本当の世界とは? 1話
ここは、地獄の最下層。氷に閉ざされた場所だ。それは、あの炎を冷やしているからなんだ。その氷も段々溶けてきている}
「だから、地上の海水を使って凍らせようとしたのか」
{君は、意外と賢いんだね}
「なあ、明けの明星」
{ルシフェルでいいよ}
「んじゃ、遠慮なく。ルシフェル、俺の疑問をぶつけてもいいか?」
{いいよ、僕で答えられることなら、答えよう}
「神は天界に居ない。それは知ってるよな。神は何処へ行った?なぜルシフェルは堕天使していない?もう一つ。俺は常々疑問に思っていることがあるんだ。アーカイブにあるバイブルと言われる書に書かれている神は多重人格なんじゃないかとね。慈愛に溢れていたり苛烈だったり」
{なにが言いたい}
「自分の分身を創ったのに、悉く裏切られたら流石に怒るかなと。天使は怒り狂った神と冷静だった時の神の命令の間で板挟みなのかなと」
{・・・・}
「無言は、是と取るぜ?知恵の実を食した人間は危うく命の実すら食べるかもしれない。神は恐れた、そして幾ら天の子を送り込んでも悔い改めない、別の悪魔を神と称えた。本人主観でね。さて、多重人格も頭が沢山あったら理解できる。自分の意にそぐわない人の子にエデンを穢す人間に堪忍袋の緒が切れた」
正太郎は、地面の下を指さした。
「その結果がこのざまだ。大罪の分だけ憤怒に燃えている。あんたも大変だな、人間の罪で父が憤怒に飲まれて天使も悪魔も人間も全部焼き尽くしてリセットされそうなんて」
{ただの人間の君が知った風な口を聞くもんじゃないよ}
「それもそうだね。ルシフェルも板挟みだもんな」
{なにが言いたい}
「神を愛した、天使も堕天使も愛した、人間も愛した。その結果、もうどうにもならなくなった。傲慢だよ」
{お前に、私の気持ちが分かるものか}
「ああ、分からないよ。でも、ルシフェルが頑張った事だけは分かるよ」
明けの明星から、炎が噴き出す。
{お前には、何も分からない!私がどんな想いで此処に居たのか}
ルシフェルの怒りの炎が部屋に満ちる。
その熱は、部屋の氷を溶かしていく。
そして、遥か地底からの炎を呼んで、全ての氷を蒸発させる。
世界は、炎に包まれた。
ルシフェルは、悲しそうに竜を見た。
天界は、総攻撃に撃って出たが悉く翼を焼かれた。
月に避難した、一部の天使と人間だけが難を逃れた。
しかし、そんな少数では、抗う事も出来ない。
一人の科学者が、月を核融合と天使のエネルギーで月を地球の重力から解き放つことに成功した。
そのまま、月は木星でヘリウム3を大量に採取すると、深い宇宙へ飛び立っていった。
地球という星は、焼き尽くされ粉々になり、竜は月を追いかけて深い宇宙へ飛び立っていった。
バッドエンド D
セッションを終了します。
セッションを終了します。
「はあ、難易度高すぎるだろ」
ヘルメットのような、VRギアを外しながら俺は溜息をついた。
「これがソロ専用とか、厳しすぎる。トゥルーエンド辿り着いた奴はいるのか?」
パソコンを立ち上げて、攻略WiKiを覗くが目新しい情報は無かった。
「しかし、どんだけフィールド広いんだよ、地獄も本当に九層あるみたいだし、今回は割と良いところまで行ったと思ったんだけどなー」
チェアの背もたれに身体を預けて、反省してみたが解決策は思い浮かばなかった。
とりあえず、ひと眠りするか。