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天使戦争  作者: 薬売り
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探究 07話

 俺は、また湖まで来た。


 まるで怪獣映画か特撮ヒーローものだな。


 俺は釣り糸を垂れながら湖を眺めている。


 湖の奥では戦争のようなありさまだが、湖岸に近づくにすれ穏やかになっている。


「毎日、飽きもせず戦うな。神様ってそんなものなの」


「神やその尖兵は目的の遂行まで止まりません。故に神同士の戦争は、最終戦争と呼ばれます」


 なるほどねー、しかし、天使を呼んだのは間違いだったかな?


 蛇も雷の神もこっちをガン見しているし。


「なにか様か?なにを企んでいる」


「なんにも。一応、天使いるけど侵略とか考えてないんで」


「天使を率いる人間とは面妖な」


「自覚はしてます。あ、あと道具屋の婆さんが何とかしてくれって言ってたけど無視してます」


「オモイカネの奴か、小賢しい真似ばかりする」


「ところで、なんで戦っているんですか?」


「うむ、覚えておらん」


 をいー!雷様!


「我は覚えておるぞ」


「流石、蛇、執着してるな」


 貴様、我らをバカにしてるのか?


 そんなこともない。


「この湖の底に女神ティアマトが眠っている」


「唾棄すべき悪魔だ」


「あー、あれね立場で意見相違しちゃうあれね」


「で、雷様はティアマトを滅したいと、蛇様は守りたい感じ?」


「彼女は豊穣の女神だ、彼女が居ればこの村は豊かいられる」


「彼の者は、多くの悪魔を生み出してしまう。この村は滅びてしまう」


「なるほどねー、でも、住民が全員出稼ぎしている状態は村は廃村状態じゃね?」


「「うぐぐ」」


「うぐぐと言われてもね、当人のティアマトさんはどうしてるの?」


「湖の底で寝ておる」


「なあ、それって上で騒音立ててたら怒って起きてこない?触らぬ神に祟りなしっていうし、様子見でいいんじゃない?千年くらい」


「うむ、それも一理あるな」


「当人が起きてから考えるってことで、とりあえず喧嘩は止めだね」


「「了解した」」


「話の通じる神様は好きだよ。小さいけど、祠っぽいの作っておくね」


 俺は、石を組んで祠っぽい物を湖の近くに添えた。


「今日は、疲れたし帰ろうか」


 宿屋に行くと婆さんが、また酒を飲んでいた。


「ひひひ、うまく二柱を治めてくれたね」


「いっとくけど、余計な事したり考えたりすると怒るよ。バルキアケル」


「御身の傍に」


「権天使をコイツの見張りに着けろ、何かあったら滅神するぞ」


「御意」


「あらあら。お目付け役がついてしもうたね」


「何にもしないなら、気にしないだろう。とりあえず出稼ぎ連中を呼び戻してやれよ。人間が少なすぎる」


「あたしゃ何もしないよ」


「変に入れ知恵とかして場を乱すなよ?」


 そこからは平和な日常が戻ってくるのを眺めていた出稼ぎから住民が戻り、畑仕事に精を出している。


 祠の事は宿屋に任せたってか、雷様だろこいつ。


「世話になったな、俺はもう行くよ」


「こちらこそ、お世話になりました」


「なんのことやら」


「これからどちらに?」


「当てのない旅暮らしですよ」


「そうですか、また近くにいらしたら寄ってください」


「ああ、わかった」


 俺は、手を振ると歩き出した。


 出稼ぎ連中が帰ってきたので、行商人も来るようになった。


 俺は、行商人の馬車に揺られて行くことにした。


 俺は、のんびり馬車の旅だと思っていた。


 しかし、ここは車も飛行機も一応ある世界。


 そして神様も悪魔も居る世界。


 馬の馬力が半端じゃない。なにより足が多い。


 八本とはいかないが六本あり、力強い。


 そして、無駄に揺れが酷い。


「あがががが、凄いですね」


「あははは、兄ちゃんはこの辺の人間じゃないね?ここらじゃ燃料が高いからこういう魔獣みたいのが役立つんだ」


 確かに、この世界は前線基地しか知らないな。


 行商人の馬車で幾つか回った。


 大抵は、農作業に従事していて硝煙の臭いもしない。


 って、なんだここは?


 こんな場所、俺は知らない。


 攻略サイトにも載ってなかったぞ。


 ははーん、あれだな。


 会長辺りがシステムのアップデートでもしたな。


 新しいシナリオで新しいマップでも開放したな?


 実際のところ、自分の立ち位置を決めないといけないな。


 俺にとっては、どちらも大事に思ってしまっている。


 情けないがしようがない。


 創造主ってのが謎過ぎるし、情報ないしな。


 しかもなんで俺だけなんだ?


 うーん、何だか面倒くさくなってきたな。


 ちょっとスローライフでもして考えをまとめようかな。


 なんか、それはいい考えのような気がしてきた。


 とりあえず、傭兵らしく突撃前に村で情報収集でもしますか。


「おっちゃん、折角だけどちょっと降りるわ。ここまで載せてくれてありがとう」


「お?良いのかい?」


「うん、やってみたいことが出来たから」


「そうか、若いうちはどんどんチャレンジして失敗したらいいさ」


「ありがとう」


 俺は手を振って馬車を見送った。


 まずは、村人(人間)を探そう。


 これでまた変なの出てきたら速攻で逃げよう。


 俺の冒険は、これからだって言っとけばフラグでも立つかな?


「俺の冒険は、これからだ!」


 おお、言葉にしてみるとそこはかとなく哀愁と元気がでるな。


「俺の冒険は、これからだ!」


 うん、大事な事なので二回言ってみました。


 あ、そう言えば人間って月に住んでるだっけ?


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