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天使戦争  作者: 薬売り
62/99

本当の世界とは? 15話

 


 ぞわりと寒気がした。


 俺の家族は、どこで何をしているんだ?生きているのか?


 もし連絡が取れたとして、どんな顔をして会ったらいいんだ?


「正太郎、なに湿気た面してんだい。とりあえず、前線へ移動して依頼の一つでもこなそう。連携やらお互いの戦闘力もみたいしね」


「賛成だ、前線へ行こう。そっちの車に乗っけてくれよ。バイクは後ろに適当に括りつけてくれよ」


「行こう」


 俺たちは前線へ向かった。


 前線は何処の勢力なのだろう?


「なあ、エリー。お前はこのゲームクリアした?」


「クリア?まだだよ。っていうか基本的にクリアはできないよ?」


「どういうこと?」


「このゲームの目的は戦争で生きる傭兵だ、戦争なら勝ち負けがある。全ての基地を一人の傭兵が制圧することはできない。なので事実上クリアはできない。一つの基地司令にまで登り詰めた人がスタッフロール観たらしい」


 俺が知っているゲームと違う。


 確かに戦争だ、傭兵だ。でも、天使やら悪魔やらの存在は、どうしたんだ?


「エリー、天使とか悪魔とかって信じる?」


「天使?悪魔?中二病乙って言うな」


 どういうことだ?


 世界観が違うのか?


「会長、聞こえますか?」


「聞こえているわ」


「このゲームってキャラ毎にクリア目的とか条件とか世界観が違うんですか?」


「いいえ、みんな同じ世界で覇を争って貰っているわ。クリア条件とかは調査でも流石に言えないのゴメンね」


「いえ、分かりました。俺たちのランクと装備はそのままで世界的には初期状態になっている認識で合ってますか?」


「ええ、合っているわ」


「了解しました、エリー。俺の家がある前線基地へ行きたいんだが良いか?」


「いいわよ。前線ならどこでも」


「運転任せていいかな。ちょっと寝るわ」


「良いわよ。どうせその身体じゃアクセルに足が届かないでしょ」


 エリーがカラカラと笑ったので、寝たふりして考え事をしよう。


 俺の家がある前線基地なら、天使の卵を回収する任務が受けられるはずだ。


 なにより、家族の安否が気になる。


 流石に初期スタート地点から前線基地までは遠く、俺たちはレーションを齧りながら焚き火を見つめていた。


「家族が気になるかい?」


「ああ、気になる。少なくない時間一緒に居たし、一緒に戦った」


「そうかい、そりゃ心配だね。明日は目一杯飛ばすから安心しな」


「助かるよ。でも、正直どんな顔をして会えばいいか分からないよ」


「聞いても?」


「ああ、俺の世界では家族は死んでいる」


「そうか、そりゃ会い辛いだろうね。でも、この世界では生きているんだ泣くもよし笑うもよしだよ」


「そうだな」


 こうして、星を見上げて夜が更けていった。


「ここが、正太郎の家がある前線基地か、普通だね」


「そらそうだろう、要塞に家族で住むわけないだろ」


「とりあえず、家族に挨拶にいきますか」


「お、おう」


「緊張してるのか?家族だろ」


「別れ方が死に別れだからな、緊張もするさ」


「うじうじしてても、始まらない。さっさと行くぞ」


 俺は、エリーに押されながら家に向かった。


 インターホンを押す。


「自分の家でインターホン押す奴、初めて見たよ」


 エリーが腹を抱えて笑っている。


 舌打ちして、玄関のドアに手を掛ける。


「開いてる?」


 扉にロックが掛かってないなんて異常事態だ。


 俺は拳銃を構えながら慎重に扉を潜る。


 エリーも異常を感じたのか銃を構えて後ろに続く。


 って、サブマシンガン!?フレンドリーファイアで殺さないでくれよ?冷汗が流れる。


 部屋の中は、もぬけの殻だ。


 備え付けの家具はそのままだが生活感がない。


 なんでだ?考えろ、考えろ。


 俺たちは、ここから引っ越して各地を転々とした。


 拠点は飛空船だった。


 でも、それは天使を見つけた後だ。


「会長、聞こえていますか?」


「ええ、聞こえているわ。何か問題発生?」


「居るはずの家族NPCが居ません」


「確認するわね、ちゃんと存在を確認できているわ。ちゃんと初期配置に居るわ」


「初期配置・・・」


 しまったー、どうしよう。エリーにどう説明しよう。


 初期配置って最初の基地だ。


 俺の家族は、安アパートに借りぐらしだ。


「正太郎、まさかと思うけど家族が初期配置に居るとかないよね?結構強行軍でここまで来たけど」


「ははは、ごめん。とりあえず居るのは分かったから会いに行くのは今度でいい、依頼を受けよう」


「私は、戻っても良いけど依頼は受けといても良いかもね」


「立花、聞こえているか?」


「聞こえています。何かあったんですか?」


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