数にしていると思うよ」


「生きて帰って来いよ」


「ああ、もちろんそのつもりさ」


 基地まで3kmの地点で、正太郎は野営をしている。


 敵がヘリ基地であり空を飛んでいるため、火を起こすことが出来ず化学反応で加熱したレーションを食べている。


 これ以上近づけは、バギーの立てる音や砂煙で気が付かれてしまう。


 後は、徒歩で行かなければならないが荷物が多い。


 銃火器の予備弾倉を諦め、食料は一食分だけとしてカロリー補給用の簡易レーションと水を多めに持っていく。


 身体が未だに成長途中の正太郎が、大人のように行軍することは難しい。


 バギーを岩陰に隠して、歩き始めた。


 正太郎の足で、丸二日かかった。


 昼夜を問わず、哨戒ヘリが飛び回っていたため、身を隠しながらとなったためだ。


 夜間の哨戒には特に警戒が必要だった、赤外線によって隠れていても居所がバレてしまうため赤外線を吸収するマントに包まってやり過ごした。


「疲れたな、哨戒厳しすぎだろ。しかし、ヘリ飛ばしすぎて足元がお留守になってますよっと」


 正太郎は、既に整備倉庫の裏手の影に身を隠している。


 基地内は、整備士が慌ただしく働いている。


 哨戒ヘリを高頻度で飛ばしているため常に整備に追われている状態だった。


 見張りの兵士も整備の邪魔にならないように非常に少ない人数だった。


 その兵士も整備士に鬼気迫る勢いで邪魔者扱いされている。


 正太郎は、光学迷彩を使って兵士も整備士もスルーして整備倉庫の奥にあるエレベーターに乗り込んだ。


 エレベーターの中で光学迷彩を充電モードに切り替えて、地下施設に着くのを待った。


 体感的には、随分と長い時間に思えたが実質5分でエレベーターの扉が開いた。


「なんだ、ここは」


 正太郎は、秘密兵器は、戦車の化物やロボット兵器のようなものを考えていた。


 そういった兵器であれば、コア部分と思われる部品を持ち出せば任務完了だ。


 しかし、目の前に広がっているのは、直径が1メートルほどの透明な円柱が並んでいる。


 その円柱は、透明な緑色の液体に満たされておりポコポコと気泡を上げている。


「なんだこれは、それにこの円筒?カプセル?の中に入っているのは何だ?ダチョウの卵か?」


 円柱の中には、一つずつ卵のような球体が収められている。


「これが秘密兵器なのか?生物兵器か生体兵器なのかもしれないな。しかし、この数を鹵獲するのは不可能だぞ」


 正太郎は、円柱に備え付けられているパネルらしきものに近づいた。


「うーん、こっちの画面に表示されているのは現状状態かな?顕現待機?卵だから孵化前とかなじゃいのか?あとはスイッチ類が沢山と」


 正太郎は、これは困った事になったと思った。


 スイッチ類には、名称やマークが一切無く、どういった動作になるか想像もつかない。


 この大きな卵が生物兵器が詰まったものだとしたら、下手に触るとあの世逝きになりかねない。


 そして、なにより不可解に思ったのは、監視カメラの類や警備員もガードロボットも存在してない。


 静かな空間に気泡が溶ける音が響いているだけだ。


「とりあえず、奥まで行ってみますか」


 この空間の広さは、ブリーフィングの時に把握している。


 一番奥の円柱まで来ると空間の半分くらいの位置だった。


 円柱から壁に向かって無数の管が走っている。


 恐らく、液体の循環や維持装置が置かれているのだろう。


 正太郎が辺りを見渡してみると目立たないが普通の扉を見つけることが出来た。


「モニタールームかな?メンテナンスルームかな?説明書でもあればいいな」


 正太郎は、念のために光学迷彩を起動すると扉の奥へ向かった。


 そこは、モニタールームのようで全ての円柱の状態が表示されている大きなモニターが目についた。


「モニタールームで間違いないな、でも、ここも無人だ。一体どうなってんだ。お?ここのスイッチには何か書いてあるぞ?どれどれ?」


 沢山あるスイッチを確認すると、番号と開閉と書かれている。


「うーん、恐らくここで円柱の開閉指示と円柱に備え付けのスイッチで動作させるんだろうな。さて、困ったぞ」


 部屋の中を見回しても資料や説明書のような紙媒体もタブレット端末も見当たらない。


 正太郎は、モニターに目を向けてエレベーターに一番近い円柱の番号を確認すると、その番号のスイッチを開にすると部屋を飛び出した。


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