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天使戦争  作者: 薬売り
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探求 10話

 目の前には、俺と同じくらいの身長で手足が細い人間らしきものが俺を睨みつけている。


 肌が緑色で、口からは乱喰い歯をむき出しに唸っている。


 どうみてもゴブリンです、ありがとうございます。


 ここへきて中世風ファンタージーをぶっこまれるとは思わなかった。


 俺の手には、刃渡り30センチほどの短剣が握られている。


 なんで銃を使わないのか不思議に思われるだろう。


 俺も最初は驚いた。


 新しいフィールドらしき場所に入って、最初の村に立ち寄った俺は鳥撃ちでもしようとした。


 しかし、その銃口は火を噴かなかったんだ。


 動作的には動いているんだが、肝心の火薬に火がつかない。


 不思議に思ったけれど仕方ないと宿に向かったら携帯端末も動作してない事に気が付いた。


 少しの現金や貴金属は持っているので、それで宿に腰を落ち着けた。


 その宿は、小説かよ!と突っ込みを入れたくなるような一階が酒場兼食堂、二階が寝室になっていた。


 食堂で夕食を食べているときに気が付いて、危うく食べ物を噴き出すところだった。


 ランプには火もなければ電球もない。代わりに光る石が入っていた。


 ちょっと覗いた厨房では、石から火が噴き出していた。


 薪もガスも何もない。


 石から直接、火が噴き出している。


 厨房に立っているのは宿の主人だろうか、手を翳すと弱火になったり強火になったりしている。


 不思議な事もあるもんだ。


 更には、流しにも水が流れ出てる石が置いてある。


 この世界は、石で出来ているのかと勘違いしそうな状況だ。


 どういうもので、どういった原理だか聞いてみたいだが何だが常識みたいで聞きづらい。


 しかし、聞いておかなければいけない気がする。


 明日の昼間の暇そうな時にでも聞いてみよう。


 しかし、薪すら使わないなんて便利だな。


 そんなことを考えながら部屋に戻った。


 ちなみに宿のメニューは、謎の肉のステーキに謎のスープと普通の黒パンだった。


 さて、部屋で照明用に借りている光る石を見ながら考えてみる。


 見れば見るほど不思議だ。


 手に取ってみても熱くない。


 電気などを使わないのもポイントが高い。


 でも、野営の時には灯もなるし、料理にも使えるし、心安らぐから焚火を囲いたいよな。


 俺は、なんともなくライターを取り出して火を付けてみる。


 火がつかない。


 オイルライターもターボライターも火がつかない。


 故障かと思って点検しても異常は見られない。


 燃料も十分に入っている。


 どうなっているんだ。モヤモヤした気持ちのまま、その日は眠ることにした。


 次の日の朝、俺は光る石を返す時に石の事をそれとなく聞いてみた。


 結果にちょっと驚いた。


 この石は、魔石と言うらしい。


 魔物の心臓の脇から採れるらしい。


 ある程度使うと、魔力が消費されて使えなくなるから新しい魔石が必要になるらしい。


 らしいという疑問形でしかないとは、俺は懐疑的だからだ。


 ファンタジーすぎるだろ、この調子だと魔法や必殺技みたいなものが出てきかねない。


 いくら何でも世界観が壊れすぎる。


 だって、傭兵が跋扈するゲームの世界なのに新しいエリアに来たらファンタジーRPGでしたなんて、お問い合わせが沢山来てしまう。


 対応するのは会長の会社の人たちだから気にする必要はないんだけどさ。


 火がつかない事をそれとなく聞いてみたが、火は火の魔石を使うのが常識だぞと言われてしまった。


 魔石は必需品なので村の道具屋で扱っているらしい。


 魔石を採取する職業、いわゆる冒険者も存在しているらしい。


 テンプレでお腹がいっぱいになりそうだった。


 道具屋に寄って店の中を覗くと、魔石各種に簡単な武器防具、日用雑貨を扱っていた。


 ちなみに現金は使えなかった。


 貴金属と交換で短剣と光と水と火の小さな魔石を買った。


 村はずれまでやって来てちょっとした実験をしてみることにした。


 まず、枯れ枝を拾ってきて火の魔石から出した火を近づけてみる。


 着火しない。


 弾丸を分解して中の火薬も同様にしてみる。


 着火しない。


 火の魔石に水筒から以前汲んでおいた水を掛けてみる。


 消火しない。


 火の魔石に水の魔石の水を掛けてみる。


 消火した。


 どうなってんだ?


 魔力を内包していないとダメとか?植物に魔力はないのか?いや、枯れ枝だから魔力がないのか。


 生えている木から枝を拝借して、火の魔石か火を付けてみる。


 着火したよ。


 魔力って不可思議な前提は合ってそうだな。


 しかし、それだと盛大に山火事にならないか?


 と、思っていたら枝の火が消えた。


 どうなってんだ?


 ちょっとズルだけど聞いてみようか。


「テラフニエル、どう思う?」


「はっ、この世界では物理現象を再現するために魔力が必要なようです。先ほどの枝も内包する魔力が枯渇したため火を維持できなくなったと考えます」


「うん、俺もそう思う。山火事にならないのは?」


「はっ、木の燃えたくないという意思が魔力を遮断したと考えます」


「はー、なるほどー」


 遠い目になってしまうわ。


 そういえば、、、俺は自分の腕に嵌っている腕輪を見た。


 チート武器じゃね?


 槍へ変化させようとしたが、うんともすんとも言わない。


「これ、どうなってんだ?壊れたのか?」


「いえ、その腕輪は神性が腕輪の形をしているだけなので変化させるには、この世界では相応の魔力が必要なようです」


「使えないってこと」


「ええ、今のマスターでは不可能でしょう。若しくは、その神性と心を通わせることができればあるいは」


「生きてんのこれ?」


 ちょっと冷汗かくぞ、昼に噛まれてるような気分。


「生きているという概念には賛同しかねますが、私同様に意思はあります」


「はー、なんで前は使えたの?」


「以前は、なぜか通じていました。今は、意思が顕著になっていると理解していただければ」


「実際、どうしたらいいの?」


「分かりかねます」


「ですよねー」


「マスターの内包魔力を増やせれば良いのですが」


「あー、それはテンプレですね、ありがとうございます」


「??」


「分からなくて良いです」


 明日は、冒険者になるか魔物狩りだろうなー。


 宿で聞いてみたら、やっぱりありましたよギルド。


 そしてやってきました。


 テンプレのようにベテランに絡まれるんだろうか。


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