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天使戦争  作者: 薬売り
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本当の世界とは? 2話

 俺の名前は、立花祐介たちばなゆうすけという。


 ぽっちゃり、いや、普通のデブの16歳だ。


 例に漏れずオタクだが、幸いな事にイジメにも合わずに、のほほんと生きている。


 高校のクラスにも慣れてきて、オタク仲間や席が近い生徒とは会話する程度には出来ている。


 特に目標も無く、生きがいもなく、ダラダラと毎日ネットサーフィンとゲームに興じている。


 しかも、両親とも俺にはダダ甘で欲しい物は、いつでもって訳ではないが言い訳が出来れば買ってくれるほど過保護だ。


 なので、俺の部屋は見事なオタク部屋を通り越し、片付けられない人の部屋の様に混沌としている。


 彼女は、居ないが今の生活に十分に満足している。


 毎日の習慣とは、恐ろしい物で俺は深夜までゲームに熱中していてベッドの中だ。


「ゆうくーん、起きてるー?」


 部屋の混沌さに似合わない綺麗な声が聞こえてきた。


 丁寧にノックをして入ってきたのは、母親ではなく、幼馴染の友田茉莉ともだ まりだ。


 別に家が隣同士って訳じゃないが、小学校のある時期から毎日起こしに来るようになった。


 小学校から、ずっと同じクラスの腐れ縁って奴だ。


 いつの頃からか、何故かずっと後ろをついて回ってくるようになった。


 小学生の半ばから急激に可愛くなって、友達も多い。


 綺麗な長い黒髪と大きな瞳、スラリと伸びた手足にくびれた腰に豊かな胸、クラスだけじゃなく学校中の男子がやられた。


 入学した時から、ラブレターやら告白が後を絶たないらしい。


 そんな茉莉が、俺といる事が多いのは今や新たな学校七不思議として新聞部が書いたくらいだ。


 掲示板に張られた新聞を読んで、俺もそう思ってたからさもありなんと思ってしまった。


 学校一の美少女がデブでオタクと一緒にいれば、それなんてエロゲ?って思うし、現にオタク友達にも言われている。


 二次元には勝てないとか言っている強者は放っておこうと心に刻んだ。


「ゆーくん、また、PCつけっぱなしだよ。それに早く起きて朝ごはん食べないと学校遅刻しちゃうよ」


 茉莉は、カーテンを開けると窓も開けて汗臭い淀んだ空気を入れ替えている。


「ほらほら、起きた起きた」


 とうとう、俺は布団を剝がれてしまう。


 パンツ一丁の白豚が居るのに、茉莉はにこやか笑う。


「おはよう」


「ああ、毎日ご苦労さんです。たまにはお休みしてもいいと思うんだ」


「ゆうくん、おはよう」


「おはようございます」


 茉莉は、意外と押しが強い方だと思う。


 俺は諦めて、のそのそと起きだして風呂場に向かった。


 デブは寝汗が凄いんだよ。


 さすがの俺でも、気持ち悪いまま学校に行きたくない。


 部屋に戻って、制服を着る。


 茉莉がネクタイを締めてくれる。ちなみに我が校はブレザーだ。


 え?これなんてエロゲ?


 こういう事を自然とやってくるから、俺も周りも困惑するんだ。


 将来、ヤンデレとかにならないよな?とか考えたりもするが、俺みたいな白豚じゃなくてカッコいい彼氏ができてお払い箱にされるまではいいかと気楽に考えている。


 時間割を確認して、鞄に必要な教科書を詰めていく。ノートは持って行かない。


 ノートは嵩張るし重いからだ。


 実は、俺は意外と成績は悪くない。


 授業は、真面目に受けるが黒板をノートに移したりはせず、教科書に授業中に聞いた要点を書きこんでいく。


 それを復習がてらノートに清書している。


 授業中は普通、教科書とノートと黒板を見ている時間が圧倒的に多いと思うが俺は先生を観察する時間が多い。


 先生によって、テストに癖が出るそれは授業中にも読み取れるからだ。


 故に俺の成績は学校では上位だし、ノートの提出を求められても綺麗な物を提出できる。


 我ながらよく出来た生徒だ。


「ゆうくん、今日はどの時計してくの?」


「今日は、オレンジの奴」


「針も何もないよ?」


「充電してたからな」


 先日、買ったばかりのスマートウォッチを腕に嵌める。機能が多くて楽しいんだが電池が余り持たないのがネックな奴だ。


「ゆーくん、また時計増えてない?」


「増えてねーよ。配置換えしたからそう見えるだけ。ほら、さっさと飯食って学校行くんだろ」


 茉莉は、うん。と頷いてニコニコしながらリビングへ向かっていった。


 茉莉の家は、母子家庭で母親が朝食を用意できないらしく小学生の頃から俺ん家で食べている。


 母さんは、朝食一人分くらい増えても問題ないと言ってくれている。


 むしろ、俺に食事量を減らしてくれた方が助かるとか言われる。


 まだ、朝に弱い俺は朝食の量は意外と少ない。


 間食が多いと自分でも理解しているが、腹が減るんだ仕方がない。


「今日は、どうする?乗っていくか?」


 俺の家から学校までは、そこそこ遠い。


 駅まで自転車、そこから電車というパターンが一般的だ。


 だが、俺は学校に特別に許可を取って、父さんが趣味で買ったはいいが乗ってないサイドカーに乗って通っている。


 その理由は、いつか話せる時が来たらにしてくれ。


 雨の日は、母さんが駅まで送ってくれるので楽ちんだ。


「いいの?でも、ゆーくん目立つの嫌だって言ってたけど」


「今更だよ。今日は天気も良さそうだし」


「じゃあ、乗ってく」


 朝食を片付けて、茉莉が洗い物をしている間にガレージからサイドカーを出してメットを二つ用意しておく。


 行ってきますと言って、サイドカーを走らせた。


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