本当の世界とは? 21話
「どういう事でござる?」
「俺が聞きたい、あんなもんが何で対価になるか」
「この世界は、摩訶不思議でござるね」
「もうロールプレイは良いのか?」
「もうちょっと落ち着いたら自分を取り戻すでござる」
もうちょっとで自分を取り戻せるなんて順応性高いなと俺は密かに思った。
そうして俺達は、テラフニエルが差し出しだした小袋に目を移す。
そこには、俺達には馴染み深いものが置かれている。
なぜか学業成就と下手糞な刺繍がされているお守りが置かれている、如何にも手作りだ。
姉さんが頑張って作ったんだろうなーと分かってしまう出来だ。
ネフィーなら、もっと綺麗に!?はっ何故か殺気が飛んできたぞ。
「テラフニエル、敵性勢力は?」
「この場には存在しません」
「そうか、ならいい」
俺が一息ついていると、マモンがテラフニエルに話しかけていた。
「お前は、私が憎くないんですか?貴方にとって私は滅すべき相手でしょう」
「私は正太郎様から、色んなことを学んでいます。父が人間を祝福せよという言葉も何となくですか分かるつもりです。人間は脆弱ですが私達のような対極にある者も受け入れてしまいます。私は、その道の先を見てみたいのです」
「天使のくせにと野暮な事は言わない。私の全力で彼を支援しよう」
「ふふ、貴方は気づいていないのですか?」
「何をだ?」
「貴方の翼は、もう白いのですよ?」
「なっ、そんなわけは」
「確認は後にしてくださいね、今は正太郎様の依頼を完遂してください」
「言われなくてもだ。あんな面白い人間を死なせるものか」
「なんかコソコソ話する辞めてくれない?マモン、依頼の対価は大丈夫か?細菌兵器は水溶性、空気感染なし、耐熱が条件だ発症まで14時間」
「畏まりました、必ず揃えましょう。他にはスナイパーライフルと耐熱弾頭ですかな?」
「理解が早くて助かる。お前ら仲良くなったみたいだから詳細はそっちで詰めろ。俺らは偵察にいく」
「「委細承知しました」」
俺達は、八百屋を出て市場をひやかして家に帰った。
当然にエリーことを隅田君から突っ込みがはいる。
「あれはなんだい!?あんなキャラクター見たこと無い。それに天使とか悪魔とか!」
「俺のプレイしていた世界だ」
「訳かが分からないよ」
「だから、解析を依頼されたんだろう?今回の作戦概要を説明するがいいか?」
「分かった、考えるのを辞めて感じることにする」
「作戦は単純かつ簡単だ、敵性勢力の飲み水に細菌を使って無力化する。それだけだ」
「それだけ?」
「ああ、だが、前提条件が大事なんだ。兵士と奴隷状態の市民が別の給水設備を使っていること。これは、今までの経験が通じれば給水塔が別になっている。そこに何かしらの手段で細菌をばらまいて敵兵士を無力化する」
「そんな作戦、成功するわけない」
「だから、難易度が高いんだよ。まず、偵察して給水と排水を見る。そして、自分でやるか誰か雇って内部工作を行う」
エリーが、唾をごくりと飲み込んだ。
「お前は、こんな複雑なミッションをずっとやっていたのか?」
「ああ、基本的に一昔前の正攻法は通じないな」
「分かった、今回の作戦は全面的に正太郎を信じるよ」
「それは、ありがたい。スナイパーのランクは?」
「カンストしてるに決まってるだろ」
「それは僥倖、偵察して配置が良い感じだったら、俺が偵察がてら捕まってくるから後はよろしくな、連絡手段はテラフニエルを使う」
「反対してもダメだろうね。分かった。念入りに偵察しよう」
「その前に、足を買わないとだめだな」
「あー、確かに。誰かのせいで私の愛車が吹き飛んだからね」
「ごめんて、好きなの買っていいよ」
「マジですか!?やっほー」
「あー偵察用だからね、その辺考えてね」
「了解でござる」
あ、素が出た。嫌な予感がする。