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天使戦争  作者: 薬売り
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本当の世界とは? 28話

 そこには見知った顔が並んでいる。


「あの、ごぶさた」


 ブオン!


 あっぶね!殺人級のパンチが飛んできた。髪が切れたぞ。


「姉さん、俺だ正太郎だ」


「知ってるわよ」


「母さん!姉さんが可笑しい助けてくれ!」


「今回は正太郎が悪いわねー」


「なぜ!?」


「テラフニエル!」


「マスター、ここは庇えません」


「お前もか!?」


 ブオン!


 何故、後ろから音が!?


「ぐぁ!、後ろに気を取られたら前からリバーブローを喰らってしまった」


「正太郎から、離れな!」


 パンパンと発砲音が響く。


 エリーが拳銃を構えている。


「正太郎君?彼女?」


 やばい、ネフィーが冷たい空気を放ち始めた。


「彼女は、向こうでの友達で中身は男だ!」


「そうなんだ、安心した」


 俺は、ここで意識が途切れた。目の前には拳を振りかぶるネフィーが見えた。


 あれ?ここは?


 知っているような、知らない天井だ。


 船長室の天井か。ひどい目にあった。


 会長に連絡したいが、母さんの居る場で通信は不味い気がする。


 そのまま、甲板にあがる。


 え?


 天女?


 じゃねー!エリーに天使達が群がっている。


「テラフニエル」


「は、御身の前に」


「これは?エリー様が、私達にインスぺレーションを受けたとかでスケッチ始めたんですが、そのまま、彼女が衣装を作ったので」


「で?なんで、テラフニエルが天女装備なの?」


「エリー様が、第一従者の私を一番にと」


 ふんすふんす鼻息荒いな、嫌な予感がする。


 そう、日本文化研究部が発足して間もないころだ。


 交換留学生、1号は茶道部と華道部に入っていた。


 彼女はフラストレーションを抱えていた。


 アニメーションで日本語も学んだ、日本文化を一通り学んだつもりだった。


 期待を込めて、入った華道部でも茶道部でも皆制服で、師範にも出会えなかった。


 それは、偶然だった。


 しゃなりしゃなりと着物の女、その後を続く軽薄そうな着物の男。


 しかし、それは絵になっていて学校を一気に異空間にするほどの。


 彼女は、導かれるように後に続き扉を潜った。


 そこは、混沌と深淵を煮詰めたような場所だった。


 正確には、掃除が行き届いていないだけだが。


「その隅で、畳があり着物の二人がお茶をしていた」


「貴方もどうですか?」


 軽薄そうな男が言うがまま、靴を脱いで畳にあがった。


 その場は外界と隔絶されているように静かだった、リラックスしてるような二人も一定の緊張感を持っていた。


 出された茶を学んだ作法で口に着ける。


 身体が痺れるような清涼感と緊張感、彼女に求める日本がここにあった。


 彼女の質問には、部員の誰かが的確に返してくれる。


 その当時から、荒稼ぎしていた日本文化研究部には師範がゴロゴロしていた。


 そうして、日本文化研究部は、資料を収集し研鑽した。


 彼女は、日本を後にした。色んな文化を吸収して。


 それ以来、留学生が殺到する。


 その元凶が、そこにいる。


 こりゃダメだと、俺は諦めてネフィーにでもお茶を頼もう。


「ネフィー、お茶を頼んでいいかな」


「うん、良いよ。すぐ淹れるから待っててね」


 ネフィーは、とても機嫌が良さそうだ。


 俺は、お茶を飲んでまったりしている。たまには良いだろう。


「マスター」


「テラフニエルか、どうした」


「マスターが、乗ってきた航空機の改造が完了しました」


「は?改造?」


「ええ、エリー様が変形はロマンだと申しましたので」


 俺が甲板の端から見ると見事に二息歩行のロボットが立っていた。


 全力で止めた。色んな意味でやばい。


 俺は、船室に戻ってネフィーのお茶に口をつけた。


 確認しなければならない。


 あのメールの正体を。


「ネフィー、母さんを呼んでくれ」


「う、うん」


 母さん達が部屋に入ってきた。


「端的に言うね、俺にメールを送った?でも、文字化けで読めなかったけど」


「メールは、私達で送ったわ。文字化けしてるとは思わなかったわ」


「誰に?送ったの?俺宛てのメールなら端末に届くよね」


 母さんは、溜息をつくとぽつぽつと話してくれた。


「箱庭に向けて、送信したわ」


「そう」


 ちょっと部屋で休むと言って自室に戻ってベッドに潜った。


「会長、聞いてましたね?」


「ああ、聞いていた」


「一度、そちらに戻りたいんですが」


「私達が夢の様に泡のように消えないようにか?」


「叶いませんね」


「正直、私も困惑している。箱庭を作ったのはこちらのはずなのに、こちらが箱庭だという。正直訳が分からないよ」


「同感ですが、一度帰還させてください」


「分かった、隅田にも伝えておこう」


 俺は、しばらく眠ると言ってログアウトした。


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