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天使戦争  作者: 薬売り
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探究 04話

『お主は、ただの人間じゃそれは保証しよう』


「すげーな。神様の保証とは全く信用できないね」


『不信人な奴だな』


「向こうの世界では、お前はすげー信仰集めてるのに何もしてくれないからな」


『何を言っておる、何時までも子供の手を引いてやるわけはいかない。大人になったら自分できちんと考えて行動しなけれならない』


「たしかに、いつまでもコートを着ているわけにも行かないって自明の理か」


『そうじゃ、だから、儂は自らの子らに手を貸さぬのじゃ』


「流石神様、言葉の重みが半端ねーな。この世界に封じられているから力が使えなかったのかと思ってたよ」


 あれ?のじゃろり神様、目線が泳いでいるぞ?


「封じられて力も出せないから八つ当たりで憤怒に取り付かれているかと」


 今度は、吹けもしない口笛を吹いているぞ。見なかったことにしておこう。


「それで創造主ってのは?」


『正直、分からん。神の一柱かも分からないのじゃ。世界を創造することができる神は結構いるから調子に乗っているのじゃろうな』


「えっ!?神様ってそんなに沢山いるし世界もたくさんあるの?」


『そうじゃ、一つの星に文明を幾つか興すことや、次元や宇宙を超えて文明を起こすとこもあるのじゃ。共通していることは自分の子のように産み育てる事じゃ』


「戦争については?」


『子供の喧嘩に親が出てしまってはダメだろう?極稀に過保護な神が手を出してきた場合は、その神同士の戦いになるが多くはないはずじゃ』


「そしたら、なんで俺は創造主に敵視されて、前の世界から放り出されたんだ?」


『それは、儂にも分からん』


「なんだよ、結局、手掛かりなしか」


『それなんじゃがな、お主は何処へ行っていたんじゃ』


「え?それは、地球の日本ってところで」


『それじゃ。根本的な勘違いをしておらんか?』


 なんだろう、嫌な予感がする。背中を冷汗を伝う。


『この星は太陽系第三惑星、地球。ここは元の名前を日本と言う列島だった場所じゃ』


「そんな、俺が居た所は平和で、ここはゲームの中で」


 眩暈がする。頭痛もする。


『そもそもじゃ、儂と言う神が居るのじゃ間違えようがなかろう』


『他にもあるぞ、お前の知っている悪魔や天使という幻想が存在している』


「うるさい、それこそおとぎ話じゃないか」


『そうかもしれん。ときに、お主は神隠しやチェンジリングは知っているな?』


『それだけでは、納得が行かないだろうなちょっと世界を回ってくるが良い、この星の表層だけでなくな。可笑しいと思わないか?軍需産業だけでなく農業やらは何処に行った?大勢の人間は本当に絶滅危惧種か?』


『ちなみにじゃな、この世界の人口は75億人じゃ』


「うそだ!そんなはずない!世界は荒廃していてそんな人口を養えるわけがない!」


『そう気張らず、ちょっと世間を見回って来い。儂は適当にプラプラして創造主なるものの情報でも集めておく』


 そんな、茉莉や会長や隅田君がまやかしだなんて。


 そう考えると向こうの世界の歪さに考えが至ってしまう。


 そうして俺は気絶してしまった。


 そういえば、向こうは科学が異常に発達していたな。その癖に食料問題も解決していないし貧富の格差も激しかったな。


 大規模な戦争は記憶にないけど、いつも何処かの国が戦争していたな。


 自然もどんどん無くなっていたな。


 よくそんなんで人間社会は保っていられたな。


 なんか良い匂いだな。


 目を覚ますとネフィーが俺の体を拭いていた。


 あれー?この船ってシャワー付けたよね?


 なんで中世ヨーロッパみたいなって病人は身体拭かれたっけ。


「あのー、ネフィーさん?なにしてんの?」


「正太郎?起きた?ご飯食べる?」


「ああ、そういえば、腹減ったな」


 そして、目の前に置かれているのはスープカレーをパンだ。


 この世界はどうしものカレーを食べさせたいのだろうか?


 そして、俺はどうしてカレーを食べることを忌避しているのだろうか?


 前の世界でのカレーと遜色なさそうなのに。


 もしかすると、向こうの世界への唯一の繋がりなのかもしれない。


 それを断ち切ってしまうのが怖いのかもしれない。


 その辺のところ、のじゃろり神様に聞いておけば良かったと思いながらスプーンを付ける。


 まずい。


 途轍もなくまずい。


 香りも見た目も抜群なのに味が塩味しかしない。


 フォンというか出汁というかコクもなにもない。


 臭いが口の中で爆発し、食欲をそそる癖に不味くてスプーンが進まない。


 これは断じてカレーではない。


 トラウマ級のまずさだ。


 だから、俺は食べなかったのかもしれない。


 向こうの世界のカレーを忘れないように。


 そうして、俺はまた気絶した。


 目が覚めた。


 此処は何処だろう?


 ベッドからでると、ここが飛空艇であることが分かる。


 キッチンでミルクを注いで甲板に上がる。


 雲海を下に月が出ている。


 ミルクに口をつける。


 ああ、美味しいな。


 月が綺麗だな。


 青くて、黄金色で、赤くて。


 ってまてー!


 月が三つもあるぞ!ここって地球なのか!?


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