本当の世界とは? 27話
「この依頼の現状を」
「はい、現状は敵に制空権を握られています。さらに敵基地にはSAMと高高度対応の高射砲が仕掛けられており手が出せない状態です」
「敵の規模は?」
「攻撃機を中心に、30機。爆撃機が5機。厄介なのは地上部隊が大隊規模が展開しています」
「分かりました」
あー、絶望的なミッションだな。空も陸もダメだ。
地下を掘るには時間が足りない。
ちょっとチート使うか。ん?あ、そうか。
エリーと一緒に家に向かう途中にマーケットでPCを買う。
「正太郎、何をするんだい?」
「また、自分宛てにメールを送って、この家を捨てる。そのまま作戦行動に移行する」
俺達は、一気に飛行場まで走った。
「エリーは、どの機体がいい?」
「イーグルで」
「了解、じゃあ、俺はあれで」
其処には、カナードを備えた独特なフォルムが見える。
「ええー、自分だけベールクトとかズルい」
「自分の金で買ったんだ、良いだろう」
俺達は、ニヤリと笑ってスタッフから気密服を受け取ると着替えてコップピットに乗り込んだ。
「正太郎、このミッションは正面から突破できるのか?」
「ぶっちゃけ、このミッションは難易度が高すぎる。正面からも裏側からも無理だ。基本戦略としては内通者を作って内部工作からの切り崩しが順当だな」
「それをすれば」
「どうやって内部工作やら内通者を作るんだ?何か月、何年もかかるぞ」
「あー、私が破産する」
「だから、今回はちょっとズルをする。いわゆるチートだ」
「チート?」
「ああ、通常の俺達が載ってる機体に詰めるミサイルは?」
「大体、6発?」
「ああ、大体そんなもんだ、更に予備燃料を積むと機体は遅くなる」
「だから、基本は機銃で格闘戦だよ」
「正解だ。しかし、今回は機銃の補給は出来ない代わりにミサイルは無制限に打ち放題だ」
「はい?」
「ミサイルの残弾は気にしなくていい、直ぐに分かる。kill them allの勢いでミサイルをぶち込め」
「わ、分かった」
「防御力は変わらないから、落とされるなよ」
こうして俺達は空へ駆け上った。
「おいおい、正太郎、どうなってるんだ?ミサイルを撃ち尽くしても直ぐに補給されてる」
「チートだ、しゃべっている暇があるなら叩き落せ」
「了解」
仕掛けは、簡単だ。
ミサイルを撃ちつくたびに天使がミサイルを補充してくれる。
天使の方が速力も起動も段違いに高いから出来る芸当だ。
瞬く間に敵機を撃墜し、地上の殲滅を行った。
帰投の通信が入った直後にエリーから通信が入る。
「正太郎、レーダーに何か写ってる。識別信号が反応しない」
「こちらでも捉えている。そこに向かうぞ」
「大丈夫なのかい?」
「さあね」
「ええ、そこは無理にでも大丈夫と言っておくれよ」
「良いから向かうぞ」
俺達は、レーダの差す方向へブレイクした。
「正太郎、あれは何だい?」
「俺の船だ」
「ああ、そうっておかしいだろう!なんで木造船が空に浮かんでいるんだ」
「チートだ」
「聞いた、私がバカだったよ。それでどうするんだい?」
「それぞれ右舷と左舷の腹を甲板に見立てて縦方向に着陸する。近くまで行ければ吸い付くから相対速度だけ気を付けろ」
「分かんないけど、分かったやってやる」
「その意気だ」
俺は、すんなりと船の左舷に取り付いてエンジンを切って甲板から降ろされた梯子を登ってた。
エリーは、危うかったが何とかなった。機体を垂直に立てたままのライディングなんて普通はないからな。
宇宙だと主観の問題だから何とでもなるが慣れが必要だし、まして地面が見えていると恐ろしいものだ。
さておき、甲板だ。