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天使戦争  作者: 薬売り
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探究 02話

「正太郎様、通信が入っています」


「誰からって多分母さんかな?」


「はい」


「分かった、通信状況が良い高度まで船を動かしてくれ俺は通信室に行く。あそこならTV電話ができるからな」


「元気にしてた?」


「うん、おかげさまで」


 俺は挨拶もそこそこに本題を切り出した。


「送った魚はどうだった?」


「凄く驚いたわ。今ではアーカイブにしか残っていない絶滅種ばかりなんだもん。どこで手に入れたかは聞かないわ。あと、美味しかったわ」


 あ、やっぱり食べたんだ。ちょっと毒味をさせたみたいで罪悪感があるな。喜んでいるなら良いか。


 ということは、俺の知っている魚とほぼ同じと思っていいのかな。


「母さんは、創物主って言葉知っている?」


「いえ、知らないわ」


「そうか、ちょっと父さんの所に行ってくるよ」


「あまり無茶をしないでね」


 また、魚でも送ると言って通信を切った。


 いきなり押し掛けるのも何だと思ってテラフニエルに伝令に出てもらう。


 そもそも父さんが何処に居るのか分からない。


 月面基地に居るのか、神の世界に居るのか。


 なので天使に気配を追ってもらった。


「ただいま・・・」


 普通に家に居たよ。


 母さんが可愛くないてへぺろをかましている。


 そして般若二人の前で正座させられている。


「何か言う事は?」


「心配かけてごめんなさい」


 姉さんとネフィーが泣きながら抱きしめてくれた。


 この世界も悪くないな。


「はいはい、二人とも正太郎を放してあげてテーブルに着いて。ご飯にしましょう」


 あれ?なんかデジャビュだぞ。


 俺の前には、良い香りのするカレーが置かれた。


 そう俺の前だけだ、他の四人は各々何か飲み物を飲んでいる。


「あれ?皆の分は?」


「私たちは先に食べたから。正太郎が何時帰ってくるかも分からなかったし」


「そうなんだ・・」


 へー、天使を伝令に出したのにか。


「美味しそうだ、いただきます」


 俺は、スプーンをカレーに浸すと同時に何気ない感じで父さんに話しかけた。


「父さんは創物主って知ってる?神様だもんね知っているよね?」


「うーん、聞いたことがあるような無いような」


「そういえば、父さんの前にも神様って居た筈だよね?父さんが最初から神様なら創造主は父さんってことだもの」


「父さんを神にしたのは、誰なんだろう?」


「リリス、居るかい?」


「御身の傍に」


「そう、俺をまた明けの明星の所に連れて行ってくれ」


「それは・・・」


 妙な焦りをしているな。


「俺は、頼んでいるんじゃないよ?」


「分かりました」


 俺の体は、光に包まれ食卓から消えた。


 カレーから湯気が立ち上っている。


 ずかずかと氷の宮殿の中を進んでいく。


「無駄に広いな、まぁいいや」


 いわゆる謁見の間のようなところで本の海の中で優雅に読書中の明けの明星に声をかける。


「よお、邪魔するぜ」


「君は、いつも唐突で騒がしいな」


 彼は本から目を離さずに返事は返してくれた。


「おお、相変わらず無駄に優雅だな。聞きたいことがあるんだ」


「私の読書を邪魔する価値があるのか?」


「それは、俺にも分からない。お前はいつも読書してるな、そんなに読むものあるのか?」


 彼は、本の海の一角を指さした。


 目を凝らすと小さな光の粒が集まって本の形になった。


「ええー、本が無限に湧いて出るのか!?」


 新しく出てきた本を手に取って題名を見てみる。


「A.Hの生涯」


 ぱらぱらとページを捲っていって驚いた。


 普通に産まれてから死ぬまでのことが全部書いてある。


 本人が見たら憤死ものの過去とか辛すぎる。


「おまえ、こんなの読んでんのかよ。趣味悪いな。まさか!俺のもあるんじゃ!?」


「お前のはここには無いよ、なんせまだ生きているからね」


「あー、生涯が閉じて物語が完結しないと本にならないわけね」


 俺は本題を切り出すことにした。


「創物主って知っているか?」


 明けの明星は、驚いた顔でこちらを見た。


「どこでその言葉を聞いた?」


「俺も聞きたいくらい」


「ふざけているのか?」


「いや、至ってまじめだ。とりあえずどうして俺がここに来たか、前に来た時からのことを全て話す」


「良いだろう」


「長くなるが?」


「紅茶でも用意させよう」


 彼が目線を向けるといつの間にかテーブルとティーセットが用意されたいた。


 俺は彼に促されるままに席に着いた。


 俺達がゲームと思ってる世界と現実だと思っている世界


 そして、創物主と名乗る存在が箱庭の住人が箱庭を造ることを警告したこと。


 そして、俺は本来、こっちの世界の存在だから切り離された事。


 全てを包み隠さす語った。


 彼は顎に手を当てて何か考え事をしているようだ。


 なにしても絵になるな、イケメンが憎い。

「それは妙だな、君の話が本当なら君は一度、こちらで死んでいることになる。しかし、君の本は無い」


「それは、ゲームの世界で」


「ここがゲームという虚構の世界で、君の言う現実が虚構であると証明できないだろう?少なくとも私は、複数の宇宙、複数の世界が存在していることは知っている」


「じゃあ、お前は、俺達の世界の事も」


「ああ、知っている。そもそもその世界を作ったのは我らが父だ」


「箱庭の住人が箱庭を創造することが世界の崩壊ってのは?」


「神ならざる者が神の真似事をしても上手くいかない」


「なぜだ?」


「箱庭の住人が自らを造った神を認めない?君の世界でもそうだろう?誰しも奴隷であることは望まない。神が望んでなくとも住人は無意識に思ってしまう」


 俺は椅子に深く腰掛けた、多分ここからが本題だ。


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