本当の世界とは? 26話
光る砂の滝が落ちる場所に居た。
辺りは暗く光る砂の滝の側以外は、真っ暗だ。
滝を見やりなりながら、歩を進めると一本の街灯に照らされたベンチが1つポツンと置かれている。
俺は、なんの疑問も思わずベンチに腰を下ろす。
目の前に淡い光を讃えた人が降り立つ。
「テラフニエルか」
「ええ、マスター」
「なんだ?殺しに来たか?信託でも偉そうにたれにきたか?」
我ながら、酷い八つ当たりだ。
「いいえ、いいえ、マスター」
テラフニエルが泣いている。
「私にとって命令は命より優先されるべきもの、しかし、私はそれに耐えられない。私は堕天してまうのでしょうか」
「なんとも言えないな。堕天したくないなら命令を守れ。それを決めるのはお前の自由だ」
「自由?」
「そうだ、神が天使に与えず人間に与えた自由だ。自分で良く考えろ、人間が悪にも善にもなるように善悪がひっくり返るように大変な事だ。相談には、乗るから。ゴメンな。今は眠い」
「自由、明けの明星もそんなことを言っていました。私は、貴方についていって考えることにします」
翌朝は、良く晴れた。
エリーは、なぜか上機嫌だ。
「正太郎、報酬の精算をしに行こう」
「それは、良いけどなんで急に?」
「金が入るし、色々買えそうだから」
「分かった、分かった」
俺達は、窓口で精算をした。
そこに見慣れない項目を見つけた。
採掘利権
「エリー、採掘利権ってのがあるんだが知っているか?」
「私にもあるね、初めて聞いたよ」
受付嬢が丁寧に説明してくれた、制圧した採掘場から一定の収入を得られるようだ。
「不労収入ってやつか」
「凄いね!一生遊んで暮らせるよ」
「あー、エリー、それは違うぞ?」
「何が?」
「単純な話だ、あの採掘場がきちんと稼働できるように管理しなければならない。鉱夫の世話から防衛まで面倒見なければならない。下手したら赤字になるぞ」
「そんなー」
「まぁ、領地運営ゲームと考えて頑張ってくれ、俺はやらないから」
「ええー」
「そういうの好きろ?」
「シミュレーションゲームは得意でござる」
「じゃあ、任せた」
俺達は、家に帰ってきた。
精算した報酬は、十分な金額になった。
装備を整えるのには十分だ。
しかし、困った項目がある。
収支の中にマイナス項目がある。
エリーが買った、航空機の整備と駐機場の料金だ。
正直、売ってしまいたい。これらを今後使う事はないと思う。
そうか、権利をエリーに押し付けてしまおう。
俺は端末を操作して、権利をエリーに移すと収支が大幅な黒字に転換した。
俺は、細々した弾薬の補充やらをバギーを端末から注文して端末から離れた。
エリーが端末の前でうんうん唸っている。
「エリー、どうした?難しい顔して」
「それが、口座が赤字なんだ。どうしてこうなった、早く次の依頼を受けないと口座が空っぽになってしまう」
エリーは、崩れ落ちた。
俺が負債を押し付けたからだろうな。
「この前、買った航空機を下取りに出して駐機場も解約してしまえ。維持費が高すぎる」
「そんなー、あれはロマンなんだよー、手放したくないよ」
「そんなこと言っても安定収入もないし、それを使う依頼を受け続ける自転車操業なんて意味がないぞ、戦略爆撃機なんていつ使うんだ?護衛の攻撃機すら運用できないだろ」
「うう、分かった・・・でも、でも」
「ああ、制空権の大事さは知っているつもりだ。だから、絞ろう金食い虫の戦略爆撃機は売って、中古で良いから攻撃機を1機輸送用も兼ねてヘリを1機それだけだ。必要になったらA10でも買えばいい」
「分かった。そうしておく」
「間違ってもラプターとか買うなよ?」
エリーがギクッとしている。なんでそんな金食い虫ばかり欲しがるんだ。ああ、ロマンだったね。それならロシア系のいや、ミイラ取りがミイラになってしまう。
「イーグルとホーネットなら良いかな?」
エリーがおずおずと聞いてくる。
「んー、スーパーが付かなければ安いだろうな。しかし、スーパーが付かないと現状の電子戦で役立たずになってしまうよな」
「収支は?」
「プラマイゼロ、折角の不労収入がパアになってしまう。しかし、欲しい」
「気持ちは分からなくもないがなー」
「収支が赤字に転がると結局、全部売る羽目になる、取りあえず一機だけ発注してその間に何か依頼受けるか?」
「お前は、神か」
「大げさだよ、ただの人間だ」
エリーが、鼻歌を歌いながら端末を操作している。
嫌な予感しかいない。
「よし、依頼を受けたよ。これで大丈夫」
俺はグリグリとコメカミを押さえた。
俺の端末にも、依頼内容が送られてきた。
敵航空基地の殲滅。
あー、エリーは何も学ばないなー。
「エリー、この基地を自分の物に出来たら黒字にとか思ってない?」
「え?なんで分かるんだ?」
「これ、殲滅作戦だから基本更地でオッケーだし、拿捕しても全部徴収されてしまうよ?」
エリーは、また膝をついている。
「受けてしまったのは仕方ないよ、情報を集めよう」
俺は、受付に向かった。